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国会質疑
国会質疑 詳細
2012年3月28日
財政金融委員会

■財政金融委員会


○金子洋一君 おはようございます。民主党・新緑風会の金子洋一でございます。
 まず、予算関連質疑に入ります前に、AIJ投資顧問の問題に入らせていただきたいと思います。
 厚生年金基金の調査によりますと、全五百七十八基金のうち四割に近い二百十二基金は、国から預かって運用をしている公的年金部分についても資金の積立不 足に陥っているということでございます。このいわゆる代行割れの部分につきましては、これは、解散しようと思いましても母体となる企業が穴埋めをしません と解散ができないというものでありまして、仮に埋めようとするとその企業が言わば年金倒産をしてしまうという仕組みになってしまっております。ですから、 自主的な解散ができないということでございます。
 私、日経新聞の三月二十三日付けの記事を見ているんですけれども、ここには全国トラック総合年金基金連合会とか全国石油商業組合連合会といった名前が出 ております。ほかの記事には神奈川県の印刷工業厚生年金基金といった名前が出ておるんですけれども、そういったところだけではなくて、総合型の厚生年金基 金に加入している企業というのはほとんどが中小企業だということでありまして、そうしたところが汗水流して稼いだお金を失ってしまっているというのが現状 であります。
 厚生年金基金の発足当時とそして現在では、企業をめぐる環境が全く異なってしまっております。特に、代行割れの問題については予定利率五・五%という極 めて高いままであるということが、これが大きな要因となっておりまして、その上にAIJの問題が重なって今日のような事態を招いたと認識をしております。 まずは、この問題について霞が関一体となって、金融庁さん、そして厚労省さん力を合わせて、例えば財産状況報告書などが正しいものであるようにあるいは管 理監督体制を整備をしていただく、そんなことで再発防止を是非努めていただきたいと考えております。また、今後のこういったことが起きないようなセーフ ティーネットもまず整備をしていただきたいと存じます。
 そして、厚労省さんに御質問申し上げますけれども、特に、このAIJ問題によって代行割れとなった基金についてですけれども、積立金の損失分を長期にわ たって処理をするといったような対策を講ずることなどによって、何とかこの代行割れに陥った基金を存続をさせるような特別の救済を行うとか、あるいは、そ れでも対応し切れない場合については、厚生年金保険法の百七十九条第五項その四に、「その事業の状況によりその事業の継続が困難であると認めるとき。」と いう項目がございまして、これに基づいて国から命令を発出して解散をさせるという手段を取るべきではないかと思いますが、その点につきまして御所見をお願 いをいたします。

○政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、厚生年金基金の代行割れの問題がございます。この問題につきましては、まずは、基金の財政健全性の安定化のために、現在、幾つか非 常に財政状況が悪いものを指定基金として指定をいたしまして、その上で、例えば掛金の引上げ等の計画を作ってもらって積立不足の解消を図ってもらうという ことをまずやっていると、こういうところが一つございます。
 あわせまして、御指摘のとおり、基金の実情によっては、そうした方法ではなくて、解散というようなことというのも道としてあり得るところでございます。 この点につきましては、解散する場合については、言わば、厚生年金の代行している部分についてはその部分に必要な原資を国に返してもらうというのが原則で ございますけれども、委員お話ございましたとおり、一度に事業主側が足りないところを一括して納付するということになりますと、なかなか難しい場合がある というのはおっしゃるとおりだと思います。この点につきましては、昨年八月に年金確保支援法という法律が成立をいたしまして、その中で、特別に分割して事 業主が払う、納付するという方法が認められたところでございます。
 実は、この分割納付方式は、今回の前に一度、過去前例がございますけれども、過去のときよりも今回は二つの点において、より事業主を配慮していると。一 つは、分割納付を認める期間を最長、前回は十年だったんですけれども、今回は十五年間まで長くしているという点が一個ございます。また、こうした分割納付 については、前回の特例のときは三年間の時限措置だったんですけれども、今回は五年間の時限措置ということにしてございます。
 いずれにしても、こうしたような分割納付方式を含めて、事業主に対しまして基金の解散について必要な助言を丁寧に行っていきたいというふうに考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 その積立金の足りない部分をどうするのかというのが要するに根本的な課題ということになると思いますので、この問題については私も関心を持って関与をさせていただきたいと思っております。
 委員長のお許しが出ましたならば、審議官、御退席をいただいて結構でございます。

○委員長(尾立源幸君) それでは、蒲原審議官、どうぞ御退室ください。

○金子洋一君 それでは、まず、日本銀行西村副総裁がおいででございますので、中長期的な物価安定のめど、一%の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 二月十四日に、こちらの物価安定のめど、一%というのを公表をなさいました。私は、これはインフレ目標の一種である、一変形である、そのものではないと 思いますけれども、そういうものであると考えております。特に、海外の投資家からこれを、めどという言葉をゴールというふうに翻訳を日本銀行さんがなさい ましたので、FRBが取っているインフレーションゴール政策と同じものであるというふうに解釈をされたことが原因であろうと私は思いますが、非常に大きな 効果を上げたと思っております。
 ただ、これをインフレ目標政策そのものとして見ますと、数値目標が物価一%というのでは低過ぎる、あるいはコミットメントが不足をしておる、さらに説明 責任が特にないということ、そういった点で非常に不完全なものになっております。こういった不完全なものでも効果を発揮をしたというふうに私は考えており ます。
 一部の学者さんたちは、インフレ目標なんというのは政策として無効だとか、あるいは逆に、インフレ目標を導入すると直ちに物価が上がって、同時に金利も 上昇をする、大変危険な政策であるというようなことを言っておられた方が大勢おりました、私はそうは思いませんけれども。しかし、今回の状況を見ておりま すと大変よく効いたというふうに思うんですが、この点について、副総裁、いかがお考えでしょうか。

○参考人(西村清彦君) それではお答えさせていただきます。
 二月の金融政策決定会合での決定の内容について少し御説明させていただきたいと思いますが、基本的には中長期的な物価安定のめど、先ほど御指摘いただき ましたそのめどを導入するとともに、当面は消費者物価の前年比上昇率一%を目指して、それを見通せるようになるまで実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入 れ等の措置ということによって強力に金融緩和を推進していくという方針を決定いたしたわけであります。
 その後の金融市場の動きでございますが、市場では、欧州債務問題をめぐるリスクの低下や米国経済の改善の動き、特にデータの改善の動きを背景に世界的に 投資家心理が積極化してきて、そのために世界的にリスクオンの流れが回復していると、これが指摘されております。と同時に、日本銀行の政策姿勢の明確化と いうのも市場から好意的に受け止められているのではないかというふうに考えております。
 ただし、本当に重要なことは、日本経済のデフレ脱却と物価安定の下での持続的な成長の実現であるというふうに考えております。そのためには、強力な金融緩和の推進に加えて成長力の強化が重要な課題であるというふうに認識しております。

○金子洋一君 今のお話ですと、この政策が効いたのか効いていないのかということについては余り言及なさっていないような感じがいたします。これ、私はそ ういう態度というのはいかがかなと思います。というのは、昔、財務省が経済対策を打つときに、打つ前には、いや、必要ありません、必要ありませんと言うん ですが、打った後は、いや、これはもう大きくて十分ですから必ず効きますというふうに言っていたんですね。
 こういう態度が、一見ずうずうしく見えますけれども、やはり日本銀行の政策には必要だと思うんです。こういう政策を打ちましたと、白川総裁はその後で、 いや、これは今までと実は、その当日の記者会見ですか、今までとほとんど変わりませんみたいなことをおっしゃっているんですが、それではわざわざ打った政 策の効果を自らそいでしまう。それは大変残念なことでありますとともに、私どもにとっても、そんなことでいいのかなと思わせるものがあるわけであります。
 では、その点につきましてはちょっとさておかせていただきまして、あと、このめどの一%という計算の中には、これは、二〇一五年に消費税が引き上げられたような場合には、その消費税の引上げ分の効果というのは入れないということでよろしいわけですね。

○参考人(西村清彦君) 日本銀行は、中長期的に見た物価安定というのを重視して金融政策を運営しております。したがって、念頭に置いておりますのはあく までも基調としての物価の動きということですから、消費税率を引き上げた影響を除いた基調としての物価の動きというふうにお考えいただきたいと思います。

○金子洋一君 その点は安心をいたしました。
 ただ、私の記憶では、二〇一三年度の消費者物価指数の上昇率を日本銀行さんは〇・五%だと予測をしておられたと思うんですが、これはそのままになさるん ですか。それとも、一%のめどを新たに公表された、これは審議委員の予想の平均値ではなくて日本銀行の予想、予想というかプロジェクションということです から、一%を明確に日本銀行として打ち出されたというわけですから、この〇・五%の物価上昇率の予測というのは書き換えられるんでしょうか。

○参考人(西村清彦君) 展望レポートをこれから検討していく時期でありますので、その点についてはその展望レポートの中で明らかにしていきたいというふうに考えております。
 ただ、消費者物価の前年比上昇率で、中長期的な物価安定のめどというのは、明確に消費者物価の前年比上昇率で二%以下のプラス、当面は一%をめどということを明示しておりますので、当然これに基づいて点検していくという形になるということを申し上げたいと思います。

○金子洋一君 是非とも政策効果を削減しないように、きちんと検討していただきたいと思います。
 続きまして、現在、政府は中期財政フレームに基づきまして、消費税の増税後につきましては毎年約十兆円程度、これは計算の仕方でいろいろあると思いますが、十兆円程度の財政緊縮、財政再建を行うという方針にしております。
 これは、大変大幅な財政再建計画であることは言うまでもないと思いますが、これだけ財政再建に熱心にやるということになれば財政ファイナンスをやるとい う必要は当然ないわけですね。ないわけですから、長期国債を大量に買い入れても市場からその日本銀行の行為が財政ファイナンスであるというような誤解を受 ける可能性というのはなくなるというふうに思います。となれば、景気回復の目的のためにこうした長期国債の大量購入、あるいは更に進んで量的緩和の政策を 採用するといったようなことが可能になると思うんですが、こうしたことを今後、現在のデフレ状況から脱却することが大事だと何回も総裁もおっしゃっていま すので、こうした強力な政策を取っていただけるわけでしょうか。

○参考人(西村清彦君) 事実を申し上げたいと思いますが、日本銀行はまず、残存期間が十年超のものを含めて、年間、現在二十一・六兆円の国債を成長通貨 を供給するという観点から買い入れております。それに加えて、包括的な金融緩和政策、このフレームワークの下で長期国債の保有残高を本年末には十九兆円ま で積み上げる予定であります。
 こうした中で、日本銀行による長期国債の買入れは月間で三・三兆円、年率換算で約四十兆円という大規模なものになります。これは、市場との関係で万が一 にも市場の信認が失われるということがありますと、これは万が一でも市場の信認が失われますとその回復が容易ではないということを考えますと、こうした大 量の国債買入れが私どもとしましては財政ファイナンスとの誤解を招かないように留意するということが必要だと思っております。そういう下でデフレ脱却に対 する適切な政策運営というものをこれから遂行していきたいというふうに考えております。

○金子洋一君 いや、政府は毎年十兆円ぐらい財政再建をすると言っているわけです。ですから、幾ら買っても財政ファイナンスになんかなるわけないですよ。 要するに、シーリングをつくってそれ以上国債は発行しませんと言っているわけですから、どう考えたって、幾ら買ったってそれは財政ファイナンスのわけあり ません。そこは一歩進んでがんがん買いに行くというようなことをしなければいけないと思います。
 じゃ、仮に、そのバランスシートを拡大をしないというふうにおっしゃっているんだろうと思いますけれども、その場合、短期のものから長期のものに持って いる国債の比率を変えていくという、今FRBがやっているツイストオペというような手法があるわけですけれども、これを是非取り入れていただいてはいかが でしょうか。

○参考人(西村清彦君) まず一点、日本銀行のバランスシートの問題ですが、実は資産買入れ等の基金を通じた金融資産の買入れは、本年末をめどに残高ベー スで六十五兆円程度買入れするという形になっておりますので、これを昨年末時点の基金の残高四十二兆を差し引けば、本年中の残高の増加額は二十三兆という 形になりますから、ネットでほぼそれくらいのバランスシートの拡大が行われるというふうに考えております。
 二十一・六兆につきましては、これは償還もありますので、これに関しては最終的な仕上がりというのは分かりにくいんですが、いずれにしましても、先ほど 申し上げました包括緩和のフレームワークの下での資産買入れの部分に関して見ますと、これはバランスシートの拡大になるというふうに考えております。
 それから、ツイストオペレーションの件なんですが、これは我々の基本的な考え方は、包括緩和の金融緩和のフレームワークでは、残存一、二年のところに言 わば力を置くことによって、それがイールドカーブの動きを通じて長めにも影響を及ぼすという形で考えております。このやり方は、今までのところ、イールド カーブは非常に低位で安定しており、実際、十年物の利回りは米国よりかははるかに低い水準で推移しております。
 この点、仮にオペレーションツイストというようなものを行った場合には、これは仮にですが、場合によっては中短期ゾーンの金利の上昇を招くという、そういう可能性もあるかもしれないというふうに考えております。
 現時点では、そういう意味であえてそういったリスクを冒す必要はないというふうに考えておりまして、緩和的な金融環境を維持するためには、時間軸効果や 中短期ゾーンの金利を低位に安定させる、それによって、イールドカーブを通じて全体に影響を及ぼすという形の現在の方法が有効であるというふうに現在のと ころは考えております。

○金子洋一君 何だかゼロ回答のような感じで、大変残念でございます。
 そこで、財務大臣にお尋ねを申し上げます。
 景気を良くするためには、財政政策か金融政策かしか取る方法はありません。消費税を引き上げまして財政再建に赴くということは、財政政策は実質的に使えないということであります、その是非は問いませんが。となれば、使えるのは金融政策だけになります。
 そこで、例えば前原政調会長は、日本銀行とアコードを結ぶというようなことを日ごろからおっしゃっておられます。そうしたアコードを結んで、インフレ目 標ですとか、あるいは量的緩和政策といったものを強力に進めていくということが景気回復のためにどうしても必要になると思うんですが、ここで財務大臣のそ うした景気回復策に関する御所見を、恐縮です、時間的制約がございますので、端的にお尋ねできればと思います。

○国務大臣(安住淳君) 昨日、西田先生と牛馬論争をやらせていただきましたけれども、その例えでいえば、しかし財政政策も重要ですので、復興の予算の話 をしましたが、全国防災等の事業についても適時やはり必要なものについてはやることで結果として国内需要を刺激をしていったり、それから金融緩和も当然、 適時適切に今まで日銀も取り組んできていただきましたけれども、そうしたものが相まって日本経済をやっぱり上昇傾向に持っていかなければならないと、その ために様々な分野から御提言をいただかなければならないと思います。
 ですから、消費税を例えば引き上げさせていただく、これは社会保障の充実にも一部当たりますので、単に緊縮をするというよりは、私は、やっぱり内需の拡大に向けてもできるだけのことはやらせていただきながら、両輪でやっていきたいと思っております。

○金子洋一君 政府と日本銀行がアコードを締結をしていただいて強力な政策を実現していただくことをお願いを申し上げさせていただきまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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