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国会質疑
国会質疑 詳細
2011年4月12日
財政金融委員会

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○金子洋一君 お疲れさまでございます。民主党の金子洋一でございます。
 今回の東日本の大震災、被災された皆様方に改めまして心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復興を私どもも頑張っていかなければならないなと決意を新たにしております。様々な政策手段を投入をして、あるときにはタブーと言われるようなこともやっていかなければならないのではないかなと考えております。
 それに基づきまして、今回の日銀からの報告書につきまして、主に日銀総裁にお尋ねをいたします。ただ、答弁につきましては、極力簡潔にお願いをいたします。また、さらに、今年の三月の二十五日の衆議院の財金委員会での山本幸三委員の質疑、これを踏まえた形でさせていただきますので、そちらでお答えになった事柄については原則としてお触れいただかなくて結構でございます。
 それでは、お尋ねを申し上げます。
 まず、この大震災の復興につきまして、個人的なことで恐縮でございますけれども、私は日銀引受けの復興国債を発行せよというふうに主張をしております。二十兆円を超える規模で発行をすべきだと。かつ、これは復興のためのものでありますから、それ以外の用途にはこれは絶対に流用をしない、つまり東北できちんと使うんだということと、同時に、二十兆円も借りて大変なことになるんではないかなという市場の御懸念を打ち消すために、財政再建の計画も同時にこれは公表して、そういったセットでお示しすべきではないかというふうに提案をさせていただいております。
 また、こうした同様の日銀引受けで行うべきだという御提言、これは衆参の財金委員会を中心に、予算委員会でもそうですが、与野党を問わず政党の枠を超えてこういった声がたくさん出てきております。大変心強いことだと思っております。
 ところが、こうした提言につきまして、日銀総裁あるいは日銀からの出席者、通貨の信認が失われるとおっしゃって反対をされております。
 今回は、通貨の信認とは何かということにつきまして中心にお尋ねをしたいと思っておりますが、まず最初に東電の社債について少しお尋ねをしたいと思います。
 これは報道ベースのことでございますので、誤っていたら御指摘をいただければと思うんですが、日銀が先般、東電の社債を購入をしたということでありまして、これが非常にいい条件で購入をいただける、まあ千億円が上限ですが、いただけるということで、販売希望者が殺到したと報道されております。
 もちろん個別のオペレーションについて云々というのは難しいことだろうとは思いますけれども、東電の社債のCDSは先週末、大体四二〇ベーシスぐらいで取引をされておりました。東電の社債を購入することが通貨の信認を毀損しないということでありましたら、今、日本の国債というのは、震災後、急に上がりましたけれども、大体八五ベーシスポイントぐらいで取引をされております。震災以前でしたら、それこそ桁が違う数字でございました。そういった日本の国債も、つまり東電より五倍以上、あるいは東電の方は更に数字が変わるかもしれませんが、そういった将来のことは分かりませんけれども、現時点でも五倍以上リスクが大きいと評価をされているものを購入しても、これは通貨の信認は失われないという理解でよろしいんでしょうか。総裁にお尋ねします。

○参考人(雨宮正佳君) 初めに私からお答え申し上げます。
 まず、御質問の件でございますけれども、私どもの資産買入れ等の基金等のオペ全般にわたってでございますけれども、個別銘柄の取扱いにつきましては、マーケットに無用の憶測をもたらす等の問題がございますので、お答えできない点を御理解いただければと存じます。
 その上で、一般論として申し上げますと、通貨の信認という問題は、この後御議論になるかと存じますけれども、基本的には日本の経済政策全体、言ってみれば金融政策が財政のファイナンスということを目的に行われずに、物価安定の下での持続的成長ということを目的に行われているということ、あるいは財政規律がしっかり保たれているかということが問題でございますので、その点を考えますと、やはり社債と国債というものは違う性格を持ってございますので、この両者につきましてリスク量のみを比較して買入れ額の適否を論じるということは適当でないように思われます。
 以上でございます。

○金子洋一君 今の御答弁を聞いていますと、社債の方がリスクが高い、まあ国債と社債は性質が違うので、これ当然社債の方が中央銀行の本来伝統的なスタンスから見ますと持つべきではないということになるわけですよね。となりますと、今おっしゃったのは、社債の方が通常でないものになるということをおっしゃったわけでしょうか。

○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
 今、私が申し上げましたのは、通貨に対する信認を確保するという観点から、金融政策、財政運営全般に関する信認ということで申し上げました。
 御指摘のとおり、一般論として申し上げますと、これは社債の方がリスクの高いリスク性資産でございます。私ども、経済の状況に応じ、かつ金利がほぼゼロでこれ以上金利政策の余地がないという中で、様々な金融政策、運営手段を試みる中で新しい領域に踏み込んでいるわけでございますが、それと同時に、中央銀行の資産の健全性ということを確保するために、例えば信用基準を設ける、あるいは上限額を設けるといった、あるいは適切な会計基準を採用するといったことで最大限の努力をしていると。中央銀行のバランスシートの健全性を維持するという観点からも、最大限の努力を講じながらこうしたオペレーションを行っているということでございます。

○金子洋一君 正直申し上げて、お尋ねをしたことに全く答えていただけていないので、この件は飛ばします。時間の制約がございますので、こういうような答弁をいただかないようにせんだってお願いをしたつもりでおりましたけれども、どうもそういった行内での伝達がうまく行われていないようでございまして、甚だ残念であります。
 それでは、通貨の信認の件、引き続きお話をさせていただきますけれども、三月二十五日の問題でありますが、山本幸三委員への総裁の答弁の中で、非連続的な変化が生じた過去の例があると、だから日銀の引受けはできないんだというふうなお話をいただきました。
 そこで、昨日、三時間以上掛けてレクをさせていただきましたけれども、その中で、じゃ、我が国のような先進国、通貨発行権を持って生産設備が毀損されていないという条件の下でそういった非連続的な変化が生じた例というのはあるのかとお尋ねをさせていただきました。そうしましたら、日銀の、レクを聞きに来られた皆さんが何とマンキューの教科書を持ってきたと。そして、戦間期のドイツ、これは通貨供給量が半年で一億倍になった、そういう例を持ってこられました。あとは一九八五年のボリビアの例です。本当にこれのことですかと、これまさか日本にこういうことが起きるわけじゃないですよねとお尋ねをしましたら、六時ぐらいになって、午後六時になって二〇〇一年のアルゼンチンの例を持ってこられました。
 果たして日本の経済を考える上で、戦間期のドイツ、戦争に負けて焼け野原になったドイツ、そしてボリビア、アルゼンチン、これが例になるのかと引き続きお尋ねをしましたところ、まあ通貨発行権を持っていて、かつそういった生産設備が毀損されていないケースではそういった例はないんだというふうにおっしゃったわけですが、ということは、ハイパーインフレが日本で起こる可能性はほとんどない、そう考えてよろしいわけですね。
 簡潔にお願いします。

○参考人(白川方明君) 通貨の信認が崩れるということがあってはならないということで、各国とも努力をしております。
 したがいまして、例として、先進国は現在その通貨信認ということで原則が確立しております。その結果、先進国において激しいインフレが起こるということは戦後においては非常に少なくなってきているということであります。
 しかし、このことは通貨の信認を守る仕組みが重要でないということじゃなくて、まさにそういう重要な仕組みを尊重しているからこそそうした事態を避け得ているというふうに思っております。

○金子洋一君 済みません、ハイパーインフレが日本で起きる可能性はほとんどないと私は受け取ったんですが、そう考えてよろしいですねと御質問申し上げたつもりなんですが、その点についてお答えはいただけないんですか。

○参考人(白川方明君) 中央銀行総裁の立場で、ハイパーインフレが起こるとか起きないというふうな言い方自体、これは多分不適切だというふうに思います。
 中央銀行として大事なことは、通貨を発行するという大事な権能を法律によって与えられている以上、この信認をしっかり守っていくように努力していくということに尽きます。

○金子洋一君 正直に申し上げまして、真っすぐにお答えをいただけないというのは甚だ残念でございます。
 誰がどう見ましても、戦間期のドイツのようなこと、あるいは一九八五年のボリビアのようなこと、あるいは二〇〇一年のアルゼンチンのようなこと、我が国では通貨発行権を持っています。インフレファイターとして有名な日銀があるわけですから、こういった状況で誰がハイパーインフレが起こると考えているのかということになりますと、これはいないというふうに考えざるを得ないわけであります。
 また、山本幸三さんの質疑を踏まえますと、これ、市中消化を前提とした場合で日銀の直接引受けをしてもインフレにならないということが、これはまた明らかになったわけであります。
 となりますと、ハイパーインフレというのもまあどういうふうに起こるのか分からない、その可能性についても言及すらできない。それは言及ができないということでしたら、それはないものだとしか我々には受け取れません。何らかの、例えば、ハイパーインフレ、いや、非常になりにくいんですが、こういうようなケースがあって、こういうことがあって、こういうのが重なれば我が国でもなりますということだったら分かるんですが、そういった、社会学的に申しますと操作的な定義すらしていただけないのでは、これは公的機関のヘッドとしてそういう答弁を国会でなされるのでは大変困ると言うしか、私申し上げられません。
 午前中に中山委員から国債の市中消化能力につきまして御質問がありまして、また私もその問題について全く同様の問題意識を常に持っております。
 そこで、過去のデータを見てまいりますと、平成十五年ごろ、これはたしか秋ぐらいだと思いますが、日銀券の発行残高が約七十兆円あったと。その一方で長期国債の保有残高が約六十五兆円あったという時点がございます。これはいわゆる日銀券ルール、銀行券ルールを信奉する日銀の立場からしますと、日銀券ルールが今にも破られてしまいそうだという大変憂慮すべき状態だったと思うんですが、そのときに、総裁にお尋ねしますけれども、実体経済に何か悪い影響があったんでしょうか。インフレが起きたんでしょうか。国債の市中消化が問題があったんでしょうか。そして、通貨の信認がそこで失われたんでしょうか。その点についてお答えお願いします。

○参考人(白川方明君) 今議員が御質問になりましたその時期も含めまして、日本銀行は、今先生がおっしゃったいわゆる銀行券ルールということを原則に国債の買いオペを行うということについて我々自身明確に説明し、市場でもそういうふうに信用されておりました。したがいまして、そうした原理原則がしっかり確立されていることによって問題を防ぎ得たというふうに思っております。

○金子洋一君 個人的には大変不満なお答えなんですが、また、経済学者でも日銀券ルールが経済学的に根拠があるとお考えになっている方は恐らく西村副総裁を含めても余りいらっしゃらないんじゃないかと思いますが、いや、いらっしゃるんだったら御発言いただければ結構ですけれども。
 仮に、銀行券ルールを前提といたしましても、当時は五兆円、上にマージンがあった。今どういう数字かと申しますと、これ午前中にもちらっとお話が出ました。発行銀行券の残高が八十・九兆円、また長期国債の保有残高が五十八・二兆円でございます。となりますと、二十三兆円まだあると。日銀券ルールを前提としましても、あと二十三兆円、長期国債の保有を増やせるわけですね。先ほど申しました十五年の例で見ますと五兆円分空いていましたから、それを考慮に入れても十八兆円買えるわけですよね。
 となりますと、特に御返事をいただけませんでしたので、十五年の場合何も起きなかったということを前提にさせていただきますが、今の状態でも市中から十八兆円分購入することはできるわけであります。そして、そういったルールを前提としても、ほぼ満たす条件でもマイルドなインフレにすらなっていなかったということは、これ、誰が見ても明らかだと思うんですね。
 それを私は今回強調申し上げたいということと、あともう一点、今回の質疑で大変よく分かることなんですが、通貨の信認について、実は定義を教えてくれとレクの際に申し上げました。当然、通貨の信認を毀損するので日銀引受けの国債発行できませんと、国会で何回も何回も総裁御発言なさっていますよね。ということは、通貨の信認というのは誰もが明らかな形で定義をされているんだろうなと私は思ったわけであります。ですから、じゃ、行内の資料でもいいし、出来合いのものでいいです、切り張りでいいですから定義持ってきてくださいと言ったら、出てこない。これ、おかしいことだと思いませんか。
 その先にちょっといろいろ追加的なお尋ねをしましたら、いや、通貨の信認については定性的な定義はあるんだけど定量的な定義はないというふうにその日銀の方がおっしゃったわけです。それじゃ外部の人間が、今の状態が通貨の信認が保たれているというふうに判断できないじゃないですかと言ったら、いや、そこは半期に一度、展望レポートを出して日銀が判断をしますから、それを読んでくださいという御返事だったわけです。これでは市場とのキャッチボールにならないわけですよね。
 展望レポートというのは、それは、じゃ私も書けるんですかとばかな質問をしましたら、それは日銀部内で書きますと。じゃ、日銀が要するに判断をするんだと、俺に任せてくれと言っているのと同じじゃないですかということじゃないですか。それで、こういう状況で市場とのやり取りとか、あるいは政府との密接な連絡といってもまずいんじゃないかと思いますが、総裁の所見をお伺いします。

○参考人(白川方明君) お尋ねは、通貨の信認の定義は何なのかということだというふうに受け止めました。これは先ほど、既に国会で言ったこと、先回、三月の二十五日に言ったことについては言わぬようにということではございましたけど、御質問でありますので、その部分については若干重なりますけれども、二つの要素があるというふうに考えています。
 一つは、中長期的に見て物価の安定が確保されている……

○金子洋一君 いや、それはそうじゃないです。だから、展望レポートで公表しているからそれでいいんだということについてどうお考えなのかと。

○参考人(白川方明君) 展望レポートでは、先々の経済、物価の姿、見通しを展望しまして、それが我々の判断する中長期的な物価安定の定義に照らしてどういうふうに評価できるかということを示しております。
 通貨の信認、物価の安定ともう一つ、これは最終的に通貨の支払、これは、現代の金融システムの下ではこれは預金通貨でございます。つまり、最終的に預金がちゃんと元本が返ってくるという安心感でございます。これはリーマン・ショックのときにも示されましたけど、最終的にあの局面では欧米各国、政府が公的資本注入を行いました。つまり、最終的に民間金融機関の信用というのは、これは国家のやっぱり信用によって支えられるということでございます。これは言い換えますと、財政のバランスについて中長期的なバランスが確保されるかということに帰着します。それであるがゆえに、ユーロの参加の条件として、その一つの条件として財政バランスも入っているわけでございます。
 そういう意味で、厳密に数量的に定義できないけれども、しかし、大事なことは世の中にはたくさんあるというふうに思います。民主主義もそうですし、この通貨の信認ということもそうだというふうに思います。

○金子洋一君
 御答弁については全く納得できませんが、時間が参りました。
 日本銀行が保有する長期国債の残存期間別割合とその残存期間を今後毎月公表していただきたいということと、学者さんや学会に対する支出の公表も是非お願いをしたいと思っております。
 ハイパーインフレ、ドイツで起きました、戦間期のドイツ。これは、古い無能なライヒスバンクという中央銀行をぶっ潰してレンテンバンクに変えてレンテンマルクを出したということで終結をしましたので、金融政策をきちんと使えばそういったハイパーインフレすら対応ができるんだということを強調させていただきまして、私からの時間、終了させていただきます。
 ありがとうございました。




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