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国会質疑
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2013年3月13日
国民生活・経済・社会保障に関する調査

○金子洋一君 民主党の金子洋一でございます。
 今日は、白川さん、鈴木さん、お忙しいところをおいでいただきましてありがとうございました。また、大変興味深いプレゼンテーションをいただきまして本当にありがとうございます。
 十分しか時間がないのが本当に残念なんですが、ちょっと、私しか興味を持たないことかもしれませんけれども、お二方に二問お尋ねをしたいと思います。
 まず初めの点ですけれども、消費増税ということで、党内でも消費増税の議論をしたときに、非ケインズ効果が働くから今後消費増税をしても消費が伸びるん だということをおっしゃる方が大勢おいででした。これはIMFの報告書なんかを見ましても、北欧の小さな国では非ケインズ効果はあった、ただしノット・ス タティスティカリー・シグニフィカントだったというふうにもう書いてあるわけです。
 この点について、両参考人がどういうふうに非ケインズ効果について評価をされているか、果たして目で見えるような効果があるのかどうかといったことについてお話しいただきたいのが第一点です。
 もう一点ですが、白川参考人の貯蓄税の絡みでございます。
 白川さんの御本は以前に拝読させていただきまして、大変いいアイデアだなと思いました。ちょっと今の状況を見てまいりますと、物価連動債のBEIで見ま すと、今、一・五%ぐらい、期待物価上昇率になっております。一方で、十年の長期国債の利率が〇・六かそこらですね。ですから、差し引いた実質金利で見ま すと、今、マイナスの〇・九ぐらいになっているはずです。もちろん、このBEIの方には輸入物価が入っているんだろうと思いますから、食料とかエネルギー とかが円安の影響で高くなっている部分というのは入っているんだろうとは思います。ただ、思いますが、やはりマイナスの実質金利になっているという意味で は、白川参考人が唱えておられた貯蓄税と同じような効果を持つのではないかと私は思います。
 この点について、白川参考人、鈴木参考人、いかがお考えになるか、そして、こういった実質金利がマイナスの状態がどのくらい続くというふうにお考えになるかについても承りたいと思います。

○参考人(白川浩道君) 消費税増税の非ケインズ効果というのは、消費税を増税するとむしろ期待が上がって消費が増えるという議論だと思いますが、発想的 には、消費税を増税すると社会保障の先行きの見通しが改善し、恐らく高齢層の方々を中心に、ああ、これで経済がうまく回るのであれば少しお金を使ってもい いだろうというふうに思うという効果だと思いますし、若年層についても、これは、消費税増税になれば将来自分たちの負担はひょっとするとうまく回れば減る かもしれないと。ただ、そういうまず効果自体は、日本のデータを使って検証しようと思ってもうまく出てきません。
 前回の消費税増税の後に消費が増えるというような傾向が実は見えたわけではなかったために、そういう効果はちょっと統計的には日本では検出されていませ んし、それから、よく財政を拡張しますと将来の赤字が増える期待が増えてもっと増税されちゃうんじゃないかと思うので、むしろ公共事業などをやるとその分 貯蓄率が上がるという議論もあるんですけれども、そういうことも実はデータでは観測されないんだと思います。したがって、私のイメージでは、恐らく、増税 したら消費が増えるというストーリーは多分正しくないというふうに思います。
 ただ、我々が今一番関心を持っておりますのは、先ほど若年層にはマイナスが行くよと申し上げましたけど、増税をしたときに、例えば、これは先ほどの鈴木 先生のお話から合わないんですけど、これで自分は引退できる、社会保障がもうこれでうまくいくのであれば早くきちっと引退しようと。もう私は六十五歳で辞 めますといって仕事を持たなくなると、日本経済には非常に大きなインフレが発生いたします。
 というのは、皆様も御存じのとおり、現状、日本は人手不足になっております。特に建設とかは極めて人手不足なんですが、そういったことがマクロ的に言う と、六十五歳超の方々が長く働こうとすると、その分、失業率は下がりにくく、賃金は上がりにくい。逆に消費税を増税することによって引退者が増えますと、 その分、インフレになりやすい。これは非ケインズ効果と言われているようなものではないんですが、消費税増税を一つ正当化する私は考え方ではないかという ふうに思っています。
 それから、貯蓄税の議論は、これは今、金子先生がおっしゃったアベノミクスなるものの中で今円安になっておりまして、インフレ期待が市場では高まってい ると。そして、そのインフレ期待は何を今もたらしているかというと、みんな個人の方々が株を買っているわけであります。これは、インフレ期待なのであろう かということです。これは株価上昇期待なんじゃないという、極端に言えばですね。
 私の議論したインフレ期待というのは、そういうものとは少し違う。例えば、今先生がおっしゃった国債市場で見られているインフレ期待というのは、どうも 実際に物価が本当に上がってくるという期待が本当に反映されているのか。そうではなくて、上がっている株価を見て、この株価はやっぱりインフレでなければ 説明できないみたいな、こう逆算されている部分もあるかと思います。したがって、実質金利というものが、例えば預金金利がゼロでインフレが二だったら、ゼ ロ引く二イコールマイナス二で、自分の預金が目減りしていってしまうんだというふうにみんな思っているかというと、思っていないと思うんですね。私の周り で、預金を取り崩して株を買っている方は余りまだ見ておりません。元々やっておられる方々が頑張ってやっておられる感じですね。
 ですから、本当に実質金利が下がって、私の言う貯蓄税というのは、貯蓄を持っていると、毎年、百万円持っていると来年は九十九万円に強制的に減るという やつであります。そして、翌年は九十八万円に減っていくわけであります。これは、かなり概念的には似て非なるものであります。つまり、強制的に資産を取ら れてしまうわけで、実はそこにこの税金の一つの問題点がありまして、資産を保有する権利というものを本当は侵害しているんじゃないかとか、そういう議論は あるわけですが、逆に言いますと、私自身のイメージでは、これだけ株価が上がりインフレ期待みたいなのが出てきていても、一部のマーケットだけであって、 一般の国民の見ている物価というのはまだかなり低いのではないかと。そして、まだですよ、まだこの期に及んでという言い方はちょっと悪いんですけど、皆様 方食事に行かれれば分かりますが、牛丼とか下がっているわけです、まだ。これ、かなり根性が入っていますねということです。
 ですから、そういうものを見ている人たちからしますと、とてもインフレ期待が上がっているわけではなくて、実際に物価が上がっていくことが本当に持続的 に出てきませんと、貯蓄を取り崩して、これは本当に物価が上がるから何か消費に回す、車を買った方がいいんじゃないかとか、まあなっていないと思います。
 その意味では、私の今のイメージではなかなか貯蓄する意図というのは国民は落ちないと思いますので、やはり貯蓄に税金を掛けるような議論というのは、デフレ脱却の意味ではどうしても残るオプションかなというふうには思います。評判は悪いんですけどね。
 以上でございます。

○参考人(鈴木準君) ありがとうございます。
 非ケインズ効果につきましては、先生がおっしゃるとおり、非常に実証的には難しい、なかなか示すことは難しいと思います。財政赤字を減らして増税すれ ば、これは民間の可処分所得を減らして、実質可処分所得を減らして、その分を政府の所得に付け替える、これが目的でございますので、当然短期的にマイナス だと思います、消費についてですね。
 ただ、やっぱり長期的な視点で考えますとき、財政赤字というのは、国債というのは国の借金だけれども国民の資産だという言い方もされることございます が、結局、民間の資産と政府の負債が両建てで膨脹しているというのが、これが財政問題の実相でございまして、じゃ本当に景気にマイナスだから増税しなけれ ばどうなるかということを考えると、そういうわけにもいかないというところで、その短期と長期の難しさをうまくつなげる必要があると思います。
 ただ、直近のところの改革というのは増税がやや先行といいますか、現役世代への目配りが必ずしも十分じゃないということを、私、今日申し上げましたけれ ども、そういったことをやっぱりセットで行う必要があると思いますし、何よりも成長戦略をきちんとやって、民間が投資なり消費なりもう少し元気よくできる ようなそういう状況をうまく別な方でセットで持っておかないと、単に増税だけやれば非常にマイナスのインパクトが大きくなるという、こういう問題ではない かと思います。
 それから、BEIでございますけれども、報道でもBEIでインフレ期待が高まっているというのがございましたけれども、これは名目債と物価債のスプレッ ドを見ているだけでございまして、日本の場合は、御存じのとおり物価連動債というのは非常に市場が小さい、流動性がほとんどない、そういう市場でございま すので、これで期待インフレ率を見ることというのは私は相当無理があるのかなと思っております。すなわち、インフレ期待がそんなに今の時点で既に高まって いるかというと、必ずしもそうではない。
 政府が物価連動債を今年発行再開を検討されておられますけれども、今のところ、なかなか国内投資家の需要はないというふうに言われておりますし、細かい 話ですが、今年から商品性としてデフレフロアを付けるわけですね。名目元本保証を付けた物価連動債を発行する。つまり、デフレ脱却すると非常に強く宣言さ れている中で、しかしデフレフロアを付けないと売れないかもしれない。デフレフロアを付けること自体は別におかしいことではないんですが、デフレフロアを 付けないといけないというのはこれちょっと皮肉な状況かなとも言えまして、私は、やっぱり民間部門のもう少し賃金が上がってくる、今のデフレというのは やっぱりサービス業の価格、賃金が下がっている、国内産業の価格、賃金が下がっていると、こういう問題だと思いますので、そこはやっぱり規制改革とか組み 合わせて国内産業の賃金が上がってくるというような状況になってこないと、インフレ期待というものは目に見えて高まってくるというふうには見込めないので はないかというふうに考えております。

○金子洋一君 ありがとうございました。時間超過して済みません。

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