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国会質疑
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2011年5月12日
財政金融委員会

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○委員長(藤田幸久君) 預金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
 預金保険法に関します質疑に入ります前に、自己資本つながりということで、日銀の雨宮理事にお忙しいところおいでをいただきまして、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
 五月十日に日本銀行さんが、財務健全性の確保の観点から、当期余剰金の五%相当額を超える、五%というのは通常五%なんですが、これを一五%相当額を法定準備金として、いわゆる民間の銀行でいう自己資本として積み立てる方針を決定し、認可の申請をしておられるということなんですが、この件につきまして、国庫納付金を減らして自己資本比率を引き上げるという問題につきまして、金融政策、特に通貨の信認に及ぼす影響についてお尋ねをしたいと思います。
 前回、先月、雨宮理事に質問にお答えをいただいたときに、通貨の信認という問題は、言ってみれば金融政策が財政のファイナンスということを目的に行われずに、物価安定の下での持続的成長ということを目的に行われているということ、あるいは財政規律がしっかり保たれているかということが問題でございますので、その点を考えますと、やはり例えば東電などの社債と国債というものは違う性格を持っているので、この両者についてリスク量のみを比較して買入れ額の適否を論じるということは適切でないというふうに御答弁をいただきました。
 私は、今回のレクのときにも申し上げましたように、中央銀行の自己資本比率を問題にするということは意味がないというふうに考えておりますので、それを踏まえてお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、この前回の理事の御答弁を踏まえて考えますと、通常、自己資本比率が引き上がりますと、商業銀行の場合ですとリスク資産をたくさん買い入れることができるようになるはずですね。ところが、前回の理事の御答弁を踏まえますと、日銀が自己資本比率を引き上げたからといって、資産の買入れ、例えば長期国債の買い切りオペのようなものを直ちに増やすことができるようになるわけではないというふうになるわけなんでしょうか。もしそうなると私は残念だなと思っているんですが、その点についていかがでしょうか。

○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
 今議員御指摘のとおり、私ども、平成二十二年度の決算におきまして、法律上義務付けられております剰余金の五%、これを超えます一五%相当の準備金を積み立てるという方針を決定し、先般認可申請を行ったところでございます。
 この基本的な考え方、改めて申し上げさせていただきますと、私どもは、中央銀行が適切かつ機動的な金融政策運営を行う上で、これは結果的には通貨の価値を維持する上で、中央銀行の財務の健全性を確保するということは大変重要な条件であるというふうに考えておりますし、これは各国の中央銀行間でも共有されている考え方というふうに理解してございます。
 こうした財務の健全性を確保する上では、この保有資産のリスク管理を徹底するということに加えまして、様々な、中央銀行オペレーション、資産の買入れを行っておりますので、その場合に発生し得る損失の可能性に対しまして十分な備えを持っておくということが機動的な対応のために必要になるわけでございます。
 今回の準備金の積み増しもこうした考え方に基づいたものでございますので、ただし、これは先生御指摘のとおり、言わばこの可能性の範囲を広げるということでございますので、当面の金融政策運営に直ちに直接関係を有するということではございませんが、こうした格好で資産の健全性を維持していくということが、結果的には適切かつ機動的な金融政策運営を可能にする条件を財務面から整えると、こういうふうに理解してございます。

○金子洋一君 となりますと、自己資本比率が引き上がりましても、直ちに国債の買い切りが増えるわけではないという解釈でよろしいわけでしょうか。

○参考人(雨宮正佳君) 繰り返しでございますけれども、こうした準備の積み上げということ、あるいは財務の健全性の確保というのは適切、機動的な金融政策運営を可能とするための条件を整えるということでございます。
 金融政策としては、こうした財務運営の条件を勘案した上で、あくまでその時々の経済、物価の見通しあるいは金融市場の状況等を勘案し、それを判断した上で行う、金融政策の決定を行い、どのようなオペレーションをやっていくかを決定するということでございますので、先ほど申したとおり、現在の金融政策運営と直接関係するということではないということで申し上げました。
 ただし、繰り返しになりますが、機動的な金融政策運営の言わば条件を財務面から整えるというふうに御理解いただければというふうに存じます。

○金子洋一君 日銀の資本をめぐって様々な議論があるからといって、我々はこの現在のデフレという経済状況から顔を背けるわけにはいかないわけです。また、特に、民間の株主がおられるとはいっても、日本銀行はいわゆる民間の商業銀行じゃありません。そして、民間企業の破産といった意味での破産は日本銀行にはこれは起き得ないわけですし、そういったことを考えますと、商業銀行が自己資本を維持するといった普通の理由は日銀に当てはまらないのではないかという考えが成り立つと思いますが、この考えについてはどうお考えでしょうか。

○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
 中央銀行の自己資本あるいは財務の健全性という点につきましては様々な、学界、中央銀行間でも考え方がございますけれども、やはりその財務の健全性を維持するということは、金融政策運営、通貨価値を維持する上で重要な条件であるという認識は、中央銀行間では各国とも共有されているように存じます。
 その基本的な考え方でございますけれども、仮に中央銀行の財務の健全性が毀損されるという事態になりますと、中央銀行が独立いたしまして適切かつ機動的な金融政策運営が果たして行えるのかどうか、損失を抱えた格好で機動的に独立してできるのかどうかといった疑念が例えば内外のマーケットで広がりますと、この結果、通貨の信認や金融政策の有効性に関する信認が低下する可能性が非常に大きいと危惧されます。こうした考え方に基づきまして、各国中央銀行とも財務の健全性を重視するという考え方を取っているものというふうに理解してございます。

○金子洋一君 中央銀行として、自己の組織の保全あるいは利益と言ってよろしいんでしょうか、利益の確保ということはどうしてもある程度仕方ないのかもしれませんけれども、私にはいささか納得のいかないところでありますし、実は先ほど引用しましたのは、二〇〇三年に日本金融学会で、現在FRBの総裁というんでしょうか、バーナンキさんが二〇〇三年の日本金融学会で発言をしたその内容をそのまま申し上げたところであります。
 つまり、中央銀行のロジックから申しますと、今理事のおっしゃったようなことが当てはまるのかもしれません。しかし、マクロ経済的に景気全体を見る観点からするとそういうことではないんだということを、まさに今FRBのバーナンキさんが、FRBのヘッドであるバーナンキさんがおっしゃっているわけです。
 同時に、その同じ講演の中でバーナンキさんはこういうふうにおっしゃっていますので、そこをちょっと引用をさせていただきたいと思います。
 財政の観点から見れば、国債のマネタイゼーション、つまりは財政ファイナンスのことですけれども、これが増加することは一般の税金をインフレ税に置き換えたにすぎませんと。しかし、デフレに取りつかれた日本という文脈でいうと、インフレそしてこれと結び付いた名目支出の増加というものは、景気回復と不稼働資源の再活性化を促進するという目的達成に役立つでありましょうし、これがひいては税収増をもたらし、政府の財政状況を改善することになるんでしょうというふうにおっしゃっています。
 やはり、組織としての、堅めに見積もるということも必要なんだろうとは思いますが、やはり日本経済全体を見通していただきたいというふうに申し上げまして、委員長からの御許可が出れば、理事には御退席をいただければと思います。
 もし何かコメントがあればいただいても結構ですが。

○参考人(雨宮正佳君) まず、御理解いただきたいことを申し上げますと、私ども中央銀行の財務の健全性を申し上げているのは、中央銀行の組織としての観点ということではなくて、今先生御指摘の、国民経済全体としての観点から適切な金融政策を機動的に運営し、通貨価値の安定を維持するために必要な条件であるというふうに私どもは理解しているということを是非御理解いただきたいというふうに存じます。
 その上で、他国の中央銀行首脳の御発言についてコメントすることは基本的に差し控えさせていただきますけれども、例えば、昨年、バーナンキ議長もFRBは財政赤字をマネタイズすることは絶対にしないということまで実はおっしゃっておりまして、やはり考え方としては、中央銀行の独立した適切、機動的な金融政策運営を通じて通貨価値の安定を守るという考え方はやはり軌を一にしているのではないかというふうに理解しております。
 以上でございます。

○金子洋一君 済みません、そのコメントに一言申し上げたいんですが。
 FRBは、いわゆる銀行券ルールという観点から見ますと、MBSプラス米国債を合わせますと、恐らく倍近い買入れを既にしております。そういった意味で、現在の日本銀行、これは銀行券ルールから見ましても、大体八十兆円出しているところで長期国債の買入れ額が六十兆円ですから、FRBの比率でいうと三分の一程度しか買い入れていないということがありますので、その点は私は余り賛成はできませんけれども。
 理事に対しての御質問は以上でございますので、もし……

○委員長(藤田幸久君) では、雨宮理事は御退席していただいて結構でございます。
 では、引き続き金子洋一君。

○金子洋一君 それでは、預金保険法につきましてのお尋ねを申し上げます。
 まず、この住専処理に関しますスキームにつきましては、もう大勢の皆様方が、ステークホルダーの皆様方が議論をなさって、この道しかないということで随分と前に決められたものだと思っておりますので、これは動かし難いんだろうと思っておりますので、異存はもちろんございません。
 ただし、この今回三千百億円投入をされます預金保険料につきましては、これは毎年納付をされておりますけれども、各種の銀行にとって大変厳しい大きな負担になっている。経常利益の一割近い負担になっていると思います。そういうものでございますし、また、住専の母体行は住専に対する債務を放棄した上でまた基金の積立てに拠出をしたりしておるわけですので、そういったことについて、これ、回り回ってまいりますと、預金保険料というのは最終的に預金者の、すなわち国民の負担になりますので、これをこの一区切りが付く機会に見直していただけないかという問題意識を持っております。
 そこで、まずお尋ねをしたいと存じますが、今後どの程度の保険事故が発生することを前提に現在の預金保険料を設定しておられるのか、保険数理的に見るとどういうふうに考えておられるのかということについて簡潔にお答えを、大臣、いただければと存じます。

○大臣政務官(和田隆志君) 私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 今、金子委員お尋ねの預金保険料率をどのような視点から定めているのかというお問合せでございますが、いわゆる保険数理、保険会社と契約者との間で定まっていくような保険数理というのは、少し、国のシステムがかかわっていることでございますので、異なっているのかなというふうに思っています。
 具体的には、やはり金融システムの安定を目指しながら料率を決めていかなければいけませんので、まず、預金保険機構の長期的な財務状況が安定するようにという視点、それから、先ほど申しましたが、現在の金融システムの状態、またこれから先、将来の金融システムの状態、そうしたものをにらみながらどれぐらいの責任準備金を積み立てていくべきだろうかという視点が必要になってくると思っています。更に言えば、今御指摘の中にもありましたが、実際に負担していた金融機関の実情、そのときそのときの体力、それぞれ背景を持ってありますものですから、それらを総合的に勘案して料率を決めていくということになろうかと思います。

○金子洋一君 やはり残高の問題、赤字の問題、そういったことは、保険という名前が付いているとは言いましてもやはり認識をしていかなければならないのかなというふうに私も思います。
 そこで、さはさりながら、今年度、恐らく黒字になっていく、そして毎年毎年六千五百億円もの預金保険料が納付をされておるということになりますと、今後ずっと黒字が続いていく、毎年六千五百億円ずつ積み上がっていくんではないかなと思うんですが、いささか取り過ぎではないかというふうに思っております。
 そこで、今お話の中にありました全体の財務の問題、特に上位行と下位行の、何というんでしょうね、健全性の問題などいろいろ出てくると思いますけれども、そういったことにも配慮をしつつ、自己資本比率ですとか、あるいは国債、リスクフリー資産ですので、国債での運用の比率、そういったものを配慮した形での可変保険料を早急に導入の検討を始めていただいてはいかがかなと思うんですが、この点いかがでございましょうか。

○大臣政務官(和田隆志君) 今委員御指摘いただいたような可変保険料率の制度を取り入れている国もございます。多分よく御存じだと思いますが、御紹介までに申し上げれば、一九九三年にはアメリカが導入しているところです。そして、フランスやカナダもまたそれに追随するような形で一九九九年に導入しているようでございます。
 こうした考え方を日本の金融制度の構築の上で検討してこなかったかというと、そうではございませんで、経緯で申し上げれば、平成十二年のことのようでございますが、そうした諸外国の導入事例も鑑みながら、やはり銀行の健全性に着目して、そうした料率を可変的にということも可能性としては持っておくべきではないかということが金融制度審議会の方で行われたようでございます。そうしたことを背景に法改正もされておりまして、制度を導入することは可能とはなっています。
 しかし、先ほど御指摘のあったように、そういったことをもし導入しようとすると、そのときそのときの金融機関の個別事情をよく見極めていかなければいけない。つまり、どこかのレベルから、ある銀行については保険料率を上げなければいけないし、ある銀行については下げることができるでしょうし、しかし上げなければいけないというときには、逆にそれはその金融機関の健全性が悪化している状況の中でリスクが高まっているから保険料率を上げなければいけないという判断を行っていくことになりますが、それは更にその金融機関の経営悪化をもたらしかねないということもございまして、今までのところは、その責任準備金の概念が、欠損になっていることも重なり合いまして、やはりある程度一律に〇・〇八四%という割合でございますが、いただいた方がよかろうという判断で推移しているものと考えております。

○金子洋一君 可変保険料率につきましての御説明は納得をいたしました。
 ただ、やはり今後どんどん残額が積み上がっていくということもございますので、ちょうど平成八年から十三年までの間、全額保護をするための財源としまして特別保険料が〇・〇三六%でしたけれども課されておったと思います。現在では全額保護はもうなされておりませんから、その当時、平成八年度から〇・〇八四%へ、その前年度が〇・〇一二ですから七倍保険料率が上がったわけです。その七倍上がったうちの〇・〇三六、特別保険料分だけでも、預金の全額保護は行われていないわけですから、預金者の負担の観点から見ましても見直しの中で速やかに撤廃すべきではないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。

○大臣政務官(和田隆志君) 今委員に御指摘いただきましたとおり、現在ではペイオフ制度、一千万円超の部分は保護しないことを前提に考えるべきであろうというふうに思いますが、その当時、おっしゃったように特別保険料として一千万円超のものに備えるために料率を課しているという概念を導入しておりましたけれども、今では〇・〇八四%という実効料率は、特別料率を含めてその実効料率〇・〇八四%というふうに概念構成しているわけではなくて、あくまで責任準備金、むしろ一般料率でございますが、そちらの方でそれだけはある程度いただいた方がよいであろうと、その歴史的背景で申し上げれば、そちらの方の責任準備金の概念で申し上げても欠損がずっと続いているものでございますので、そこの部分を何とか早く埋め合わせてプラスに転じる方が金融システムの安定に資するであろうという判断に基づいております。

○金子洋一君 埋め合わせが目的になっておるという点については理解をさせていただきました。
 これまでこういった形で申し上げたような議論をする場を是非とも、大臣、早急に設置をしていただいて検討をいただけないかと思うんですが、最後の質問でございます。

○国務大臣(自見庄三郎君) 金子先生の御質問も聞かせていただいて、平成二十四年度以降の保険料率の在り方について、今平成二十二年度の責任準備金の残高は千三百八十五億円の低位なものが見込みでございますが、今先生御質問のように、年間六千五百億円から七千億円ぐらいの保険料が将来見込まれるんじゃないかということでございまして、こういったことを踏まえて、預金保険機構において、先生御指摘のように、今後機構内に検討の場を設けて検討が行われるということで、今可変保険料率の話いろいろ出たわけでございますが、それぞれ一長一短があるわけでございますけれども、やはりそういったようなこと、預金保険機構の長期的な財務の安定、あるいは現在及び将来の国の金融システムの安定、そして金融機関の負担能力と申しますか過度の負担の回避、今はせいぜい一割ぐらいだという話が出ましたけれども、そういった中長期的な観点を持って、まずは預金保険機構においてしっかり御検討いただきたいというふうに考えております。

○委員長(藤田幸久君) 金子洋一君、時間でございますのでおまとめください。

○金子洋一君 はい。
 預金者の負担に大きくかかわってくる問題ですので、是非ともよろしく御検討をお願いいたします。
 以上でございます。ありがとうございました。




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