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国会質疑
国会質疑 詳細
2011年10月27日
財政金融委員会

■財政金融委員会に関する動画


○金子洋一君 お疲れさまでございます。民主党の金子洋一でございます。
 今日は実は、MアンドA資金の不透明な流れが指摘をされておりますオリンパスの問題を中心に取り上げさせていただきますけれども、その前に二点お尋ねをしたいと存じます。
 まず、タイの洪水についてでございますが、我が国のタイの洪水に対する対策の在り方と、そしてもう既に今回の被害はもう過去、想定された被害を上回って いるという声も出ているということから、損害保険会社あるいは自動車や電機といった現地の日系の産業などへの影響がどのようなものであるのか、経産委員会 の案件でございますので恐縮ですが、簡潔に御答弁をいただければと存じます。

○政府参考人(川上景一君) タイの洪水が現地に行っております我が国製造業へどのような影響があるかというお尋ねがございました。
 御承知のように、自動車産業やエレクトロニクス産業など、日系企業の生産拠点がタイに集積してございます。現在、浸水被害が発生しております七つの工業 団地には四百社以上の日系企業が入居をしておりますが、直接被害を受けた日系企業数はタイに進出している日系製造業の二割強に上ると推測をいたしておりま す。
 また、自動車産業やエレクトロニクス産業などでは、直接被災していない企業についても、被災した企業からの部素材の供給途絶などによりまして、生産停止や減産などのサプライチェーンへの影響が生じておるところでございます。

○金子洋一君 報道によりますと、更に被害が拡大をすると言われておりますので、十分な情報収集と、また政府としてのサポートをお願いをしたいと存じますので、またその点につきまして何かありましたら、一言お願いします。

○政府参考人(五嶋賢二君) お答え申し上げます。
 タイの洪水被害につきましては、去る二十五日、総理より指示がございました対応策が関係省庁で取りまとめられたところでございまして、このうち経済産業の復興対策につきましては、経済産業省にて取りまとめを行ったところでございます。
 まず、復興まで長期間を要すると見込まれております。したがいまして、現地のニーズとして大きいのは資金繰りの支援でございまして、これに対応するため に、日本国債を担保としたタイ中央銀行から邦銀の現地支店などに対するタイ・バーツの資金供給策の検討、協力を進めることといたしました。
 また、中小企業につきましては、日本政策金融公庫の資金支援制度に資金の使途の追加を行いまして、国内の親会社を通じまして現地の子会社に災害復旧のための資金を供給できるようにしたところでございます。
 さらに、現地の日系企業による取引の再開を支援するために、民間の損害保険会社との協力によりまして、現地の日系企業の販売リスクを貿易保険によりカバーできるようにいたしました。
 それ以外にも、操業再開までの期間を活用しまして、タイ人の技術者の日本での研修の受入れの支援などの措置を講じることとしております。
 こうした今回の対策でございますが、時間が限られた中での対応できるものを取りまとめたものでございまして、引き続き現地ニーズに応じまして追加の支援策を検討してまいりたいと考えております。

○金子洋一君 どうもありがとうございました。
 東日本の大震災、さらには円高と日本経済には非常に大きなショックが来ておりますので、このタイの洪水の問題もまたそれに加わってトリプルショックとでも申しましょうか、十分にケアをしていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。
 続きまして、安住大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。本日の大臣の御答弁で、円高につきまして、実体経済がどうかだということが大切だと、あるいは 輸出産業の設定レートから見ると現状では厳しいというお言葉をいただきました。これは、日本国内の特に輸出産業にとって大変有り難い、力付けられる御発言 ではなかったかなと私は思っております。
 またその意味で、これは中山委員が御質問の最後に御指摘になったことで、恐らく私と同様の問題意識をお持ちだと思うんですけれども、ユーロ圏の支援策と して欧州金融安定基金、EFSFの発行する債券を買うと。そしてこれは、今までのように外貨準備から買うのではなくて政府短期証券を発行をして買うのでは いかがでしょうか。その際にも、これPRが、プレゼンテーションの問題になるんですけれども、我が国として、例えば上限数十兆円買いますと。これ上限です から、別に今買うとかあるいは将来買うとかそういう約束じゃありません。買入れの上限を数十兆円にすると、それでどんどん支援をいたしますというような、 ちょっと西洋人風のはったりも含めまして、そういった形で外貨準備ではなく、政府短期証券を発行して、結果的には円売りユーロ買いの介入になると思うんで すが、そういった形でちょっとEFSF債を購入をしていただくということを御検討願えないでしょうか。

○国務大臣(安住淳君) これは、金子さんのせっかくの御提案なんですけれども、非常に率直に言って、購入方法としてはやっぱり厳しいかなと思っております。
 政府短期証券の発行によって調達した円資金が、これ外貨に換えるということになれば、見ようによってはこれは為替介入しているんじゃないかというふうな 指摘もありますので、そういう点はやはり厳に私としては残念ながら慎まないといけないなというふうに今は思っております。

○金子洋一君 ありがとうございます。今は思っておりますという御発言の今はというところに私は大臣の温かい心根が出ているんではないかなと受け止めさせていただきました。どうもありがとうございました。
 それでは、本日、中心にお尋ねをしたいオリンパスの問題について、今日はわざわざ株式会社東京証券取引所の常務執行役員の静さんにおいでをいただきました。
 まず、MアンドA資金の関連で不透明な資金の動きがあると報道をされておりまして、これは我が国のコーポレートガバナンスの問題や、あるいは株式市場の 信頼性の問題にまでこれは発展しかねない。いや、現実に海外のメディアではそういうふうに論調がなっております。この問題についてお尋ねをさせていただき たいと思います。
 まず、報道によりますと、オリンパス、光学精密機械製造会社であります、内視鏡などで有名ですが、二〇〇八年の二月に英国のジャイラスという会社を二千 百億円で買収をいたしました。その際に、買収の助言をいたしましたコンサルタントの会社に、その報酬として優先株を含めて約六百六十億円を支出をしたと言 われております。これは買収金額の三割以上になりまして、大変な高い比率であります。さらに、オリンパス社は、二〇〇八年の四月に約合計七百三十四億円で 買収をいたしました国内の三つの会社につきまして、一年足らずのその期末に減損処理を行いまして、その八割近い五百五十七億円の損失を計上したということ であります。
 十四日に解任されましたこれまでのオリンパス社の前社長、これはイギリス人の方なんですけれども、そして、そのイギリス人の前社長と現在の経営陣の間で争いが生じておりまして、マスコミの報道によりますと、両者の主張というのはこれ真っ向から対立をしております。
 一方で、同社の株価は、その十四日の前社長の解任の前と比べまして半分以下に下落をいたしまして、当時、総株価が、株価の総額が六千億円ぐらいあったも のが三千億円以下ということであると思いますが、特に外国人投資家が中心であると思いますが、投資家の経営判断に大きな影響を与えていると言われておりま す。
 海外のメディアにおきましても、先ほど申し上げましたけれども、我が国の企業風土の特異性を表す代表例というような形で扱われておりまして、内外の投資家からもこの件についての情報公開を求める声が強く出されているということであります。
 こうした事案が放置をされますと、我が国の企業全体のコーポレートガバナンスの問題に疑問が投げかけられる、あるいは株式市場そのものの在り方に疑問が投げかけられるということになってしまうわけであります。
 そこで、上場会社を管理する立場にいらっしゃいます東京証券取引所の静常務にお尋ねをしたいんですが、今申し上げた認識でよろしいかどうか。そして、何 か付け加えることがあるかどうか。そして、大きな問題というのは何があるのかということにつきまして確認をさせていただきたいと思います。


○参考人(静正樹君) 御質問ありがとうございます。
 お尋ねのオリンパス社の件でございますけれども、御指摘のとおり私どもの上場会社でございます。私どもでは、未公開の情報を含めまして市場開設者という 立場でいろいろな情報を持っておりますけれども、個別銘柄に関する情報につきましては、既に公表されている情報ですとかあるいは報道されている情報で周知 の情報というのはありますけれども、こういうものを除きますとコメントができないことがございますので、あらかじめ御承知おきをいただきますようお願いを 申し上げたいというふうに思います。その上で、先ほど先生御質問の点につきましてお答えを申し上げたいというふうに思います。
 同社は、今年の十月十四日、つい先日でございますけれども、当時の代表取締役の解任、社長さんの解任を発表いたしまして、その後大きく株価は下落しているわけでございます。この間に、主に投資家の方の立場から指摘されている問題が幾つかございます。
 先ほど先生御指摘の部分と重なりますけれども、私の方からも若干紹介させていただきますと、まず一つ目は、二〇〇七年に買収手続を開始をいたしましたイギリスの医療機器メーカーに関するものということでございます。
 会社側の発表資料によりますと、この買収に絡みまして、日本円にして六百億円余りをアドバイザーに支払ったということになっておるわけでありますけれど も、これにつきましては、買収そのものに要した金額が先ほどありましたように二千億円以上ということでございましたので、それに比べまして二千億円と六百 億円という意味でもアドバイザーフィーとしては非常に高額ではないか、高過ぎる金額を支払って不当に企業価値を毀損したのではないかといったようなことが 投資家からも指摘があったことが一点目でございます。
 二点目は、これは二〇〇六年から八年にかけてでございますけれども、段階的に買収を行ったとされる国内の三つの子会社に関連するものでございます。
 これも会社側の発表資料によりますと、合計で七百三十四億円ということでこの三社を買収したんですけれども、それから一年にも満たない二〇〇九年には五 百五十六億円の減損と呼ばれる損失を出しているというのは御指摘のとおりでございまして、こちらにつきましては、元々の買収金額そのものが妥当だったのか どうか、あるいは高過ぎる金額で買収して不当に企業価値を損なったんではないかといった指摘を受けていると、こういうことでございます。
 三点目でございますが、先ほど申し上げました社長解任の件に関するものでございます。
 これも会社の発表資料を簡単に御紹介しますと、ほかの経営陣の方との間に経営の方向性ですとかあるいは手法に関する乖離があったということが解任の理由 だというふうに発表されているわけでございますけれども、過去の買収案件を問題視したということが本当の理由ではないかといったような指摘が、これは報道 でございますけれども、ございます。その間に株価は、解任前日が二千四百八十二円だったんですけれども、直近の安値では、二十四日の午前中に千十二円とい うところまで下落をして半値以下になったと。御指摘のとおりでございます。こうした一連の経過もまた目に見える形で企業価値を損なったんではないかと、こ れが三点目の指摘ということだというふうに思います。
 今申し上げましたような三点に関しましては、私どものところにも内外の投資家から数多くの御意見をちょうだいしておるところでございます。先生御指摘の とおり、東京証券取引所といたしましても、我が国の証券市場に対する世界中の投資家の信頼を損ないかねないものだということで深く憂慮をしているというこ とでございます。
 そういう意味で申し上げますと、私どもが市場開設者という立場で何をしなければいけないのかということにつきましても三つほど課題があるというふうに思っておりますので、それについてもお答えをさせていただきます。
 一つ目は、会社が発表している情報と内容が違う情報が事実関係がよく分からないまま市場に流布されて提供されているということでございますので、これを このまま放置をいたしますと投資者の皆さんの間の投資判断に混乱が生じるという、こういう懸念があるということが一点目でございます。
 二つ目は、会社の今の経営陣が言わば指摘されている問題の一方の当事者にもなっているという問題でございますので、会社側の発表する情報が果たして正確なのかどうかということについてやはり投資家の信頼が低下しかねないという心配があると、これが二点目でございます。
 これは、今二点申し上げましたのはいわゆる情報開示の問題ということでございますが、まさに毎日私どもの市場で売買が行われている株の問題でございますので、市場開設者といたしまして緊急の対応が必要な問題だというふうに考えております。
 最後に、三つ目でございますけれども、これはマーケット全体への影響という観点でございます。上場会社が企業価値の向上を目指して経営を行うように、外 側からモニタリングするためのシステムというものが日本の上場会社では十分に機能していないのではないかという不安感がこの事件をきっかけとして投資家の 間に広がりかねないという心配が三つ目に挙げられます。
 この点につきましては、先生御指摘のように、コーポレートガバナンスの問題ということでございまして、我が国の上場企業一般に対する投資者の不安が大き くなっていくということになりますと、マーケットに対する信頼も大きく損ないかねないというふうに危惧をしているところでございます。
 以上でございます。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 今の静常務の御説明も踏まえまして、やはり私はこの件、二つの大きな問題点があると思いますが、一つは、おっしゃいましたように情報開示、情報公開の問題、そしてもう一つ、コーポレートガバナンスの問題ということになろうと思います。
 これについては、まずオリンパス社が、第一段階として自らの努力、取組をしていく必要があるんだろうと思います。つまり、具体的に申しますと、第三者を 交えたいわゆる第三者委員会、こういったものを早期に立ち上げることだろうと思います。そして、第二には、これはまた後ほど詳しくお尋ねをしますし、最終 的にはこれは金融庁の大臣がお決めになることですけれども、当局による調査が必要になるんだろうと私は思いますし、その点につきましては後ほどお尋ねをし ようと思いますが。
 その第一段階のオリンパス社が自主的に行う取組に戻りますけれども、複数の投資家からオリンパス社自身に対して事実の究明を求める意見というのが送られ てきておるそうであります。私もそのコピーを拝見をいたしました。やはりこの情報開示というのがまず第一に重要になりますが、これにつきまして東証さんの 対応状況をお知らせいただきたいと思います。

○参考人(静正樹君) お答えを申し上げます。
 情報開示が大変だというのは確かに御指摘のとおりでございます。証券市場は、いろいろな投資家の方がいろいろな投資判断を行って、それが売り注文、買い 注文という形でマーケットで需給が統合されるというのが、そういう場所が証券市場でございますので、有価証券の価格をそれによって公正なものを発見してい くというのが一番大事な機能でございます。これをしっかりと発揮させるためには、重要な会社情報が正確、公平かつ迅速に開示していただかなければいけない ということでございます。市場の公正性ですとか健全性に対する投資家への信頼を確保する上でも、適時適切な情報開示というのが最も重要な要素の一つになっ ているということでございます。
 そこで、私どもでは上場ルールを設けまして、重要な会社情報を開示するということを当上場会社に求めております。基本的なルールというのは簡単でござい まして、重要な会社情報が発生すれば上場会社が自発的にその情報を発表するというのが基本でございますけれども、そのほかにも、今回はそういうケースが多 いんですけれども、市場に不明確な情報が流れた場合に、私どもから上場会社に事実関係の確認を行いまして、情報の真偽ですとかあるいは会社としての見解に ついての発表をしていただくと、こういう仕組みもございます。
 オリンパス社の場合には、先ほども申し上げましたとおりでございますが、会社が発表している内容とは違う内容の情報が流れるとかいうことが日々起こって おりますし、それと呼応するように株価の方も大きく変動しているというのが現実でございます。そこには、一般の銘柄とは異なる特別な事情が現時点で存在し ているというふうに思われますので、それを踏まえまして、主に私どもでは二つの点に注意をして日々市場秩序の維持に努めているということでございます。
 一点目でございますが、会社の発表と異なる、あるいは会社が発表していない情報が日々流れておりますので、その都度、事実関係を会社に照会して見解を迅速かつ的確に開示するよう求めているというのが一点目でございます。
 一例を申し上げますと、十月の十八日付けですけれども、社長解任の経緯について会社としての見解を発表していただきました。また、翌十九日付けでは、過 去の買収案件に係る事実関係の概要を発表していただいた。これは私どもの求めに応じて会社から発表していただいたということでございます。また、実は本日 午前中、十一時だったと思いますけれども、につきましては、いわゆるアドバイザーに対する報酬ですとか、国内子会社の買収金額ですとかいった問題について の詳細な説明というのも実は公表されておりまして、次第に問題の核心部分についての会社側の認識が明らかになりつつあるというところでございます。
 二つ目は、先ほど申し上げましたけれども、会社の情報、発表している情報の正確さについて投資家の信頼が低下しかねないという、そういう懸念に対応する ために、客観的な事実関係がきちんと究明できて、しかも信頼性の高い情報が開示されるということになるように、経営者から独立した方で構成されるような外 部組織をつくっていただいて、速やかな調査を行い、調査結果を発表するということを会社に対して要請をしてまいりました。その結果、会社は、十月二十一日 付けでございますけれども、第三者委員会の設置をするという方針を明らかにしておるところでございます。
 私どもといたしましては、この委員会によります調査を一日も早くお進めいただきまして、その調査結果を迅速に御公表いただきたいということで今後も要請 を続けていきたいというふうに思っておりますし、あわせまして、引き続き適時適切な情報開示の確保に努めていきたいというふうに考えておるところでござい ます。
 以上でございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 そして、特に海外の投資家から、この件はコーポレートガバナンスの、日本企業総じてコーポレートガバナンスに欠けるというそういった先入観があるような んですけれども、この件は特にそのコーポレートガバナンスの欠如にかかわっているんじゃないかという声が出ておりますし、実は私ども民主党では、公開会社 法というのを作ってコーポレートガバナンスをもっと強化すべきだと、そして海外からの直接投資も大歓迎しようじゃないかという考えが元々あるわけでありま すけれども、疑惑として報道されていることが仮に事実であるとした場合、今回起きていることがコーポレートガバナンスがもっと充実をしていたのならば生じ なかったのではないかというふうに私は思うんですが、この点いかがお考えでしょうか。

○参考人(静正樹君) ありがとうございます。お答えを申し上げます。
 オリンパス社の問題につきましては、まだ第三者委員会もこれからということでございます。したがいまして、事実関係がはっきりするまでには至っておりま せんので、どんな施策が必要なのかですとか、御質問いただきましたような効果的な施策というのはコーポレートガバナンスの問題なのかということにつきまし ては、現時点で確定的なことは何も申し上げられないということでございます。しかしながら、これを契機として内外の投資家からコーポレートガバナンスの充 実を求める声が強まることは恐らく間違いないであろうというふうに思います。
 これまで日本では、このコーポレートガバナンスの議論をする際には、特に経済界を中心にして、形式的な要件を満たしているかどうか、例えば社外取締役が いるかいないかといったようなことよりも、その仕組みが機能しているかどうかという実質の方が重要なんだといった主張が力を持ってきたというのが現実でご ざいます。しかしながら、今回の問題を始めといたしまして、最近幾つかの上場会社で起こっております不祥事ですとか内紛と言われるようなものにつきまして は、これは投資家から見ますと日本企業のコーポレートガバナンスが実は機能していないのではないかというふうに、そういう疑念が広がるような問題だろうと いうふうに思います。実質的にガバナンスが機能していれば形は要らないと言わんばかりのこれまでの主張につきましては、その根拠が恐らく大きく揺らぎつつ あるように見えますし、今まさにその主張の真意が問われているのではないかというふうに私も思います。
 そこで、昨日でございますけれども、私ども東京証券取引所では、弊社社長の斉藤惇の名前で、全ての上場会社の代表者の皆さんに対しまして要請文を送らせ ていただいております。その中では、この機会に改めて株主の負託にこたえて企業価値の向上に努めることが上場会社経営者の責務であるということを社内に徹 底するといった形でコーポレートガバナンスの充実に注力をしていただきたいということを要請をしているわけでございます。
 ここで株主の負託にこたえて企業価値の向上に努めると申しましたが、もちろん顧客ですとか取引先、従業員、あるいは金融機関を始めとする債権者、さらに は会社を取り巻く地域社会のような、上場会社を取り巻く多様なステークホルダーを全部満足させることなしには継続して企業価値を高めることができないと 我々は考えております。お客様に魅力のある商品を提供し、取引先には適正な代金を支払い、従業員にも適正な賃金を支払い、債権者には定められた利息、元本 を返済し、地域社会に一定の貢献をする、そのようにして初めて得られるのが長期的な企業価値の向上でありますし、株主の利益でもあるということでございま して、それを実現するために株主が会社の経営をモニタリングする仕組みというのがこのコーポレートガバナンスだというふうに理解をしております。
 私どもでは、証券市場の魅力を向上させるために、これまでも実は上場会社のコーポレートガバナンスの充実に積極的に取り組んでまいりました。一例だけを 申し上げさせていただきますと、一般株主の利益の保護をしようということで、経営者から独立性の高い役員を必ず一人選任してくださいということで、これを 二〇〇九年から上場ルールに入れております。現在、上場会社には必ず一名以上の独立した社外取締役か社外監査役、どちらかがいらっしゃるという形になって おります。上場会社全体の平均で見ますと大体二者ぐらいの、これを独立役員と呼ぶんですけれども、そういう方がいらっしゃいます。
 実はイギリスとかアメリカでは、取締役の過半数を独立性の高い取締役で構成するということがもう今やグローバルスタンダードでございますので、それとの 比較で見ますと、実はこの仕組みは、監査役でもいいですとか一名だけでもいいという意味では見劣りするということは否めないんですけれども、日本の上場会 社が全体としてコーポレートガバナンスの充実に今真剣に取り組み始めたんだという、そういう初めの一歩として海外の投資家からも好意的に評価をいただいて いるところでございます。
 一方、先生の御指摘もございましたけれども、現在、法制審議会の会社法部会の方で会社法改正の議論が行われておりまして、ここも元々の発想が公開会社法ということもございまして、主要なテーマの一つとしてコーポレートガバナンスが取り上げられてございます。
 私どももその議論に実は参加をさせていただいているわけでございますが、会社法で社外取締役の選任を義務付けるかどうかですとか、社外性の要件を今より も独立性の高いものに見直すべきかどうかといった点について議論をされておりますので、先ほど申し上げたような意味合いで、長期的な企業価値の向上に資す るような見直しがこの会社法改正を通じて実現するように今後も積極的に意見を述べて議論に参加していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 我が国の経済あるいは社会の状況といかにマッチした形で、主にこういったアイデアは海外から来たものだと思いますけれども、いかにマッチした形で実現をさせていくのかというところが大きな問題にこれからなっていくんだろうなと思います。
 特に、会社は誰のものかという永遠に続くかのごとき問いもございます。従業員のものかもしれませんし、株主のものかもしれません。一刀両断に答えを出す というのは難しいかもしれません。この件につきましては、事実がどうであるかは分かりませんけれども、いずれにせよ、大きな疑問符が持たれているという状 況にあるんだろうと思います。
 そこで、この案件につきまして金融庁にお尋ねをしたいと思いますが、迅速な対応が私はこれは必要だと思います。ですから、金融庁として現在この状況につ いてどうお考えになっているのかということ、そして先ほども申し上げましたけれども、これは最終的には金融庁の大臣がお決めになることだと思いますけれど も、証券取引等監視委員会による調査を私はこれは行っていくべきだろうと思います。
 こういった点について御答弁をお願いしたいと存じます。

○政府参考人(森本学君) お答えいたします。
 先生御指摘のオリンパス社の問題、内外のメディアにより様々な報道がなされております。このことにつきましては、金融庁としても現在注視しておるところでございます。
 一般論として申し上げますと、市場の公正性、透明性を確保するためには、企業統治が十分に発揮され、必要な情報開示がなされることが大変重要でございま す。こうした観点から、問題が指摘されておるような企業につきましては、今東証から話がありましたような適時開示等を通じまして、必要な情報が投資家に対 して的確迅速に提供されることが重要であると考えております。
 そうした観点から、金融庁といたしましても、今後とも、証券取引所等と提携をいたしまして適切な企業統治の発揮と情報開示の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

○政府参考人(岳野万里夫君) 金子先生から証券取引等監視委員会による調査という御指摘がございましたので、監視委員会の方から御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、ただいま先生が取り上げておられます個別の事案につきまして、監視委員会として調査をするとかしないとか、そういったことについてお答えすること は差し控えさせていただいております。これは、証券取引等監視委員会が行っております市場監視活動を円滑に進めるためのものであることを是非とも御理解い ただきたいと存じます。
 私どもの市場監視活動について、せっかくの機会でございますので、一言御説明をさせていただきたいと思います。
 証券取引等監視委員会は、金融商品取引法で定めております様々な市場規制、例えばインサイダー取引の禁止、あるいは相場操縦の禁止、それからディスク ロージャー義務といいましょうか、有価証券報告書の虚偽記載などでございます。あるいは偽計取引と、こういったような様々な金融商品取引法上の規制がござ いまして、こういったものにつきまして、独立した立場で調査、検査を行うのが私どものミッションでございます。監視委員会といたしましては、市場の公正 性、透明性の確保と投資者の保護を目指して市場監視に取り組んでいるところでございます。
 具体的な市場監視の進め方についてでございますけれども、まず、情報の収集、分析ということが必要でございます。情報の収集、分析は、例えば日刊紙、週 刊誌、月刊誌といったものに目を通しまして、先ほど申し上げましたような金商法違反の事件につながりかねないような情報があるのかどうかをよく見ておりま す。また、日ごろ外部からの情報提供をお願いしておりまして、外部から寄せられました情報につきましても注意深く検証の材料にさせていただいているところ でございます。
 そういった中で、金融商品取引法違反の疑いがある場合には、必要に応じて立入検査、調査を行っているということでございまして、その過程で、必要があれば自主規制機関の皆様とも連携しながら進めていくと、こういうことでございます。
 こういった幅広い市場監視活動を円滑に進めておりますが、冒頭申し上げましたように、個別の案件につきまして、これについて、いつ何をしているかといっ たようなことを申し上げることは、先ほど申し上げましたように、市場監視活動を円滑に進めるために控えさせていただきたいというふうに考えております。

○金子洋一君 今の岳野事務局長のお話は、情報を収集して、しかるべきときになればばっと動くというふうに受け止めさせていただきました。受け止めさせていただきましたし、そうあっていただきたいなと思います。
 そういった調査をなさった結果、一般論なんですけれども、仮にそういった問題があったとする場合に、簡単に場合分けをして考えますと、安い会社を高く 買ってしまったとか、あるいは本来だったらもっと安くてよかったコンサルタントフィーを高く払ってしまったというようなケースでしたら、会社法の規定によ る株主代表訴訟が起こり得るのかなと思いますし、また、前社長が言っていることはうそであるというふうに現経営陣がおっしゃっていると、しかし現経営陣の おっしゃっていることが実際には事実と異なったということであれば、これはなかなか難しいかもしれませんけれども、結果として株価が大いに下落をしたとい うことから、市場を混乱をさせたということになりますから、これは東証さんの方で上場廃止にするとか、そういったような対応が取られるべきだろうと思いま すし、また、結果として有価証券取引のための財務諸表に虚偽の記載があったということになれば、これは金融商品取引法に引っかかるということで、刑事罰の 対象になると、こういった対応が必要になってくるんだろうと思いますけれども、こうした理解で、一般論です、一般論としてこうした理解でいいんでしょう か。あるいはちょっとそこが抜けているよというものがあるんでしょうか。ちょっとそれがもしあれば、これは東証さん、金融庁さん、両方にお尋ねをしたいん ですけれども、御指摘をお願いしたいと思います。

○参考人(静正樹君) それでは、私の守備範囲は上場関係のことだと思いますので、そちらの方だけお答えを申し上げますと、先生御指摘の虚偽記載があった 場合というのは確かに法律上の罰則の対象になると思いますが、取引所でも上場廃止基準というのはありまして、この中で重大な虚偽記載は上場廃止になるとい うことを定めておりますので、その審査対象になる可能性があるということだろうと思います。
 それから、虚偽とは言いませんけれども、事実と余り違う情報が流れて、その結果、市場が混乱したら上場廃止ではないかという、そういう御指摘もございま した。この部分については、特別にその旨を規定した規定があるわけじゃございませんけれども、公益、投資者保護のために必要な場合には上場廃止という規定 も確かにあることは事実でございます。
 しかしながら、通常の場合は、会社側が発表していた事実が実際と違った、そのことによって市場が混乱したという場合には、改善報告書ですとか違約金です とかいった仕組みが東証にはございまして、そちらの方の適用をどうするかというのが先に来る話だというふうに認識をしております。
 以上でございます。

○政府参考人(岳野万里夫君) 一般論でという御質問でございますけれども、どこまでが一般論といいますか、この場合にどこまで広げて考えるのかというこ とで常に個別性が出てしまいますので、一般論で申し上げますと、本当の金融商品取引法のエンフォースメント上の一般論を申し上げさせていただきますと、私 どもが法令違反の疑いを持って調査、検査した結果、先ほど御説明しましたような重要な金商法違反がある場合には、大きく分けまして二つございます。
 一つは、刑事訴追を求めるべきと認められる場合には検察官に告発をいたします。それから、課徴金納付を命ずるべきという判断をした場合には、課徴金納付 命令を出すべく金融庁長官に勧告をすると、こういうことがございます。それから、調査、検査した結果、例えばディスクロージャーであれば、軽微な訂正が行 われて情報開示がなされるということもございますし、調査、検査した結果、特に問題はなかったといったようなこともあろうかと思っております。金融商品取 引法上のエンフォースメントの一般論としてはそのようなことかなと考えております。
 なお、せっかくの機会でございますので、一言、先ほどの静執行役員の御説明と併せて、私どもの観点から申し添えたいことがございます。
 先ほど静執行役員からお話もございましたけれども、この会社は第三者委員会を立ち上げて検証をするということをおっしゃっておられます。
 第三者委員会につきましては、実は昨年の夏に日弁連さんが企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインというものを制定されておられます。この趣旨 は、企業の活動の適正化に対する社会的要請が高まるにつれて、株主、投資家、消費者、取引先、従業員、債権者、地域住民などといった全てのステークホル ダーや、これらを代弁するメディア等に対する説明責任を果たすことが重要になっていると。企業から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施 した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会を第三者委員会と呼びますけれど も、この第三者委員会は、経営者等自身のためではなく、全てのステークホルダーのための調査を実施し、それを対外公表することで、最終的には企業等の信頼 と持続性を回復することを目的とするということがございます。
 私ども市場監視の立場では、直接に権限を行使して調査、検査をすること、これはもちろん機動的にやってまいるつもりでございますけれども、市場の公正、 透明性の確保のためには、例えば上場企業なり市場関係者の自己規律というのも重要でございまして、今般のようなケースの場合において第三者委員会を立ち上 げられるということであれば、日弁連のガイドラインにのっとったような第三者委員会がしっかりと検証を行っていくということが非常に重要ではないかという ことで、その点では東証さんと同じ立場で注目をしているところでございます。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 いずれにせよ、真実をできるだけ早く明確にしたいと、そして明確にすることが今ふつふつと湧き出ております日本企業異質論に対する有効な一撃になるのではないかなと思っておりますので、東証さん、金融庁さんには是非ともきちんとした対処をお願いをしたいと存じます。
 以上でございます。ありがとうございました。

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