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国会質疑
国会質疑 詳細
2013年3月27日
財政金融委員会

○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
 今日は、安倍総理、麻生大臣を始めとする皆様に早朝から御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。
 私は六十分間の時間をいただいております。まず、関税について総理にお尋ねをさせていただきます。
 これ、報道ベースなんですが、欧州の自動車工業会が昨日、二十六日ですね、日・EUの経済連携協定、EPAの交渉開始を宣言をしたということで、声明を出したという報道がございます。その声明には、日本には自動車の安全や技術に関する独特な国内基準がある、そして欧州メーカーの進出を妨げているんだと批判をしております。そして、相互認証制度の実現を求めたほか、日本の規制の産物の軽自動車が享受する税制などの特権、こういう表現を使っておりますが、の変更や欧州の小型車が日本の市場で公平に競争できる環境整備を訴えたということであります。
 これは総理に御通告申し上げておりませんけれども、これは完全な言いがかりだと私は思います。こうした言いがかりに対してきちんと反論をしながら、かつ日欧のEPAですとかあるいはTPPといった経済連携協定を進めるということは我が国の国益に合うことだと思いますが、そうしたこれからの交渉に向かう総理の御決意を、済みません、通告しておりませんけれども、お尋ねしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいまの報道については、私も詳細については把握はしておりませんが、自動車についてはむしろ日本は関税は欧州に対してはゼロでございますし、そうした欧州側が指摘しているようなものは、いわゆる非関税障壁として日本が批判されることではないと、このように認識をしております。
 いずれにせよ、我々、交渉していく上において、交渉チーム、強力な交渉チームを編成して、日本の国益を守るために全力を尽くしていく決意でございます。
○金子洋一君 ありがとうございます。まさにそういった心構えで邁進をしていただきたいと思います。
 しかし、EPAにしろTPPにしろ、相手国の市場は開放しろと、その代わり我が国の市場は開放しないぞということでは、これは交渉も進んでいかないものだろうと思っております。こちら側も輸入市場の開放がどうしても必要になるんだろうと私は思います。
 ただし、我が国では、現状において農産物の輸入自由化に対しては大変強い反対がある。その反対をされる方々のお気持ちも、私、分からないわけではありません。ただ、やはり農業保護というものは、今のような形とはちょっと違って、WTOのルールにのっとって堂々とやればいいというふうに私は思います。
 ところが、これも報道ベースですけれども、自民党さんが参議院の選挙に向けて、原則全ての農地を対象とする交付金制度や農業の担い手支援の具体策を打ち出すと、まあここまではいいと思います。そして、米や麦など重要五品目の関税維持をも目指すという方針を出されると聞いております。これについて、本当にそういったことが我が国の国益に沿うことなのかなと私は考えるわけであります。
 そこで、総理にお尋ねをさせていただきますが、海外からの農産物、これは数量制限や高い関税で現在我が国では輸入が制限をされております。ところが、OECDによる生産者支持推定量、PSEというものですけれども、この我が国のここ数年の推移、そしてEUですとか米国ですとかそういったところの推移を御覧になって、これ総理は率直にどのような御感想をお持ちになるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) OECDによるPSEとは、農家への直接支払額と農産品の関税等による内外価格差の合計であると承知をしておりますが、我が国の生産者受取額に占めるPSEの割合は、ここ数年大きな変化はなく、EUや米国と比べて高い傾向にあることは議員と同じ認識でございます。
 我が国においても構造改革の努力を重ねてまいりましたが、農家の平均経営面積は米国の七十五分の一であり、EUの六分の一であるなど、地理的に見ても個々の生産者の経営努力で埋め難い内外の競争条件の格差があり、食料の安定供給や国土保全等の機能を果たしている農業の重要な役割を維持していくための支援は引き続き必要であると、こう考えております。
 なお、消費者物価を見ると、直近の為替動向は現時点で食料品価格に影響を与えていませんが、そうしたことも注視をしながら、今委員が御指摘になった観点としては生産者と消費者との観点なんだろうと、このように思いますが、いずれにせよ、日本の場合は大変条件としては欧米に比べて不利な条件であり、そうしたことを緩和をしていく必要があるんだろうと、このように思っております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 今総理、御答弁の中で我が国の農業の一戸当たりの面積がEUの六分の一であるとおっしゃいました。それは正しいと思いますが、ただ、昔はEUも家族的な経営を中心にした非常に小さな面積の農家が中心でありました。それが、まさに総理がおっしゃったように、構造改革によって現在に至ったわけであります。
 じゃ、どういう政策をEUが取ったのかということになりますと、これは、まず、大体一九九〇年初頭に大きな政策の変化があったわけですけれども、これが、それ以前は価格補助金を付けてEU域内でというかヨーロッパ内で余った農産物を輸出をすると。輸出された国では補助金が乗っかってきているので、これは市場を乱すということで大変厳しい受け止められ方をしておりました。
 そこを一九九〇年代の初頭、ちょうどガット・ウルグアイ・ラウンドに対する対応が我が国でも行われたときですけれども、そのときにどういう政策を取ったのかというと、基本的な方向性として数量制限や高い関税というのをやめた。そして、余った農作物に補助金を付けて外国に、EU域外にというかヨーロッパ域外に輸出をするというのもやめたと。自由化をします。ですからEU、ヨーロッパ内の価格は下がります。下がるんですけれども、その下がった部分について農家に直接支払の補助金を入れたという政策を取りました。
 その結果、採算がきちんと農家にとって合うようになった、消費者にとっては非常に安い価格の農作物が消費できるようになったということで、EU域内の家族経営中心だった、日本とさほど変わらないような形態だったものが今は六倍の面積になったというところがこれは事実であろうと思います。こうした政策、大きな成功を収めたというふうに思うわけであります。
 今、農業保護と申しますと、輸入制限とあるいは高関税ということになっております、我が国では。もちろん、そういう方向もこれまで取ってきたということには合理性があるんだろうと思いますけれども、これからもっと農業を強くしていくと。ほうっておけば農家の所得、どんどんどんどん落ちていきます。たしか平成七年辺りがピークで、農業所得が六兆円ぐらいあったんだと思います、済みません、ちょっと正確じゃないかもしれませんが、それが十年ぐらいで二・二兆円台に落ちてしまったと、今も落ち続けているという状況であります。
 これをきちんとした方向に正していく、国際的に競争力のある農業をつくる、あるいは美しい農村の風景を、光景を守るということでありましたら、この農作物の自由化プラス補助金の農家への直接支払という欧州で採用された政策を取って、そして堂々と農業保護を国際的なルールに沿うような形で行えばいいと思うんですが、この点について、総理のお考えをお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 第一次安倍政権のときに、当時の松岡農林水産大臣を中心に、構造改革を進めていく上において欧州における改革を、これを研究をしたわけでございまして、その中において、そうしたものを参考にしながら担い手に土地を集めていく、そういう方針を取ったわけでございます。
 しかし、基本的に地理的な条件というのはかなり欧州とは日本、違うわけでございまして、単純に比較するのは難しいということは委員御承知のとおりなんだろうと、このように思いますが、一般論で申し上げれば、関税を撤廃して直接支払に切り替えた場合は、消費者にとっては輸入品を中心に農産物の価格が安くなるという利益がある一方で、国内農業生産を支援するための財政負担が増えるという側面もあるのも事実でございます。
 その際、国内生産者の経営努力では埋め難い内外の競争条件の格差がある中で、十分な支援が行われないままに関税が撤廃された場合には、農業生産者の経営を直撃をして、国内生産の減少と自給率の低下を招くおそれがあります。さらには、今委員がおっしゃったように、美しい国土を守っていく、農業の多面的機能を守っていくということについては、それを損なっていくおそれがあるということも念頭に置く必要があると思います。
 このため、関税撤廃と直接支払への転換の適否については、こうした状況についての国民的議論を行いながら、慎重に検討する必要があると考えております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 今、私は手元に、これは農水省さんが作ってくださったんですが、OECDにおけるPSE、生産者支持推定量の推移というデータを持っております。あるいは総理も御覧になったかもしれませんが、ここで、内外価格差と直接支払ということで、農家に、農業に対する補助金と申しましょうか、サポートの区分けが載っているんですけれども、内外価格差と直接支払というふうに書きますと、これは正直言って本質が見えません。内外価格差は、これは要するに消費者負担になっている部分であります。そして、直接支払の部分というのは、これはまさに、総理もおっしゃいました、財政負担、納税者負担という形になっている部分であります。
 我が国の場合は、これがガット・ウルグアイ・ラウンド対策のちょうど始まるくらい、一九九一年においたデータで申しますと、消費者負担、内外価格差の部分が直接支払の部分と比較をしまして全体の八九%あったと。そして、それが二〇〇一年でも八八%、二〇一一年になりますと、これは直接支払の部分に我が党の戸別所得補償制度の部分、支払部分が恐らく数千億入って七六%という形で、消費者負担が減っております。減ったということなんですけれども、基本的には八割台の半ば以降という非常に高い消費者の負担が続いております。一方、EU、これは一九九一年ですと消費者の負担が七九%でしたけれども、二〇一一年では一一%になっております。米国でも二〇一一年では一二%ぐらいです。となりますと、ここで六割、七割、消費者負担が我が国では多いわけですね。消費者の言わば余剰、消費者の負担で農業保護をすべきなのか、それとも日本全体で財政負担で農業保護をすべきなのかということは、これはやはり十分に考える必要があるんじゃないかと思います。
 消費者の負担、つまり輸入自由化を行わない、そして直接支払をやらないということになりますと、消費者の負担が年間、我が国で申しますと、二〇一一年で申しますと三・六兆円、三・七兆円と試算をされているわけです、OECDによって。これをそのままにしておくということは正当化できるとは私には思えませんが、総理のお考えをお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま金子委員が御指摘になったように、言わば関税という形で消費者に、農業を維持をしていくために、多面的機能も含めて維持をしていくために負担をしてもらうのか、あるいは税金という形で全ての国民にそれを維持をしてもらうのかということについては、またその割合については十分に議論していく必要があるというふうに私も思います。そうした議論をしっかりとしていくことが求められているんだろうと、このように思います。
 一方、繰り返しになるわけでありますが、やはり我々も努力を重ねておりますし、またこれからも努力をしていくわけでありますから、構造改革を進め、言わば担い手の方々に、意欲のある担い手の方々に、しっかりと生産性を上げていく、質を更に向上させていくという農業経営に取り組んでいただくための基盤をつくっていく必要があるんだろうと、このように思っているわけでございますが、同時に、やはり中山間地域がたくさんあるわけでございまして、欧米のように、あそこまで大規模、機械化するのはなかなか難しい地域もあって、同時に、そういう地域は、そうした田畑が地域の環境、国土を保全する上において大きな役割を担っているのも事実でございます。水を涵養するという大きな機能を果たしている、中山間地域は特にそうなんですね。
 ですから、そういうことも鑑みながら我々は政策を進めていく必要があるだろうと、このように思いますが、ただ同時に、金子委員が御指摘をされたような点にも十分に留意をしながら、農家の皆さん方にもそういう点も考えていただきながら議論を深めていきたいと、このように思っております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド対策費が約六兆円ございました。そして、全く同じ時期に、EUの対策と同じ時期に始まって、五年ですか、六年ですか、ウルグアイ・ラウンド対策費が政策として実施をされたわけであります。その期間に我が国の農業の生産額は、一兆五千億円ですか、年間につき落ちてしまったということがあります。ですから、私は、EUのような農業改革の取組の方が我が国がかつて行ったウルグアイ・ラウンド対策の農業の取組よりも優れている、我が国の農業を残すためにはそういった方策しかないと固く信じております。
 続きまして、国税関連の御質問に移らせていただきます。
 これも総理にお尋ねをさせていただきます。
 これはお隣に座っておられます麻生財務大臣がよく国会の質疑でおっしゃることですけれども、今回の予算編成では、国債発行四十四兆円枠を特に意識せず編成をして、結果的にその枠に収まったというふうにおっしゃっております。承っております。今後の歳出の規模について、総理はどのようにお考えでしょうか。
 アベノミクス、三本の矢でございます。第一の矢、大胆な金融政策につきましては、私は先日の代表質問のときにも申しました。全面的に賛成であります。しかし、第二、第三の矢が果たしてすばらしいものであるかについては、かなり疑問を持っております。そういった意味で、この財政支出をどうお考えになるのかということについて、総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 公債金の四十四兆円という枠は、これは前政権、前内閣で決められたものでございます。これは一つの前内閣としての見識を示されたものであろうと、このように思いますが、安倍内閣においては、この四十四兆円という枠にはとらわれないという方針で予算編成をしたところでございますが、財務省を始め、各省庁の努力によって、結果としては四十二・九兆円、四十四兆円の枠の中に結果として収まったということでございます。
 今後、我々も、国、地方のプライマリーバランスの赤字の対GDP比については、二〇一五年までに二〇一〇年度の水準から半減をして、そして二〇二〇年までに黒字化をするという方針、これは前政権のときにもこの方針であったと思いますが、我々もこの方針には変わりがないわけでありまして、この方針に向かって財政健全化、この目標を実現する必要があると、このように考えております。
 今後、年央の骨太方針の取りまとめに向けた検討状況も踏まえながら、財政健全化目標を実現するための中期財政計画の具体化の検討を進めることにしております。今後、歳出規模についてもその過程で検討を進めていく考えであります。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 そうなりますと、アベノミクスの二本目の矢、機動的な財政政策というのは、これは財政支出を増やすということであるんでしょうか、ないんでしょうか。それとも全く別な意味合いを持っているんでしょうか。総理にお尋ねをします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この機動的な財政出動というのは、経済は生き物でありますから、経済の状況を見ながら必要であればマクロ経済政策的に思い切った財政出動もしていくという、そういう構えでございまして、特に二十四年度の補正予算、大型の補正予算については、昨年の十―十二が、第四クオーターが、これは大きく経済が失速する、マイナス成長、マイナス三・五ですか、になる、言わば景気が底割れする危険性があったと。そして、プラスこの十数年間ずうっとデフレがこびりついている中にあって、これを変えていくのは相当今までとは違うものだという、次元が違うというふうに国民の多くの方々に認識をしてもらわなければその状況から脱却するのは難しいと。その大きな気持ち、期待値をどんと変えていくためには、やはり今までとは違う規模のものにしなくてはならないということも鑑みて、あの大型の補正予算になったわけでございますが、しかし、私どもも再三申し上げておりますように、これは何回もやるわけにはいきませんから、基本的には第三の矢、成長戦略で民間の投資を喚起していくことによって力強い経済の成長軌道に乗せていきたいと、こう考えているところでございます。
 繰り返しになりますが、言わばこの機動的な財政政策というのは、経済の状況に鑑みながら、時にはそうした大胆な財政政策を行うと。しかし基本には、今後は、経済を成長軌道に乗せることになっていけば、しっかりと財政健全化目標に向けて歩みを進めていかなければならない、これが基本的な考え方でございます。
○金子洋一君 いただいたお答えを私なりに解釈をさせていただきますと、景気の悪いときにはきちんと財政支出をするが、景気が回復軌道に乗ってきたらそれは絞って財政再建に切り替えていくということでありましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然そのように、緩めるときには緩めて、絞るときにはしっかりと絞っていくということでございまして、なかなか、一回緩めたらまた絞りにくいんじゃないかという、そういう見方もあるわけでありますが、我々はそうではなくて、緩めるときには大胆に、しっかりとやるべきことはやっていきますが、絞るときにはしっかりと絞っていきたいと、財政健全化目標は頭の真ん中に据えてその方向で行きたいと、こう考えております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 では、そういったその数量的な側面、金額的な側面につきましては総理のおっしゃるとおりだとして、では、その使い方についてはいかがでしょうか。
 よく産業政策を推進をされる方がおいでです、非常にミクロな産業政策です。でも、そのミクロな産業政策というのは、これは政府は民間よりも賢いという前提に立って行っているものだろうと思いますが、こういった考え方を取ってその使い方を考えていかれるのか、それともほかの分野についてお使いになろうとお考えになっておられるんでしょうか、総理にお尋ねします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 産業政策について言えば、これは三本目の矢にかかわってくることでございますが、我々はターゲティングポリシーという言葉を使ったんですが、これは誤解されている面もあるかもしれないと思います。つまり、政府が計画経済ふうにこの産業この産業と、伸びていく産業があらかじめ神のごとく分かっているかのように錯覚をしてその産業を決めて、そこに集中的に投資をしなさいと、これは間違っているんだろうと思います。
 我々はそういうターゲティングポリシーではなくて、そうではなくて、これはあるべき社会像を設定をして、こういう社会をつくっていきたいなと。それは、例えば健康で長生きできる社会であり、クリーンなエネルギーを使うことのできる社会であると。そういう社会をつくっていく上において、言わばこの分野におけるイノベーションを促しながら、あるいはまた規制緩和、あるいは行政の仕組みや法体系等を見直しをしていくということを集中的にやっていこうということでございまして、一定の、例えば鉄鋼産業なら鉄鋼産業とか、家電なら家電、そういうところに傾斜配分的に国家資源を投入していくという考え方ではなくて、むしろあるべき社会像に向かって、これは私たちの課題であり、そしてこれは世界にも展開していくことができる分野であろうという観点から決めているわけでございます。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、例えば太陽光発電などを例に取りましても、ドイツの、ドイツは我が国よりも進んだ太陽光に対する取組をしておると理解をしておりますけれども、ドイツのQセルズという会社は法的整理に陥りましたし、シーメンスはこれも撤退をしたんですか、そしてボッシュもついこの間、太陽光発電からはもう足を洗いますというようなことを決めました。さらに、中国のメーカーにしても、非常な大手のメーカーも、太陽光発電をやっていたところがこれも倒産に近い状態になるというようなことがありました。
 やはり将来のどの産業が伸びていくのかということを政府が予見をするのは非常に難しいと思います。そういった意味で、産業政策的な経済運営と申しますか、そういった政策の取り方はやるべきではないんだろうと私は思うんです。
 ただ、じゃ、政府の役割を全て否定をするのかと、使い方について否定をするのかと申しますと、そうではありません。マーケットメカニズムがきちんと働かないような分野については、政府の役割というのは大変大きく存在をすると思っております。特に、そのマーケットメカニズムが働かないという分野で申しますと、医療とか介護とか、公定価格あるいは人手不足といったものに悩まされている分野があろうと思います。
 こうした医療や介護といった、これは社会保障費に当てはまりますけれども、こういったものは、過去の自民党政権ではずっと抑制をされてきたというふうに理解をしております。昔の小泉さんの政権のときにも、一年間に二千二百億円抑制をする計画が作られました。(発言する者あり)あっ、ごめんなさい、二億、二兆、済みません、失礼いたしました。桁が違って失礼をいたしました。そういった計画が作られたということがございます。
 そういった形での社会保障費の伸びの抑制というのは行うべきではないと私は思っておりますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 医療費について、これはずっと年々、今これは給付が伸びているわけでございまして、この医療費の給付、一兆円近く毎年毎年給付が伸びているという中において、これは小泉政権時代に、果たしてこの医療費の給付が合理的なものかどうかという、そういう疑問もあったわけでございまして、そこで、当時は、この伸びていく医療費をどうするかという課題の中において、それぞれ医療の関係者にももっと努力をしていただこうと。その上においては、キャップ的なものをかぶせていくという議論もございましたが、毎年毎年二千億円以上の削減を図るという、五年間ですね、続けていくと、二千二百億ですから、図っていくという目標を作ったわけでございますが、ただ同時に、やはりその後、これは医療において医療現場が、機械的にこうしたキャップを掛けたことによって医療現場が傷んだという状況もなかったわけではございません。
 そこで、我々としては、必要な給付の質は確保していく必要があるんだろうと、このように思いますが、しかし不断の努力はしっかりとやっていただく必要があるのではないのかなと。レセプトの電子化等、そうしたものを、合理化すべき点は合理化をして、合理的な抑制をしていく、つまり給付の質は下げてはならないということを基本とした姿勢でいきたいと、このように思っております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 財政支出の金額ということで考えますと、社会保障の支出を増やすことも、あるいは公共事業費を増やすことも、これは需要を増やすという意味で景気に対する効果としては同じことになろうと思います。
 となると、やはりどういう価値判断をこれから政権でやっていくのかということに非常にかかわってくるんだろうと思います。民主党ですから、公共事業が悪いんだというような話をするんじゃないかと思われるかもしれませんが、無駄な公共事業については、これはやるべきじゃないと思っております。しかし、無駄じゃない公共事業もたくさんあるんだろうと思います。
 いずれにせよ、金額としてその社会保障費を伸ばしていくという発想も、これは財政支出を伸ばして景気の下支えをするという上ではあり得ると思うんですけれども、総理、いかがお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障についていえば、これはやはり経済活動を行っていく上においても、そうしたセーフティーネットがしっかりとしているということは、これは安心感にもつながっていくわけでございますし、一歩前に思い切って足を踏み出そうというときにも、セーフティーネットがしっかりとしていれば思い切って足を一歩踏み出すことができるということではないかと、このように思いますし、特に医療については、人間は不幸にして病を得ることもあります。
 その際にしっかりとした医療が提供される、自己負担も抑制される中において提供されるという社会をつくっていくということは、これは私たちがそういう社会をつくってこようという努力の大きな成果でありますし、世界に誇るこうした国民皆保険、そして皆年金の仕組みはしっかりと守っていくことが、これは経済にも、そうしたものが守られているということにおいて不安を払拭していくことによって経済活動も活発化していくことは十分に考えられるんだろうと、このように思います。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 是非とも、国民皆保険あるいは皆年金というのは我が国が世界的に誇る仕組みであろうと思いますので、そちらを守りつつ政策運営をしていただきたいと思います。
 続きまして、消費税の引上げ対策についてお尋ねをしたいと思います。
 今回の法案を拝見をしておりますと、結局、消費税の引上げ対策については、住宅ローン減税以外は入っていないんではないかなというふうに思います。私はこれは不十分だと考えます。
 民主党は、衆議院の方で議員立法という形でいろいろな提案をさせていただきました。例えば、簡素な給付措置、あるいは住宅購入に係る給付措置、あるいはまた医療機関の損税問題への対応といったようなことがございます。こうしたことを早急に具体化をしていくべきではないかと思います。
 また、自動車、同じく民主党の提案の中にあったわけですけれども、自動車取得税の廃止、重量税の当分の間税の特例税率の廃止、こういったものも必要ではないかと思いますけれども、総理のお考えを伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 消費税の引上げ対策についてでございますが、簡素な給付措置について、民主党は、昨年の六月の三党合意において、真に配慮が必要な低所得者を対象にしっかりとした措置が行われるよう、今後、予算編成過程において立法措置を含めた具体化を検討するということとしているわけでございますが、その後、本年二月の三党合意において、低所得者対策については引き続き協議を行うとされたところでございます。この簡素な給付措置の具体的内容についても、与党間及び三党間での議論を踏まえて検討をしていきたいと、このように考えております。
 そしてまた、今、住宅取得についても御質問があったと思いますが、住宅取得者に対する給付措置については、与党税制改正大綱等を踏まえて、所得税に加え住民税による住民ローン減税の拡充策を講じてもなお効果が限定的な所得層に対して、別途、良質な住宅ストックの形成を促す住宅政策の観点から適切な給付を講じることとしており、政府において検討を進めているところでございます。
 いずれにせよ、給付の具体的な内容については一定の周知期間が必要であることを踏まえ、できるだけ早期に、遅くともこの夏にはその姿を示したいと考えております。
○金子洋一君 ちょっと、自動車取得税や重量税の部分につきましてもお尋ねをさせていただいているんですが。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般の与党税制大綱において、自動車重量税の一層のグリーン化など車体課税の見直しの方向性が示されています。車体課税の見直しは、昨年六月の三党合意でも、消費税率八%への引上げ時までに結論を得るとされていた課題であります。
 今般の与党税制改正大綱や税制抜本改革法第七条の規定を踏まえながら、平成二十六年度税制改正へ向けて検討をしていく考えであります。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、ここで住宅や自動車が載っている理由というのは、まず、我が国のGDPに占める住宅業界、あるいは自動車業界の比率が大きいというだけではございません。これは、消費税というのは駆け込み需要が生ずるわけです。これは耐久消費財の場合、特に顕著になります。となりますと、耐久消費財の中で大きいのが住宅であり自動車ということになるわけです。
 ですから、例えば日用品でしたら、駆け込み需要といってもそんな大したことはありません。しかし、住宅、一生に一回か二回か、そのくらいしか買えません。私は買ったことありませんけれども、自動車も、もっと頻繁だろうとは思いますけれども、一年に一回買うものじゃありません。
 ということで、じゃ、もうこういうことになったから、駆け込み需要するのはやめてもっと長く古いままにしておこうかなということで、需要が縮小してしまう可能性が非常に強い。景気に悪影響を与える可能性が非常に強いから、だから住宅や自動車については特段の配慮が消費税引上げで必要になるというふうに申し上げているわけです。ほかの項目も重要です。しかし、特にこれは消費税の引上げの問題を考える上でないがしろにできない点であると思いますので、真剣にお取り組みをいただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 今回、大幅な円安が進みました。十一月の半ばから円安がぐんぐんと進んで、一ドル七十九円程度から九十五円というところまで進んだわけであります。これは、わざと介入をして進んだものではありません。アベノミクスが実現をされるであろうということを見越して、大胆な金融緩和が起きるであろうということから結果的に円安が起きるということが生じたわけであります。この点につきましては、すばらしい、いい政策であったなというふうに思います。特に、輸出産業についてはいい政策だったというふうに思います。
 ところが、円安ということになりますと、当然、輸入物価が大幅に上昇をいたします。円高でしたら二割ぐらい上がるわけですね。となりますと、この大幅な円高の対策というのがどうしても必要になります。そして、これまでにも、済みません、円安に対する対策ですね、円高対策というのは何回もありました。しかし、これは意図的に政権の政策として結果的に引き起こされたものではありません。政権の選択として今回は円安が進行をしたわけであります。
 逆の言い方をしますと、十一月の半ばからこれは円安が進んでまいりました。そして、そのころから、こういった円安が続くであろうということは、アベノミクスの第一の矢、大胆な金融緩和を自信を持って進めておられる総理としては容易に予想が付いたことだろうと私は考えます。
 ところが、一月に取りまとめられた経済対策にも今回の法案にも、こうした大幅な円安が生み出す輸入価格の急上昇に対する対策というのは含まれていないのではないでしょうか。そして、何で含まれていないのでしょうか。その点について総理にお尋ねをいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ガソリンや輸入食料品の価格は、為替相場の動向に加えて、地政学的リスクの増大などによる原油価格の動向や国際穀物相場など、様々な要因で変動をするわけでございますが、現下のガソリン等の一部の価格の上昇による家計や企業への影響については引き続き注視をしていかなければなりませんが、最近の為替相場の動向は全体として景気にプラスの影響をもたらすと考えております。これは委員も大体同じお考えではないかと、こう思うわけでありますが。
 いずれにせよ、政府としては、三本の矢によって企業の収益機会を増やして雇用や所得の拡大を実現することで国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていく考えであります。この過程では、物価のみが上昇するのではなく、企業の収益力向上の成果が適切に勤労者にも分配されることが重要であります。
 現在、報酬引上げの動きが各企業に広がっており、こうした所得の増加が支出の増加につながり、それが生産の増加をもたらすという経済の好循環を生み出すことで、民需主導の持続的な経済成長を目指していく考えでございます。
○金子洋一君 民需主導の経済成長を目指していくというお考え、これは私ももちろん反対はいたしません。そして、経済学的な発想をすれば、一般物価が上がる、二%上がるというんだったら、賃金というのは労働力の価格ですから、当然労働力の価格も上がっていくだろうと考えるのは、これは経済学的な発想としては当然だと思います。ただし、これは、長期的な均衡状態では労働力の価格も一緒に上がりますが、果たしてその調整過程がどのくらい時間が掛かるのかということについては、その経済学的な知見は何も言っていないわけであります。
 そして、今回の国会の質疑で、これ何度も引き合いに出して恐縮でございますけれども、麻生財務大臣は、日銀が二%の消費者物価の上昇率を目指しているということについて、物価が二%上昇となるまでに二年以上掛かるだろうと再三おっしゃっていると思います。
 ここで考えなければいけないのは、輸入物価が上がるということは、これは明白だということであります。そして、消費者物価は上がらないけれども、輸入物価が上がるということは何を意味するのか、これは国内物価が下がるという意味です。それ以外、解釈の余地はありません。となりますと、国内物価が下がる、企業が売るものの価格は下がる、そうすると企業の収益は増えません。賃金というのは企業の収益を分配をするものですから、当然賃金も上がってこないということになります。これは当然の論理的な帰結です。
 もし仮に、物価上昇が速やかに行われます、消費者物価全体がすぐに上がるんですというんだったらそうはなりませんが、麻生財務大臣は二年以上掛かるというふうにお答えになっておられます。ということになりますと、これは、当然賃金は上がらないわけであります。賃金が上がらない中で輸入物価が上がる。輸入をされているものは、先ほどもお話をさせていただきましたように、食料品などが中心になっておりますし、またエネルギー関係のものもたくさんございます。
 ついこの間まで北海道では大寒波が来ておりまして、大変痛ましい事故もありました。灯油の価格がその中で大変上がっているので、灯油をたき続けると負担が物すごく大きくなるんだというお話を私も聞いたことがございます。そういった中で、要するに賃金は上がらないという中で円安が起きるわけですから、これに対する対策を行わないというのは、これは対応として全く欠けているとしか思えないんですが、私のこうやって申し上げていることが間違っているんでしょうか。それともまた、何かほかの考え方があるんでしょうか。総理の御所見を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに金子委員は、これエコノミストです、専門家でありますから、鋭い分析だろうと私も思います。
 その中において我々は、この一本、二本、三本の矢を射込んでいくというのが我々の経済財政金融政策でございます。その中において我々はできるだけ早期に二%の物価安定目標に到達をしていただきたいと、こう思っておりますし、政府と日銀の共同声明でもそのように書かれております。
 さらに、新たに日銀の総裁に就任した黒田総裁あるいは岩田副総裁も、二年で、これは二年以内に達成したいという、そういう力強い、頼もしい発言をしておられるわけでございまして、そういう中において、なるべく早い段階において賃金も上昇していく、そういう状況をつくっていきたいということで、産業界にも働きかけているわけでございますが、同時に、我々は二本目の矢として大胆な財政政策を行ったわけでありまして、十兆円という大きな補正予算を、十兆円を超える補正予算を組んだところでございますが、それはまさに、政府が実需をつくっていく、そしてそれは一定の大都市だけではなくて、これはもう地方に隅々に行き渡るような形で実需をつくっていくことによって加速をしていきたいと、こう考えているわけでありまして、景気の上昇、そしてデフレの脱却に向けてその歩みを早めていきたい。
 そして、賃金の上昇にも、なるべくこれは短い期間で賃金の上昇につなげていきたいと、こう考えているわけでございまして、そこで、今委員が御指摘の円安が進むことによる輸入物価の上昇については、これはやはり十分に注視をしていかなければならないと、このように思っております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 財政政策でそこのところを補うんだという御趣旨だったと思いますが、仮にそういった御趣旨でしたら、公共事業中心ですとそういった影響が及ぶ業種というのが極めて偏ってしまいます。それでしたら、先ほどお尋ねをしましたように、例えば社会保障関係、医療ですとか介護関係でお金を使った方が広く国民各層には回ったはずだと私は思います。
 そもそも論になるんですが、私も昔国家公務員をやっておりまして、政府経済対策を取りまとめる部署におりました。ですから分かるんですが、やはり経済対策を円高対策と同じ調子でつくってしまったということに根本的なミスがあったんじゃないかと思います。やはり円安が生じるんだから、そこのところを十分気を付けてくれという指示を出してつくらせなかったためにこうしたことになってしまったんではないかなと、私はそう考えるところであります。
 続いて、次のお尋ねに移らせていただきます。
 今年の二月の七日の衆議院の予算委員会の伊藤先生からの質疑、あるいは二月十九日の舛添先生との質疑で、これは、総理は二〇〇〇年のゼロ金利の解除も二〇〇六年の量的緩和の解除も共に早過ぎたんだというふうに受け取られるような御答弁をなさっておりますが、これは、そういったことで総理のお考えを解釈させていただいてよろしいでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二〇〇〇年のゼロ金利の解除のときは私は官房副長官でございました。そのときも政府としては、これは待っていただきたい、当時は宮澤大蔵大臣でありましたが、これは何とか待っていただけないかという、そういう姿勢であったわけでございますが、日本銀行はそれを振り切ってゼロ金利の解除に進んでいったということであります。
 二〇〇六年のときには、この量的緩和の解除のときに私は官房長官でございましたが、あのときも政府としては、これはまだ少し早いのではないかということを申し上げたわけでございますが、それは、残念ながらこのときも日本銀行はそれを振り切って量的緩和の解除を行ったということでございまして、これは、あのときもそう思っておりましたし、今でもこれはやはり早かったと、こう認識をしております。
 こうした点も踏まえて、先般、政府、日本銀行の間の緊密な意思疎通を行った上で共同声明を取りまとめて、日本銀行が自ら二%の物価安定目標を定めたところでございまして、この早期実現を目指していくと、こういうことになったところでございます。
○金子洋一君 この日銀の政策決定会合には財務省からも代表が出ておると思います、通常副大臣級だと思いますが。
 同じく、この二〇〇〇年のゼロ金利解除、二〇〇六年の量的緩和解除について早過ぎたという総理の御判断を受けて、麻生大臣、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、当時、御記憶かと思いますけれども、あのときには第二、第三の矢はなかったんです。第一の矢だけだった。したがって、その効果は極めて限られたものになったということは、今、十年たってみればそれが申し上げられるんだと存じますが、その意味で、あの時点において、もう少しというのは、もうたらればの話になりますので余り意味がないと存じますが。
 いずれにいたしましても、この間、日本銀行との共同声明作成に当たりましても、これは、我々としては、今申し上げましたように、そのときの経緯をよく御存じの方が向こうにいらっしゃいますので、向こうは政治家とは違って同じ方がずっとおられますから、政策委員会には。したがいまして、あのときの話も御存じかと思いますがということで、当然、知っておられるわけで、私どもとしては、今申し上げたように、結果論でこうやって見ると早過ぎたのではないかと評価されてもやむを得ないのではないかと思っております。
 第二、第三の矢があるからこそ今回は乗ってきましたというのは、向こうは言われたいところなのはよく分かりますけれども、少なくともあの段階において、何かもう少しやっていればという話はあってしかるべきところなのであって、早過ぎたのではないかと言われてもやむを得ないところはあろうかと存じます。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 政府の政策にせよ、中央銀行の政策にせよ、やはりコミットメントですとか信頼というものは大変重要になってくるんだろうと思います。そういった観点からいたしますと、この二〇〇〇年、二〇〇六年の日銀の判断が誤っていたんだということを、これは明確に政府として、この判断が間違っていたということを政府として外に出していく必要があるんじゃないでしょうか。
 と申しますのも、仮に二〇〇〇年、二〇〇六年について、合っていたかもしれないけれども間違っていたかもしれないという、これは日銀さんの答弁を勝手に縮めて言うとそんな言い方なんですけれども。そういう形でいきますと、じゃ、またああいった局面になったときに、つまり、少し消費者物価指数が上がってきて景気も良くなってきたかなというときになると、日銀はまた引き締めてしまうんではないかというふうに投資家も企業も消費者も思うことでしょう。そうなりますと、政府としても大変、二本目の矢、三本目の矢に負担が掛かるわけであります。
 日銀の、中央銀行の独立性という言葉がありますけれども、これは、今どういう政策を取るべきか、どういった商品をどのくらい買うのかということについて政府が中央銀行にあれこれ言うというのは、これはやめましょうという意味合いです。過去の判断について、今その過去の判断についてどうこう言っても過去の判断が変わるわけじゃありません。二〇〇〇年、二〇〇六年の判断が覆るわけじゃありません。
 ですから、二〇〇〇年、二〇〇六年の判断が間違っていたということを、これを公にするということは、中央銀行の独立性をむしばむものでも全くありませんし、むしろ政府そして日銀一体となった信頼性の向上、コミットメントの向上につながると思いますので、是非ともこの判断、二つの判断は間違っていたということをおっしゃっていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般の金融政策については、まさにこの二〇〇〇年の判断、二〇〇六年の判断がやはりこれは問題があったと、だからこそ今回は物価安定目標を設けたわけでございまして、あのとき、例えば二〇〇六年も物価安定目標があれば、そこに達していないわけですから、あの段階で量的緩和を解除するということはなかったんだろうと、このように思うわけでございます。
 そして、やはり責任が明確になったという、物価安定目標というのは責任が明確になったということでもあるわけでございまして、この二%という物価安定目標については日本銀行が責任を持ってちゃんと維持管理をしていきますよという、また到達をし、そして管理をしていくという言わば責任を負ったということであります。ですから、そこで責任が明確になり、その目標ができたということが大きな違いであろうと、当時とは大きな違いであろうと思うわけでございます。
 そして、それに加えて、経済財政諮問会議において四半期に一回、この物価安定目標に向かってちゃんと歩みを進めているのかどうか、あるいはまた、その近傍においてはそういう管理をしているのかどうかということについて議論をしていくということになるんだろうと思います。
 基本的には、私は、二〇〇〇年、二〇〇六年の判断は間違っていたと、このように認識をしております。基本的には、今委員がおっしゃったように、選挙によって、国民によって選ばれた政府が目標を定め、そして日本銀行が独立をして手段を決めていくということが正しい姿ではないかと、このように思います。
○金子洋一君 総理のおっしゃるとおり、インフレ目標があれば大丈夫だっただろうということ、そして今後はそれを守っていただきたいということは、まさにおっしゃるとおりであります。しかし、インフレ目標を守る、そういった作業を行うのは突き詰めて言うと日銀になりますし、政府からは何も現状では言えないわけであります。となりますと、過去のこうした二回の判断が明らかに間違いであるということをきちんと天下に宣言をすること、これをすることが、よりこの日銀に対する我々の、介入はしないけれどもきちんと見守っているよというメッセージを送ることになると思いますので、今すぐそういうふうなことを大声で言っていただくということは無理であるかもしれませんけれども、是非ともその点を御検討をいただきたいと思います。
 私からの御質問は以上にさせていただきます。本日はありがとうございました。


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