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国会質疑
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2013年3月28日
財政金融委員会

○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
 今日は、黒田総裁、そして田中、雨宮両理事、早朝からどうもありがとうございます。
 今回、私は、三月二十六日の衆議院の財金委員会での前原委員の御質問を踏まえてお尋ねをさせていただきますので、その辺りは余り重複はなさらないようにお願いをしたいと思いますし、また、野党ですけれども、別に揚げ足を取ったりというようなことをするつもりは全くございませんので、よろしくお願いいたします。
 まず、よく行われる日銀の独立性の議論がございますけれども、これは言わば、例えば政治家の側が、選挙が近くなったので何とか景気を良くしたいということで、国債を大量に発行をしてそして様々な財政政策をやりたいというようなことが原因になって物価が非常に上がってしまうと、そんなことになったら大変だから、言わばファイアウオールとして中央銀行の独立性というものを置いて、そこで食い止めるというような議論であると思っております。もちろん理論的にはそういう形でいいんだろうと思いますけれども、そういったケースというのは、政治家が非常に財政を拡張することに専念をしている、あるいは中央銀行もインフレと景気ということを考えて、まあぼちぼちインフレは結構だからもう少し景気にシフトしようかというような形で考える、そういった中央銀行のケースを想定しておられるんじゃないかと思います。
 これが、我が国になりますと、消費税の引上げでも見られましたように、政治家の方もかなり財政緊縮的な発想を取っておりますし、これは大変恐縮なんですけれども、日本銀行さんは、これまでの行動から判断をさせていただきますと、かなり引締めの傾向が強いというふうに私には思えます。
 その二つを前提にいたしますと、こういった中央銀行の独立性の議論というのは、学問的に言うと、時間的整合性の応用問題の一つだと思いますけれども、また別の時間的非整合性の問題が出てくるんではないかと思います。それがこれからお尋ねをする名目GDP比で見た場合のベースマネーの増大というようなことになってくるんだと思います。
 過去、日銀さんは、名目GDP比で見た場合に世界の先進国の中で最も金融緩和を行ってきたというふうに主張をされてこられました。そして、現実にかなり足下の金融緩和というのはやってきているということでいいんだろうと思います。
 しかし、ここで問題になってまいりますのが、その足下のマネーが幾ら大量にあったとしても、いつ引き締められるか分からない状態にある場合、例えば、一年後に引き締められるかもしれない、二年後かもしれない、その判断基準は日銀が握っていると、非常に裁量的であるということになりますから、そうなると、生産計画だって一年後を見なきゃいけない、設備投資でも、だったら三年後、四年後を見なきゃいけない。一年後にマネーがきちんと出ているかどうか、三年後、四年後にマネーが出ているかどうか、これは分からないと、そういう状態でしたら、幾ら足下でたくさん出ていても、将来出るかどうか保証がないわけですから、非常に困ってしまうと。
 となれば、将来的に金融緩和が続くか続かないかということが大切になるわけですけれども、そういった将来、今足下に出ていても将来出るかどうか分からないと。これ、出るという経済主体の期待が形成をされなければ、幾ら足下で出ていても金融緩和としての意味はありませんから、そういった問題が出てきているんではないか。
 つまり、名目GDP比で世界最高に出しているといっても、将来どうなるのか分からない状態では、この足下に出したお金というのが回っていかないんじゃないかと思いますけれども、その辺りいかがお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) ただいま御指摘のあったとおり、確かにこれまで日本銀行はマネタリーベースを大幅に拡大してきたわけですが、残念ながらデフレからの脱却という結果が出ておらないわけでございます。
 そこは、ただいま委員御指摘のことも踏まえて考えますと、三つの点がこのデフレからの脱却にとって重要だというふうに思っております。まず第一に、何よりも大事なことは、二%の物価安定目標を一日も早く実現し、それが達成されるまであらゆる手段を講じていくという強いコミットメントを日本銀行がするということでございます。これは、既に一月の政策委員会で決定されたことでございます。そこで、第二に、こうした日本銀行の強い姿勢をやはり市場に分かりやすく説明していく、市場が理解しやすいような形で説明していくということも重要であろうと思います。そして、第三に、やはり市場の期待を裏切らないように、実際にも大胆な金融緩和を行っていくということであろうと思います。
 このようにして、二%の早期実現に向けた強いコミットメントの下で、質、量共に大胆な金融緩和を継続していく必要があると、まさに二%の物価安定目標が達成されるまでやっていくという強いコミットメントが重要であるというふうに考えております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 つまり、強いコミットメントをすることによって、そういった後で日銀が裏切って金融引締めに移ることはないと、だから日銀のやることを信用してくれという御趣旨だと受け止めましたが、それでよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) まさにそのとおりでございます。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 時間的非整合性の議論をちょっと続けますけれども、このことは、やはり出口戦略についても同じことが言えると思います。論理的に、経済政策ですから出口がどこかに存在することは当然です。しかし、今おっしゃいましたように、無制限でやっていくということをきちんと市場に納得していただくということが強いコミットメントの実力発揮につながってくるわけですから、事前に、いや、どんなことになったらやめますというようなことを言うと、あいつは本気でやる気があるのかないのかということを疑われるわけですね。
 そういうことで、出口戦略を、私はこれは軽々に公衆の面前で議論をするべきではないんじゃないかと思うんです。中央銀行が何かもう、すぐ出たがっていると、出口に行きたがっているという思いを持たせては、これは逆効果になる。つまり、本気です本気ですと言って信用してもらっていれば例えば二年の金融緩和で実現ができるところを、いや、これやってもうまくいかないかもしれませんけれども政治に言われるからやるんですというようなことをやっていると、五年たっても十年たっても実際に金融緩和としての効力が発揮できないということが出てくるんじゃないかと思います。つまり、国民の、まさにおっしゃいました期待の形成のされ方が随分と違ってくると思います。
 この点は、今申し上げましたけれども、これまでの日本銀行の場合にはやはり金融引締めに余りにも熱心だったと思われるんですが、そういったことが影響して、軽々しく出口のことを言ってしまうとか、あるいはこんな状態になったらもうやめますとか、そういうことを言い過ぎたんじゃないかと思いますが、総裁、どうお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私も同様な考え方を持っておりまして、金融政策を運営する中央銀行といたしましては、常にそのリスクというものを頭に入れながらやっていくということは当然でございますけれども、まだ足下、物価が下落している、あるいはゼロ近傍でとどまっていると、二%の物価安定目標にはまだはるか遠くであって達していないというときに出口戦略を議論するというのは、私も時期尚早であるというふうに思っております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 そういったその信頼性と、市場からの信頼を得るということで考えますと、市場というのは、やはりマーケット参加者というのは、これまでの日銀の行動を見て、金融引締めの傾向にあると誰もが思っていると思います。ここで一番必要になるのは、そういったもう過去の日銀の傾向とは違うんだということを明らかにすることじゃないでしょうか。それが金融政策の体制変換、レジームチェンジにつながってくるんではないかというふうに私は思います。
 そういった観点で見てまいりますと、過去の二〇〇〇年のゼロ金利の解除、そして二〇〇六年三月の量的緩和の解除といったものは、これは私、これまでも何回も主張してまいりましたけれども、早過ぎたというふうに思いますし、昨日のこの委員会での安倍総理との質疑でも、両方とも早過ぎたというふうに安倍総理自身もおっしゃっていました。
 となりましたら、これ公式に、そのときの政策判断はその時点では最善だったかもしれないけれども、今になってみればやっぱり誤っていたということをお認めになることが、そういった金融政策のレジームチェンジに一番、何というんでしょうか、レジームチェンジを果たしたんだということを明確に公に示すいい手段になるんじゃないかと思いますが、その辺りいかがお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 委員御指摘の二〇〇〇年のゼロ金利解除それから二〇〇六年の量的緩和解除、いずれにつきましても、委員も触れられたように、その時々の状況を踏まえて議論を尽くした結果だとは思いますし、そのときとしては一定の合理性があったかもしれませんが、結果的に見て明らかに適切でなかったというふうに私も考えております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 黒田総裁も私も官僚出身でございますけれども、官僚というのは、やはり官僚の無謬性を守ろうとする余りに、ちょっとしたこと、最初はまあちょっとした食い違いであっても、その論理的な食い違いを上から塗り隠そうとしているうちにどんどんどんどんその食い違いが大きくなって、最後には手も足も出なくなるというケースが大変多かったわけですけれども、やはりそういったところをよく総裁御存じなんだろうと思います。そういった形で、きちんと、適切ではなかった、今から見れば適切ではなかったというふうにお考えいただくということは大変重要なことであろうと思います。
 続きまして、次の質問に移らせていただきます。
 できるだけ早く、総裁や岩田副総裁はできれば二年以内ということで二%の物価上昇を実現をしたいというふうに御発言になっております。長期国債の買い切りオペがほぼメーンの政策手段になると思いますが、この長期国債の買い切りオペを行うことがどういうメカニズムによって二年以内、結構早い時期の二%の物価上昇、これは当然消費税の増税分を除いての二%ということだと認識しておりますけれども、につながるのか、そこを簡潔に御説明願えませんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど量的、質的緩和と申し上げましたが、私は量的な緩和も重要だし質的な緩和も重要だと思っておりまして、質的と申し上げた場合に非常に重要なのは、委員御指摘のとおり、イールドカーブを全体として下げていくと。したがって、単に短期金利が低いというだけではなくて、長期金利も含めて市場の全体の金利が下がっていくということは、これは物価安定の目標に向けてプラスになる要因だと思います。
 そのほかに、期待に働きかける。つまり、デフレ期待がなくなって二%の物価上昇期待に変わっていくという、期待に働きかけるという要因も非常に重要だと思いますし、それから、量的、質的緩和を通じて、言わば資産価格に影響を与えて、資産価格の面からまた経済に、あるいは物価にプラスの影響が出てくると、先ほども申し上げた長期金利を含めたイールドカーブ全体の低下、期待の効果、そして資産価格を通じた効果というものを考えているわけでございます。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、今の御説明ですとなかなか分かりにくいところがあろうと思います。これ、岩田先生の、副総裁の本などを拝見していますと、長期国債を日本銀行が買い切りオペをするということはどういう意味なのかというと、長期国債というのはそもそも本来的に何だといったら、政府が、まあ基金を積むときは別です、政府がその年度内に何か財を買う、あるいは賃金として出す、あるいはサービスを購入するという形で、すぐに物を買うということに変わると。
 だから、長期国債を出すということは、何かすぐにこれは物を買うんだと。それを日本銀行が新たに発行をした紙幣で、まあかなり簡略化した言い方ですけれども、新たに発行した紙幣で購入をするということは、これは不換紙幣ですから物と紙の交換であると。だから、これは当然物価は上がるんだと、紙と交換をしたがる人間は突き詰めればいないというような感じの御説明をいただいているんですけれども、そういう解釈の仕方は総裁はなさいませんか。
○参考人(黒田東彦君) ただいまの委員御指摘の点は、恐らく財政政策と言わば金融政策と組み合わさった形で景気あるいは物価に影響を与えていこうというお話だと思いますが、それはまさに現在政府が進めようとしている三本の矢、つまり日本銀行は大胆な金融緩和を行うと、量的、質的な大胆な緩和を行う、政府は機動的な財政運営あるいは成長戦略の追求を通じて言わば実需をつくり出していくと。
 ですから、委員御指摘の点は、端的に言えば、言わば中央銀行の金融政策と財政政策とがうまくマッチして行われるということだと思います。ただ、どこの国でもそうですけれども、中央銀行自体はあくまでも政府からの独立という下で金融政策の運営を行っていくということになろうかと思います。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 そういったトランスミッション・メカニズムの話に移らせていただきたいと思うんですが、まさに期待に働きかけると申しますか、結果的に期待が変わるということで期待物価が上昇をすると。そして、期待物価が上昇して名目金利は一定ですから期待実質金利が下がるということで、そこから先のメカニズムをちょっと議論と申しますか、お尋ねをしたいと思いますが。
 一般によく言われる言い方は、そういうふうに実質金利が下がっても金融機関からの融資は伸びないではないかとか、あるいは現実に伸びてこなかったではないかという批判の声がございます。でもこれは、その金融機関を通じたルートだけがデフレ脱却のルートではないことはこれは当然です。
 例えば、企業が手元に現預金を今二百四十兆円ぐらい持っているんでしょうか、そのくらいの現預金を持っている。しかも、企業単独で見ると、これは麻生財務大臣もよくおっしゃるんですが、もうほとんど無借金になっているということになります。その二百三十兆、四十兆の手元の現預金、これは今銀行に預けている段階ではプラスの金利が付いていますけれども、期待物価が上がることによって期待実質金利がゼロ若しくはマイナスになるということでその二百三十兆円が動き出すというルートが言わばデフレ脱却の第一のステップになってくると思います。その次に金融機関からの貸出しが伸びるという形になるというふうに私は思いますけれども、そういったメカニズムが働いていくというふうに解釈をしてよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私も、委員御指摘のとおり企業が相当多額の手元流動性を持っておりますので、その取崩し、その場合には期待物価の上昇、期待実質金利の低下ということを通じて手元流動性を取り崩して設備投資あるいは運転資金に使っていくという、そういうチャネルというかルートというのは非常に重要だと思います。
 もちろん、伝統的な、銀行が貸出しを増やしていくという形で投資を支えるという面もありますし、それから、委員もよく御承知と思いますけれども、社債とか株式を通じた、言わば資本市場を通じたチャネルもあるということで、複数チャネルがあると思いますが、現時点でおっしゃったような手元流動性を取り崩して設備投資などに充てていくというチャネルというのも非常に重要であるというふうに思います。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 済みません、資産効果の方を言い忘れておりまして。まさに第三のチャネルとして、まあ今もう既に起きていることですけれども株高が生じると。まさに今、三月の二十八日です。三月三十一日が期末のところも多いわけですから、株が高くなると。その一方で国債の価値は上がっていると、時価評価でいくと上がるということになりますと、企業のバランスシートがかなり改善をされてくる。あるいは、非常にお金を持っておられるような個人は株を持っておられることが多いと。株が随分と上がるということになると、高額商品への消費が非常に多くなってくると。あるいは、まあ我々などそういった奢侈品は余り関係ありませんけれども、それでも公的年金ですとか私的年金には入っておりますから、公的年金、私的年金の中にもそういった株式というのは随分と入っているわけですね。
 となりますと、株高といって、いや、あんなものは外国人のハゲタカファンドがもうけているだけだというような議論がよくありますけれども、時価評価ということを考えれば我々もいろんな形でメリットを受けているというふうに思うんですけれども、そういったルートについてもし、まあそうなんだよとか違うんだよというコメントがありましたらお願いします。
○参考人(黒田東彦君) ただいま委員御指摘のとおり、資産効果という面は非常に重要だと思います。
 最近の株高につきまして、外人の取得が多い、あるいは国内の、裏側からいいますと、国内の金融機関と家計がある程度株を売っているという面が非常に強調されますけれども、委員御指摘のとおり、株の大半は実は国内の金融機関、企業、家計が持っているわけでして、株価が上がることによる資産効果は実は国内こそ大きいわけでございます。それが設備投資や住宅投資、あるいは消費などにもプラスの影響を与えるということは間違いないと思います。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 株の話になってまいりましたので、ちょっと株が絡む話になりますが、我が国の量的緩和の時期、これは直接的には長期国債を日本銀行が購入をするという形で行われたわけでありますけれども、この量的緩和が金融政策なり、まあ財政政策については余りお答えになる立場ではないということなのかもしれませんけれども、そういった二つの政策面において量的緩和がどういうふうに効いたのか、あるいは効かなかったのかということについて、どうお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 量的緩和が行われましたときは、日本銀行が流動性を大量に供給したわけでして、その下でゼロ金利が継続するということで、金融システムの不安が高まっていた時期も含めて緩和的な金融環境を維持して景気を下支えしたのではないかというふうに思っております。
 ただ、御承知のように、当時の日本銀行の経験、あるいはリーマン・ショック後の欧米の経験などを踏まえますと、量は非常に重要なんですが、量とともに質の面も重要であると。つまり、中央銀行のバランスシートで見ますと、負債の面のベースマネーが増えるということも極めて重要ですけれども、それとともに、資産側の中身がより金融緩和の効果が実体経済に波及するようなものになるという面も重要であろうというふうに思っております。
○金子洋一君 今は過去の量的緩和の話ですけれども、どういうものを買うかということによる効果とおっしゃったと思いますが、これは例えば、今後、量的緩和政策を取るとしたら、いかなるものが適切であるとお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) その時々の金融資本市場の動向を十分踏まえて適切な金融資産の購入ということになると思いますが、一般的に申し上げますと、やはり国債についてはより長期のものも含めてバランスの取れた購入をするということが必要だと思いますし、国債の金利がベンチマークになっておりますので、その上にリスクプレミアムで様々な民間の金融資産が乗ってくるわけですので、そのリスクプレミアムがやや実体経済とかその他から踏まえると大き過ぎるというものについてはリスクプレミアムを下げるような、そういうリスク資産の購入ということも検討対象になると思います。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、金融危機への対応でしたら、例えばCPを買うというのは分かるんですけれども、今の状況を考えてみますと、金融危機とは我が国は全く関係ないと。ということになりますと、じゃ、ETFやREITをどのくらい大量に買えるのかというと、それこそ全部買っちゃうぐらいのことをやらなければ、その緩和としての、量的には効果がないということになれば、やはりこれはなるべく長期の、残存期間が長い国債を買うべきではないかなと私は思うんですが、どうお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私も、基本的に委員の御意見に賛成でございます。
○金子洋一君 ありがとうございました。
 続きまして、別の問いに移らせていただきます。
 よくこれは一般にこういうことをおっしゃる方がおいでなんですが、消費者物価が上がると直ちに名目金利も上がるというようなおっしゃり方をする方がおいでです。言わばフィッシャー効果が短期でも成り立つというふうにおっしゃっているのと全く同じだと思うんですが、これは、そういったフィッシャー効果が短期で成り立ってしまうのか、それとも長期でなければ成り立たないのかというのは、これから我が国の金融政策を考える上で非常に重要な点だろうと思います。
 私は、短期では成り立たない、なぜならば、失業や遊休設備があるために、そういったところがあるうちはとてもそんなことは起きないんだというふうに考えておりますけれども、この物価上昇と金利の上昇について、総裁はどのようにお考えになっているのか、教えてください。
○参考人(黒田東彦君) 長期金利は、先行きの経済、物価情勢に関する見通し、期待というものが非常に大きな影響を与えるわけですが、それに加えて、各種の債券の違い、様々なリスクがありますので、リスクの違いに応じた上乗せ、いわゆるリスクプレミアムが加わって形成されてくるというふうに思っております。
 その場合、やはり委員の御指摘のような論点が非常に重要であるというふうに思っておりまして、中央銀行の立場からいいますと、一番重要な点は、この物価安定の目標というのは、インフレをもたらすわけでもないし、デフレをもたらすわけでもなくて、まさに適切な二%といった消費者物価上昇率を安定的に維持すると、そういうことを通じて言わば人々の予想物価上昇率をアンカーするという効果があるわけで、そういった下では、当然のことながら、長期金利の安定的な形成に資するんじゃないかというふうに思っておりますので、短期、長期のフィッシャー効果の議論は議論としていろいろあると思いますが、一番重要な点は、物価安定目標を持続的に、もちろん上下のいろいろな幅がありますし、欧米でもインフレーションターゲティングといってもフレキシブル・インフレーション・ターゲティングと言っているようなわけでございまして、一定の幅があると思いますが、やはり二%という予想物価上昇率をアンカーすることを通じて長期金利の安定的な形成に資するということが、当面の物価安定目標へのスムーズな移行も含めて、それから長期金利の安定的な推移も含めて、非常に重要であるというふうに思っております。
○金子洋一君 ありがとうございました。
 続いて、最後の質問になりますが、現在の、これまでの日本銀行の方針ですと、二〇一四年中にベースマネーの増加というのは止まると、そして二〇一四年以降は横ばいになるということになろうと思います。前の総裁であった白川前総裁が、それ以降については裁量的に運営をしていくというふうに発言をしたと伝えられております。
 ただ、やはりそこで、先ほどの議論に戻ってしまいますけれども、裁量的に運営をしていくと言ってしまったのでは、これは金融緩和へのコミットメントがなくなってしまうのではないかと思いますけれども、総裁はいかがお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私も、二%の物価安定目標を政策委員会で決めたわけでございまして、それを早期に実現するということになっておるわけですから、当然、それが実現されるまで金融緩和を続けるということに尽きると思いまして、何よりもこの二%の物価安定目標を達成するというコミットメントを強く意識しながら、必要なことは何でもやるという対応でやっていきたいというふうに思っております。
○金子洋一君 是非、必要なことは何でもやる、そして国民のために全力で働くという意欲を持って今後も取り組んでいただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。


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