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国会質疑
国会質疑 詳細
2013年5月31日
経済産業委員会、財政金融委員会、消費者問題に関する特別委員会連合審査会

○金子洋一君 お疲れさまでございます。民主党の金子洋一でございます。同僚の尾立委員に引き続きまして、なるべく重ならないような御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、企業の消費税転嫁の問題につきまして、その環境につきまして、つまり政策論に入る前に環境についてマクロ的にちょっと議論をさせていただきたいと思います。
 まず、この消費税の転嫁ということ、今回の転嫁を考える上で一番大切なことは、これまで二回の消費税の導入そして引上げ、二回ございましたが、このときには、その年度で見ますと、引上げ分と引下げ分というものが直間比率の是正ということでプラス・マイナス・ゼロでございました。ところが、今回は五%引き上げると、そしてそのうちの一%は社会保障の増強、残り四%は平たく申しますと財政再建に向けられるということになっております。となりますと、純粋な増税という部分がはるかに大きいということになりますので、今回は転嫁をすることが非常に難しい環境になるということが言えると思います。
 転嫁を考える上で大事な要素が幾つもございます。例えば需要の量がどのくらいあるのかということ、あるいは価格自体が上がりやすい環境にあるのかそうでないのかということ、そういったものがあると思います。あるいは、同時にほかのものも転嫁するということになったら、これはなおのこと難しいというような、そういった三点あると思います。
 まず最初の需要についてですけれども、これは要するに、我が国の成長率がどうなるのかということに言い換えられると思います。内閣府に短期日本経済モデルというのがございまして、その最新版二〇一一年版によりますと、消費税率の一%引上げは実質GDP成長率を〇・三二ポイント一年目に引き下げるというふうに書かれております。名目で見ましてもたしか〇・三六でほとんど同じだと思いました。五%でしたらマイナス一・六%、つまり約八兆円の需要が減るということになります。
 これ、これまでの政府の試算を見てまいりますと、例えば経済財政の中長期試算などで見ますと、平たい言い方を申しますと、いや、そんなことないよと、長い目で見るとすぐ成長軌道に戻るんだというようなことが書いてありますけれども、この短期日本経済モデルというのは、もう純粋に、こういう変数を動かしたらこういうアウトプットになりますよという、言わば投入と産出の関係を、その係数を示しているものでして、一方のこの中長期試算というのはそれプラスアルファがあるということであります。
 どういうプラスアルファなのかということで、これは質問答弁書から引用をいたしますと、社会保障・税一体改革による消費税引上げは、国民が広く受益する社会保障の安定財源確保に向けたものと明確に位置付けられていることから、消費税率引上げの前後の期間でならして見ると、経済への影響は限定的になると考えられると書いてあるわけです。恐らくこの試算の中には非ケインズ効果を入れているんではないかなと思います。これ、役所との議論の中でどういう試算なんだとお尋ねをしましてもなかなか明確に出てきませんので、恐らくそういったものが入っているんだろうと思います。
 この非ケインズ効果というのは、理屈の上ではありますけれども、実際、じゃどこの国であったのかというとなかなかその実例がない。IMFなんかも、昔は北欧の小国でそういう効果があったというふうに言っておりましたけれども、それでもその同じ報告書の中に統計学的には有意ではないというような書かれ方をしておりました。そういう非ケインズ効果というようなものに頼っている可能性のある試算よりも短期マクロ経済モデルの方が頼りになるんじゃないかと思います。つまり、日本経済全体として見ますと需要は減るということです。
 あと、もう一点、価格そのものです。
 これは、デフレの環境にありますと価格転嫁というのは非常に難しくなります。これは経済白書にたくさんそういった実証研究が載っておりますので引用はしませんけれども、簡単に申しますと、価格が全体としてどんどん上がっている状態ですと、自分の販売をする品目について、例えば五%上乗せをするということにしても、まあ周りも上がっているんだから自分の売っているものも上げられるというような感じになるわけです。これ、逆の言い方で申しますと、デフレの環境にあるとそういった価格転嫁は難しいということになってまいります。しかも、先ほど申しました第三点の点なんですが、消費税の上昇分の転嫁だけではなくて、今回は円安による原材料費の上昇というのもあって、これもきちんと転嫁をしないと事業者の皆さんは大変なことになってしまうということであります。
 これは、アベノミクスで結果的に円安が進んでいる。アベノミクスについては、私、株高になっているということで高く評価をいたしますけれども、全体としては非常にいいことだと思いますが、同時に、この円安による輸入物価の上昇というのは消費者あるいは中小企業に対して非常に悪い影響を持っております。先ほども議論の中に出ましたけれども、漁業関係の方、あるいはトラックですとかタクシーですとか、そういった運輸関係の方々が大変お困りになっているということがあるということになっております。
 そういったことで、全体的な需要も大きく下がると。そして、価格転嫁自体もデフレの環境の下にあると非常に難しい。そして、原材料費の高騰が、これは政策的な判断に基づいて円安が結果的に生じてそして輸入物価が上がってしまっているということから、これも非常に厳しい環境にあるということになっております。これ、消費税の新規発生滞納額というのが二十三年度ですと三千二百二十億円あります。大体例年三千億円台ありますけれども、こういった滞納額がもっと増えるんではないかなと私は思っております。
 そこで、麻生財務大臣、副総理と申し上げた方がいいんでしょうか、この場合には。この消費税導入時と比較をして、あるいは一九九七年と比較をして大変厳しい状況にあると、そしてかつデフレの環境にあるということ、それでかつ円安で原材料費が上がっている、輸入物価が上昇をしているという環境でこの転嫁というのが十分できるんでしょうか。そして、御自身は、国内の物価上昇率二%の実現というのは当面難しいのではないかと発言をしておられますが、そうなりますと、やはりずっとデフレが続いてしまうと、どうしても難しい環境が続いてしまう。企業にとって非常に厳しいということになりますが、そういった環境の中でどういうふうな形で転嫁対策を打たれるのか、お答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 誠に御指摘しておられる点は、一番重大な点が、これまでこの種の質問の中で最も重大な点を今まで誰も語られませんでしたので、初めて伺った見識だと思って、正直、はあ、初めて出たなというのが正直な実感です。まず正直に申し上げておきます。
 今般のこのいわゆる税制改革というか、この消費税の値上げに関しましては、元は何かといえば、増大する社会保障というものに対して、これに対して安心に、これは大丈夫なんです、対応できるんですよという持続性とか、また国家として債券を大量に発行しておりますが、そういうものに対する国としての信認の維持とか、そういった大前提がこの消費税の値上げにつながっている一番大きな背景としてあるというのはもう御存じのとおりだと思いますが、今回は、仮に三が五ということで、五でいきますと十三兆ぐらいのものになろうかと思いますが、これは全額社会保障の財源化にいたしますという前提でこれをスタートさせておりますのは、これ最初に、まず国として申し上げておかねばならぬところだと思っております。
 九七年と比べてと言われる話をされましたけれども、確かに一九九七年、三%から五%に値上げをさせていただいたときには、たしか増減税一体ということもこれあって、五%の消費税によって得られる五兆円程度の増収が、現実問題としては法人税それから所得税等々が減収になりましたために、結果として四兆円、プラスマイナスで、四十一兆から三十七兆まであのとき落ちましたので、約四兆円落ちたという結果、プラスマイナス九兆円の差が出たということになったというような点を言っておられるんだと思いますが、これはもう間違いなく事実であります。
 ただ、翌年、第一・四半期が終わりました後、その次の四半期からは一応元に戻って、いわゆる駆け込み需要の反対側が起きましたので、一挙にまたそこは上ってきたというのがあのときの経過ですが、今回の場合の一番違うのは、これは金子先生、何といってもいかにもデフレーションというものがはっきりしている。あのころでもデフレは始まっていましたよ。始まっていましたけど、今回の場合の方がデフレーションというのははっきりしていると思っておりますので、ここが日本銀行と私どもと一番話をさせていただいて、二%のいわゆるインフレターゲットというものをきっちりしていただくというのが我々として最も強く要求したところであります。
 ほかの国も、二%ターゲットという、インフレターゲットをやっているではないかと言うけど、それは四%とか六%を二%に下げるというのと、マイナスのものをプラスにして二%でという話はこれ全然話が違いますので、そういった意味では、日銀の金融緩和等々は避けて通れぬというところなので、ここのところを非常に強くお願いしたところですが、まずはインフレターゲットとして二%になるべく早くしていただくということが、我々としては、消費税というものをお願いするに当たって一番肝心なところはこのインフレが一番大きなことになると、私どもの立場ではそう思っております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 つまり、二%にするということがこの引上げの上で非常に大事なことなんだとおっしゃっているというふうに受け止めさせていただいたんですけれども、となりますと、なかなか来年の四月までに二%にきちんと到達できるのかどうか。多分二%そのものじゃなくてもいいんだと思いますけれども、少なくともデフレから脱却できるのかどうかというところは大変大きな論点になろうと思います。
 となりますと、そういった形で、少なくともデフレから脱却ができる見通しが立つということがこの消費税の引上げの条件になるというふうに麻生大臣はお考えになっていると受け止めてよろしいでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) これは附則に書いてある内容、何か難しい話がいっぱい、皆さん方で作られたんでしょうけど、訳の分からないことがいっぱい書いてあるでしょう。普通の人が読んでも全然分からぬことが書いてあるのはもう御存じのとおりで、あなたみたいなプロが見ても、これ何が言いたいのかなというのは、私も、余り長い文章で、これ誰が書いたんですって申し上げたことがあるんですけれども、みんなで作ったらこうなったというお話だったんで、へえと思ったんですけれども。あの三党合意を見られて、皆さん、ここに責任者の方も随分いらっしゃるんだと思いますけれども、簡単に言えば、景気が良くならない限りは上げないということが書いてあるんだと、私なりにはそう理解をしております。
 したがいまして、常識的にいきますと、長期契約やら、いろんなものに転嫁する値札の張り替えとか等々を考えますと、少なくとも半年前までにはということで、目安としてこの十月ということになっておりますので、残り約六か月ぐらいあろうかと思いますけれども、このまでの間にどれほど国民の気分として、ああ、これは景気が良うなってきたなという感じを現実感じていただけるかどうか。何とか指数がどうたらこうたらいろいろ書いてありましたけれども、あのほかにもCPIもあるでしょうし、コアコアCPIもあるでしょう。いろんなものを考えていかなければならぬところだと、私どももそう思っておりますので、私は今の二%がとかインフレが絶対とか言うつもりはありませんけれども、少なくともそういったものになっていくという条件を、ある程度これはまあしようがないかなという感じになってもらっているかどうか、そこらの判断は今から、これを最終的に十月ごろさせていただくに当たって一番大事なところとして考えておかねばならぬので、いろいろな経済指標を勘案して決めさせていただかねばならないことだと思っております。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 ただ、九月か十月ごろに総合的に御判断になるということになるという御発言、今の御答弁はそうだったかと思いますが、先ほどは物価を二%目指して持っていくことが大変重要だとおっしゃっているわけですから、是非とも、最低限デフレから脱却、デフレというのは、要するにCPIがゼロ%よりも上に上がることで脱却と言えるんだと思いますが、最低限そこに至らないと引き上げませんよというようなことでお考えはいただけないんでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) これも先生、私一人だけの意見で決まるわけではありませんので、これはいろいろそういったことにお詳しい方々がみんなで知恵を出し合って結論を導いていくんだと存じますが、デフレがこのまま続いているだろうなという状況はなかなか難しいであろうなとは思いますので、これは間違いなくインフレの方向に行くなという雰囲気には最低限ならないと難しいだろうということを言われたいんだと思いますが、その点は私、個人的にはそう思います。

○金子洋一君 是非そこのところを言い切っていただきたいというのが正直なところでありますけれども。
 と申しますのも、これ、長い間のデフレからの脱却というのはなかなか世界の歴史の上でもありません。ただ、一番先進国でということになりますと、我が国ですとかアメリカの世界大恐慌からの脱出というところがありました。特に、アメリカの例で見ますと、一九二九年から世界大恐慌が始まって三三年に当時のルーズベルト大統領がきちんと取り組み始めたと。ああ、これはいいあんばいだな、いい調子になったなというところで、一九三七年に気を緩めて経済を引き締めてしまったわけですね。そうしましたら一気に一九三八年に悪くなってしまったというのがあります。
 これに陥ってしまっては絶対にいけないわけでありまして、これはそういった時代の研究家はいろんな言い方をしますけれども、大恐慌から得られる今日の政策への教訓ということで、非常に財政の状況が厳しいといっても、景気が十分良くならないうちには引き締めてはいけませんよというようなことを言っておられる学者が大勢おります。これは別に日本国内じゃなくて、海外に大勢いるわけでして、そこのところをきちんとやっていただきたいなと思います。
 その代表例が、大恐慌の研究をしているクリスティーナ・ローマーという学者で、この人が今年の三月十一日にオクラホマ大学で講義をしていまして、こんなことを言っております。
 財政赤字の削減は痛みを伴うという一九三八年からの教訓からは、諸国は自国の財政赤字をコントロールしようと試みるときに注意深くあるべきだと示唆されます。合衆国のような国々は長期の財政問題に取り組む必要があります。私たちは持続不可能な経路を取っており、これを解決せねばなりません。ですが、そのやり方は賢くなくてはいけません。増税と支出削減は成長をそぎ失業率を高める傾向があることを理解すれば、赤字削減を徐々に進めるよう調整した方がよいことになります。他の要因が回復を強化し始めるようになってから進めていく方がよいでしょうというふうに言っておられるわけです。
 また、内閣官房参与の浜田宏一先生も、消費増税の延期を、これは四月九日のロイターの記事ですけれども、消費増税先送りも選択肢だというふうに言っておられます。
 また、最近、これは閣内にはいらっしゃいませんけど、自民党の石破先生も、消費増税は景気次第だというふうに言っておられるわけであります。
 せめてこの、また再度お尋ねしますけど、名目GDPが実質GDPよりも上になる状態ですね、そこまで持っていってから消費増税と、例えば来年の四月ではなくて次回、本来でしたら一〇%に引き上げるときに一遍にやるとか、そういうようなことを御検討をなさってはいかがかと思うんですが、特にそうした方が今の政権も長く続くんじゃないかと思いますけれども、大臣の所見をお願いいたします。

○国務大臣(麻生太郎君) 政権が長く続くかどうかは時の運もあろうと存じますんで何とも申し上げられませんが、先ほど引かれました一九三〇年というのは、御存じのように二九年のウォールストリートの株の大暴落に始まって、時はフーバーという人が大統領、アンドリュー・メロン財務大臣がそのままほっとけと言うので、我々中学校の学校教科書で習うレッセフェールそのままに、結果としてアメリカは大恐慌ということになり、GDPは半分、失業率二四・九%という史上空前の大恐慌ということになりました。
 当時、日本にもそれが波及してきて、政権が替わって、犬養内閣に替わったんだと記憶していますが、そのときに、政友会の総裁でもあり日銀総裁でもありました高橋是清を、他党からいきなり自党の内閣の大蔵大臣に登用しております。この人は、デフレにはデフレ対策ですと言って、徹底して社会資本の充実とか雇用対策とかいろんな形で財政出動をやった結果、基本的に三年目でこれを、デフレという不況から脱却するのに成功し、ウォール・ストリートという雑誌だか新聞に、今次不況より日本は世界最初に脱出するに成功せり、これはウォール・ストリートという新聞に載ったんですが。
 これを読んだのが多分フランクリン・ルーズベルトという時の民主党の大統領候補だったんですが、この大統領候補はそれを読んで、これだというんで、それを丸々採用して、ニューディールという風呂敷に包んで出して見せて、一九三二年、三三年のころには間違いなくGDPは元に戻し、そして失業率はたしか一二・五%まで下げたんだと記憶しますが、そのときには財政がどうたらこうたらといって当然反対党から意見が出た。それで彼はそのときに、言われたんで、しようがないから財政再建の方に一回かじを切った途端にばあんとまた落ちたというんで、慌ててまた元へ戻して元に変えたのが三九年だったと記憶しますが。
 そういったのはどこの世界でもあるんだと思っておりますが、少なくともこの方は民主党だったんですが、自分が選挙でしゃべったマニフェストどおりにきちっと政策を実行されたというところが一番大事なところだと。別に皮肉のつもりで感じられるか感じないかは別、それは個人の気持ちの問題だから。だけど、それが民主党という政党だからたまたま申し上げているだけであって、そういったことが歴史的には言えるんですな。
 だから、その点は確かに、その三八年というときに、あのときにどういうアメリカの世論だったかというのは、読むと非常に、やっぱり反対党からは、財政再建じゃないか、おまえ、こんなやってどうしたって、わんわんわんわん出て一回下げたらというのを多分浜田先生は読まれたんだろうし、オクラホマの方も読まれた上での話なんだと思いますんで、あのころの記憶が生きていてある人はおられませんので、全部議事録で読まれた結果そういうことになったんだと思いますんで、なかなかそこらのところの判断としては、どういうところで決められるかというのは、なかなかこれは判断の難しいところで、一概にこれというお答えは今私が持っているわけではございません。

○金子洋一君 ありがとうございました。これ以上やっておりましてもちょっと本題から外れますので。ただ、この消費増税の法案自体は民主党政権のときに成立いたしましたけれども、決定は自公政権のときですので、是非とも賢明な御判断をいただきたいと思います。
 一点、先ほども社会保障改革のためにというお話がありましたのでお尋ねをさせていただきますけれども、全食料品に対して軽減税率を適用するというような議論が行われていると思うんですが、仮にこの軽減税率を全食料品に及ぼした場合、これCPIで見ますと約四分の一あります。この四分の一あるものに軽減税率を掛けた場合、その財源というのはどこから賄ってこられるんでしょうか。
 三党合意あるいはその後の法案の説明で見てまいりますと、社会保障は一%分向けるということになっておりますので、まさかその社会保障の一%分をカットされるというようなことはないだろうと信じておるんですが、その場合にはどうされるのか、御答弁いただければと思います。

○副大臣(小渕優子君) 平成二十三年度決算における消費税収は約十二・七兆円であります。このうち食料品の割合については、食料品の範囲や統計の取り方によって異なることに留意する必要はありますけれども、大体五分の一から四分の一程度と推計をされています。この推計を基に、消費税率を一〇%に引き上げた際に、仮に食料品の税率を五%に据え置いた場合の減収額を機械的にこれ試算をいたしますと、おおむね二兆円台半ばから三兆円台前半となると推計をされています。
 現在、与党の調査委員会において、軽減税率を導入するに当たっての課題についても議論が行われているものと承知をしておりますが、この財源の問題についても重要な検討課題の一つと認識をしているところであります。
 いずれにいたしましても、本年二月の三党合意において、この低所得者対策につきましては引き続き協議を行うとされておりますので、与党及び三党間での議論を踏まえた上で、関係者の意見にも十分に耳を傾けて検討を行っていく必要があると考えております。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 これはまた大臣に申し上げたいんですけれども、社会保障に向けるその一%分を削るということは絶対にやっていただきたくないんで、そこのところだけは守るということでお約束をいただきたいんですが。

○国務大臣(麻生太郎君) 軽減税率の話で食料品の話等々、どれくらい具体的に税調なり与党、三党なりなんなりでやっておられるか、ちょっとその詳しい経緯を私どもの方では知らないんですけれども、少なくともこれは法律できちんと社会保障ということを決めておりますんで、その意味においては御趣旨に沿って事は進んでいると思っております。

○金子洋一君 どうもありがとうございます。安心をいたしました。
 それでは進めさせていただきます。
 まず、今回の転嫁法案につきましていろいろな側面からもう議論がされておりますので、なかなかもう残されているところというのは少ないと思うんですが、私が一番気になりますのは、こういった転嫁を促進する法案がビジネスをしにくくするものであってはならないと、つまりアンチビジネスであっては絶対ならないと思っているわけであります。
 その観点からちょっと二、三問お尋ねをしたいと思うんですが、まず、この法案の第八条の部分ですけれども、解釈については、私どもが聞いておりますと何となく二転三転をした感じはいたしますけれども、結果的には、セールについては消費税というような文言を使わなければできるというふうになっているというふうに思いますが、ただ、企業の価格、セールをやるときのその価格の、まあ価格は同じなんですけれども、その表示の仕方について、結局同じ金額で売るんでしたら、そこのその表示ぶり、言いぶりについてまで口を突っ込むのは、いささか政府としてちょっとパターナリスティック過ぎるというか、ちょっと、何と言えばいいんでしょうね、物を言い過ぎるという気がいたしますけれども、これはどなたにお尋ねをすればよろしいんでしょうか。稲田大臣にお尋ねをするのか。じゃ、森大臣、お願いいたします。

○国務大臣(森まさこ君) お答えいたします。
 八条でございますけれども、消費税分を値引きする等の宣伝や広告は、消費税の負担について消費者の誤認を招き、納入業者等に対する買いたたきを生じさせたり、周辺小売業者等の転嫁を困難にするものでございます。そういった趣旨から、八条の規定は、このような広告宣伝を禁止することにより、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保を図るものでございます。
 なお、同条の規定は、あくまで消費税分を値引きする等の宣伝や広告を禁止するものであり、事業者の企業努力による価格設定自体を制限するものではございません。

○金子洋一君 ありがとうございます。事業者の方がどうお受け取りになるかという点があるんだとは思いますけれども、なるべく、それぞれこういう厳しい環境の中で頑張っておられる事業者を足を引っ張るようなことというのは避けていただければと思います。
 また足を引っ張るという感じの話になってしまうんですが、大規模小売店舗、大規模小売事業者についてかなり厳しい法案になっているんじゃないかと思います。もちろん、消費税の転嫁拒否とか、そういったことはやってはならないというのは当然だろうと思いますけれども、大規模小売業者だけ取り立ててそこに上げるということにどれほどの意味があるのかと。だから、そういうことはやっちゃいけませんということで皆さんに言えばいいんじゃないかと思うんです。
 こういう表現を見ていますと、昔の大店法のように、何か特定の方々を利して特定の方々にマイナスを押し付けるというようなものであるかのごとく聞こえてしまいます。それとも、大規模だということで優越的地位の濫用があり得るというふうにお考えになっているんでしょうか。そこのところを、これは稲田大臣にお尋ねをいたします。

○国務大臣(稲田朋美君) 今回の法案は、消費税の引上げに際して中小事業者等が消費税を価格に転嫁しやすい環境を整備するということが極めて重要であるということから、転嫁拒否等の行為について効果的な取締りが可能な制度を設ける必要があると考えております。
 今御指摘の第二条の特定事業者に大規模小売事業者を規定をしていることの趣旨でございますが、公正取引委員会が過去に独禁法上の優越的地位の濫用として法的措置をとったものの多くが大規模小売事業者によるものであったこと、当該優越的地位の濫用行為の相手方には大企業も少なくないことから、大規模小売事業者については全て特定事業者とし、これらのものに対する納入事業者等については、資本金等の規模にかかわらず特定供給事業者として保護の対象としたものでございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。特定の、特定というか、あるジャンルの皆さんに過剰に不便を掛けるような形では運用をしないようにお願いをしたいと思います。
 最後の質問になると思いますが、先ほど稲田大臣は、二度にわたって値札を替えるというふうにおっしゃいました。確かに大変に事業者にとって負担が大きい今回の八%、一〇%への引上げだろうと思います。
 私は、先ほどの尾立委員とちょっと意見が違うんですけれども、やはり総額表示ではなくて外税表示にしておいた方が、そういった消費税率の引上げを考えましても、全部外税になっておればそれは横並びで比較をすればいいわけですから、そういった方式の方がいいんではないかと思います。(発言する者あり)だから一本化ですね、そうですね。だから、どちらかに一本化すると。私は外税に一本化していただければいいと思うんですけれども。その方が、こういうデフレの状況で転嫁をするということがより楽になるという声もあります。是非とも外税一本化というようなことで恒久的に措置をするという方向の政策を考えていただければと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 一本化の方が便利、話が早いというのはもう当然のことであって、前もそれで内税にしたわけですが。
 今、外税一本化という話ですけど、仮に外税にしたら、多分、金子先生、ビールは飲まぬよ、俺はそう思うね。ビールは、あれは半分税金だろう、飲むかな。そういうことになっちゃうと、やっぱり、消費税で、それでまたプラスだから……(発言する者あり)分かる、分かる、分かる、それは今分かりやすい例で言っているんだから、それ。あれが酒税で消費税じゃないぐらい俺でも分かるから大丈夫。
 それを言っているんじゃないけど、何となく私ども外税の方に、外国に長い方だとみんな外税の方でいいじゃないかと。みんな慣れているし、日本人計算速いし、お釣り間違えないし、そういった意味で外税の方が早いんじゃないんですかと、私はかなり一回目のときに言った方だったんで、一回目というのはこれ、三%にするときの話で、そのときに言った記憶があるんですけれども。
 内税ということになりましたけれども、内税にして、あのとき週刊誌が百円だったものが百三円にはならなかったんですよ、内税で百五円になった。二円お釣りくれって言ったら、麻生さん、そんなけちなことを言うのはあんただけですよって当時言われた記憶がありまして、ずうっと前の話です、初めてできたとき。内税の方が乗せやすいということは確かなんだと、そのとき自分で実感でそう思ったんですけれども。
 これは、いずれにしても、なるべく速やかにこれ一本に、内税一本にという方向で事を進めるための次善の策として、八%、一〇%というような形でいくということになると、値札の張り替えがたくさん商品並べてあるところではなかなか手間が掛かる等々のことを考えてこれやらせていただいたというのがその背景だと思いますので、基本的には一本でいくというように、なるべく早い時期に一本化した方がいいという点に関しては、私どももそう思っております。

○金子洋一君 どうもありがとうございました。
 もう時間になりましたが、是非とも、きちんとした事業者がきちんと営業がしていけるような形で、しかも転嫁が促進できるという形でやっていっていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

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