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国会質疑
国会質疑 詳細
2013年11月27日
消費者問題に関する特別委員会

○金子洋一君 お疲れさまでございます。民主党の金子洋一でございます。
 先ほどの大臣からの御説明の中にもございましたが、消費者と事業者の間に情報の格差があると、そういったことが非常にこういった消費者問題で悪さをするんだと、平たく申しますと、そういった御説明があったと思います。全くそのとおりだと思っておりますが、ただ、事業者の中にも、言わば大企業というような法務部門がきちんとした事業者もあれば、あるいは、特に食品メーカーなんかにありますけれども、中小企業で余り法務部門がちゃんとしていない、法務部門を充実させればいいということが分かっていても、やはり企業のサイズからいってなかなかそういったことができないというような事業者もございます。
 となりますと、いろんな先生方がいろんな側面から御質問をなさっておられますので、今回はそういった中小の事業者にちょっとスポットライトを当てて御質問をさせていただきたいと思っております。
 私も昔、経済企画庁におりまして、今でいうと消費者庁の中に移管をされているところにかなり長い間勤務をしておりました。そのときにも痛感をいたしましたけれども、難しい法理論ですとか経済理論を振りかざしても、やはり一般の消費者の方あるいは一般の事業者の方にはなかなか分かっていただけないというところがありますので、言わば消費者庁の中でそういった一般の皆さんにも分かりやすいような行政を進めていく必要があるんだろうと思っております。
 最近、人員拡充をなさっていて、その中で弁護士の資格を持っておられる皆さんを大勢採用をされて、かなりの数採用をされておられる、あるいは消費者保護について専門の知識を持っておられる方を採用されておられるというふうに承っております。
 もちろん、こうした方々を増やすということは大変歓迎すべきことでどんどんやっていただきたいと思うんですが、また同時に、先ほど申し上げましたような考え方からいたしますと、事業者の心も分かる、事業の現場というものも分かる方を、これもまた消費者庁の中にかなりの数でいていただきたいというふうに思うわけであります。
 昨日、事前レクのときに、合計二百七十名、今消費者庁が職員がおいでになって、他省庁から二百六名で、消費者庁設立後の採用職員が四名だということを承りました。ほかに地方公共団体、国民生活センター、そういったところからの出向者という方もおいでだということであります。
 そういった方が悪いと言うつもりは毛頭ございませんけれども、やはり公務員の皆さんですとかあるいは弁護士の皆さんというのは基本的にはビジネスというのを御存じない。となりますと、これ民主党の政権のときにも私何回も申し上げていたんですが、アンチビジネスに政策がなってはいけないと思うんです。
 そういった意味で、ビジネスの現場を理解をされる方々の採用というものに消費者庁としても今後一層力を入れていかれるべきではないかと思うんですが、大臣、どうお考えでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君) 私も、企業の現場が分かる方に来ていただいて、現場の現状もそれは教えていただかないといけませんし、逆に企業の方にも消費者目線を身に付けていただくという点でも重要だと思っておりまして、現在、弁護士も十六名いるんですが、民間企業の方も十六名ということで採用をし、その能力を発揮してもらっているところです。
 さらに、消費者庁の職員も企業の方に出かけていくという人事交流もしておりまして、例えばお客様相談室などに行ってそこの現場を体験してくるということもしております。

○金子洋一君 ありがとうございます。そういった形で、人員的にまだまだ厳しいという制約はあると思いますけれども、是非ともその人数を増やすということも併せてお願いをしたいと思います。
 さて、法案の内容に直接入らせていただきますけれども、この法案の目的ということで、相当多数の消費者に生じた財産的被害について、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与するということで規定をされております。
 こういった趣旨に立ち返ってまいりますと、元々望ましい国民経済の在り方というのは、財産被害が生じるようなことになる前に未然に防ぐ、あるいは被害が最小限である時点で行政や司法が事態を把握して早期の救済手段を提供するということになろうと思います。こうした制度から見てまいりますと、この法案が可決、成立をしてこの制度が導入をされたからといって、それで安心をしていてはいけないんだろうと思います。
 これまでの適格消費者団体による差止め請求制度の拡張と先ほどお話があったと思いますけれども、そういったことに併せまして、早期の被害の把握、介入の仕組みの構築、あるいは再犯や類似犯の防止といったこと、そういった幾多の対策が今後必要になってくると思うんです。
 これを、非常に喫緊の課題だと思うんですが、今後こうしたことをやっていかれるおつもりがあるのかどうか、また、あるんでしたらどんなスケジュールでなさっていこうとお考えになっているんでしょうか。大臣にお尋ねします。

○国務大臣(森まさこ君) 消費者被害の防止、大変重要であると思っております。これは様々な施策を組み合わせて対応していく必要があると思っております。
 まず一つには、適格消費者団体による差止め請求でございますけれども、これまで特定商取引法の訪問購入に関する一定の不当な行為及び食品表示上の食品に関する一定の不当な表示について差止め対象を拡大をしてきたところでございます。また、消費者契約法における不当勧誘、不当条項規制の在り方の検討と併せて、今後この制度も検討してまいりたいと思っております。
 次に、その適格消費者団体に対してですけれども、現在、国民生活センター及び消費生活センターからいわゆるPIO―NET情報の提供を行っておりますけれども、このPIO―NETの端末を適格消費者団体に配備をすることも検討を進めております。
 次に、今般の食品表示の問題を受けまして、不適正な表示の是正の徹底、景品表示法の分かりやすいガイドライン等の早期策定のほか、事業者の表示に対する意識改革や表示の監視指導体制の強化などについて、法的措置を含めた実効性のある方策の検討もしております。
 さらに、高齢者等の消費者被害、非常に深刻化しておりますので、その早期発見、防止に向けて、地域のネットワークによる消費者の安全・安心確保のための地域体制の在り方に関する意見交換会、今まである、既存の様々な見守りのグループですね、この意見交換会を開催して、ネットワークで高齢者を守り、消費者被害を防止していこうということについても検討を進めております。
 このような様々な課題の中で、検討が進んだものから早期に実現をしてまいりたいと思っております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 特にこれ経済団体あるいは財界からの御意見に多かったんですけれども、この法律の制度というのは、健全な事業者ではなくて、いわゆる悪質な事業者、消費者をだまそうとする事業者によって引き起こされる消費者被害に対しては、その被害からの回復とか防止といったことが目的になっているにもかかわらず、ちょっとその辺については弱いんではないかという指摘がなされてまいりました。
 特に実態として、最初からだまそうというような悪徳事業者が実際にだますようなことをなさったと。その後に、じゃ、その会社の中に弁済をするだけの、消費者に弁済をするだけのお金を残しておられるのかというと、これは、隠匿と申しますか、隠さずにそういう形で持っているということは少なくとも考えにくいんじゃないかという指摘がありました。私もその点全く同感であります。
 そこで、これは大変難しいことかもしれませんけれども、こういった本制度の仮差押えでも対応困難な悪質業者による財産の隠匿あるいは散逸に対応するために、行政機関による財産保全策について具体的な検討を今後進めていくべきじゃないかと思うんですが、大臣のお考えをお尋ねいたします。

○国務大臣(森まさこ君) 御指摘のとおり、悪質事業者による財産の隠匿、散逸、これを防止するために行政機関が行う財産保全策、これが必要ではないかという御意見がございまして、消費者庁の下に置かれた消費者の財産被害に係る行政手法研究会が報告書を取りまとめております。財産の保全・凍結命令制度、供託命令制度や行政庁による破産手続開始申立て制度などが検討をされ、様々な観点から課題が指摘をされました。私がこの報告書を受け取りました。
 消費者庁では、これらの指摘を踏まえて、関連する法制度の更なる調査研究を行うなどして検討を進めているところでございます。引き続き必要な検討を行い、課題を一つ一つ解決してまいりたいと思います。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 これまで大臣から御説明のありましたような内容について、方向性としてもちろんそういった方向で進んでいただきたいんですが、やはり早くやらないと何ともならないというところがあります。さはさりながら、人員二百七十名でどのくらい早くできるのかというところについて大変心配をするところがございまして、その点はやはり与党の中で何とか働いていただきまして、人員を増やしていただけるようにしていただければと思います。
 続きまして、次の質問に移らせていただきます。
 よく日本版クラスアクションというような呼ばれ方がこの法案に対してなされまして、ただ、そういうふうな日本版クラスアクションというような言い方は望ましくないと、米国のクラスアクションとは全くこれは違うんだというふうに、これは重ねて御指摘をいただいているところだと思います。
 ただ、やはり中小の事業者から見ると、じゃ、どこが違うのということになると、かなり心もとないところがあるんだろうと思います。つまり、本制度の対象となる事案がまだ明確にされていないということがありますので、何が起こるか分からないということに対して、何というんでしょう、警戒心を持つのは、やはり社員を持つ経営者からすると当然のことなんだろうと思っております。
 最近、社会的にも大変問題になっております食品の虚偽表示の問題などについても、私ども民主党では海江田代表をトップに据えまして対策本部を置かせていただいて、様々な方々からヒアリングをさせていただいたりしております。
 こうしたホテルチェーンとか大手の有名なお店でのメニュー表示にかかわる問題などがこれは本制度の対象になるというふうに衆議院での質疑の中で、これは消費者庁からでしょうか、あったと思うんです。こういった景表法にかかわるような部分というのは、非常にまだ疑問点というのはたくさんあると思うんですね。特に、食品表示については消費者庁の方の検討がまだまだ進んでいないというところ、これ前回の質疑でも申し上げて、重ねてで恐縮なんですけれども、そういう部分もやはり不安が残ってくるところじゃないかと思っております。
 これまでの議論を聞いておりますと、この制度では、形式的な要件を満たしていれば特定適格消費者団体による提訴はこれは妨げないんだと、そして審査に当たって、裁判所がどのような手続でどのような判断基準の下でこの案件を取り扱うのかについて、これは必ずしも明確になっていないというふうに私は受け止めております。
 となりますと、この点につきまして、消費者庁として、できるだけ速やかにこうした中小の事業者も分かるような形で、ガイドラインですとかコンメンタールですとか、そういったようなものを作っていただいて公表していただくべきだと思うんですが、この点、大臣、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君) おっしゃるとおり、本制度の対象となる事案として認められるための要件、多様性、共通性、支配性等でございますけれども、この解釈を事業者の皆様にも分かりやすくパブリックコメント等に対する回答としてこれまでも示してきましたけれども、今後、国会での御審議、また委員の今の御提案も踏まえつつ、コンメンタール等において具体的に示してまいりたいというふうに思います。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 やはりこうした表示の問題というのは、特に食品メーカーですと中小企業が多いというところもありますので、しかも、そういう中小企業にとって訴訟を継続するというのは、評判においてもダメージを受けるし、金銭的にもダメージを受ける、人員的にも難しいというところがありますので、是非ともそういったところに対する心配りはよろしくお願いをしたいと思います。
 そして、そういったガイドラインを明確にしていただいて、日本の裁判所でも、アメリカの裁判所で行われているように荒唐無稽なものについてはもう直ちに却下されるんだということが分かるというような形に是非持っていっていただきたいと思います。
 それで、あと、パブリックコメントについて今大臣が言及をなさいました。そのパブリックコメントについてお尋ねをしたいと思うんですが、民主党政権の時代、本法案は私どもの政権の下でも作業が行われておりまして、パブリックコメントが何回も募集をされてまいりました。ところが、なかなかそのパブリックコメントに対する御回答というのが早く出てこないという御不満、これはもう消費者側からも事業者側からもございました。特に最後の公表のときには、閣議決定のタイミングまでパブリックコメントに対する、何というんでしょう、取りまとめ結果が公表されなかったわけであります。これはなぜなんでしょうか。

○大臣政務官(福岡資麿君) 本法案は我が国の民事訴訟制度の大きな例外の手続を創設しようというものでありまして、事業者、消費者にも影響が大きく、また我が国の社会経済制度に適合したものとするため、慎重に検討を行う必要がございました。そのため、今委員御指摘ございましたように、民主党政権下でも四度のパブリックコメントを実施していただいておりますが、事業者を含めた様々な関係者から、パブリックコメントを含め広く御意見を聞いてきたところであります。
 こうしたパブリックコメントでいただいた御意見を踏まえて法律案を策定するとともに、いただいた御意見に対して消費者庁としての考え方を法律案と併せてお示しすることが重要と考え、本年四月十九日の閣議決定の同日に、パブリックコメントの取りまとめとして主な意見の概要と意見に対する考え方を整理した上で、結果を公表したものでございます。

○金子洋一君 やはり、意見を述べたというか投じた方の側からいたしますと、なるべく早くお答えをいただきたいというのが、消費者の方も事業者の方もおっしゃっていますので、今後パブリックコメントをなさるときは是非とも早めにやっていただければと思います。
 そういった形でいろんな意見を入れていただきたいと思うんですが、衆議院の修正案の中で、附則に、第一項に、政府は、特定適格消費者団体がその権限を濫用して事業者の事業活動に不当な影響を及ぼさないようにするための方策について、事業者、消費者等の意見を踏まえて、速やかに検討を加え、必要な措置を講ずることとございます。事業者、消費者からきちんと意見を聞くんだということで、そういったガイドラインのようなものを作っていく中で詳細な制度をつくっていかれるんだろうと思いますけれども、その中で、もちろん消費者の声を聞くことというのはこれは当然のことでありますけれども、また中小企業の声も是非とも入れていただきたいと思うんですが、その辺り具体的にどういう御対応をいただけるんでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君) 例えば特定適格消費者団体の認定、監督の指針、ガイドラインを策定してまいりますが、その際に、有識者により構成される検討会を開催します。そこに事業者の方に入っていただく、特に中小企業関係者に入っていただくことを考えております。また、パブリックコメントを行う等により、そこにおいても事業者の皆様の御意見を、消費者の皆さんの御意見をいただくと同時に、できる限り多くの方の御意見をいただいて反映をさせてまいりたいと思っております。
 委員の御指摘のとおり、日本の企業の大多数を占める中小企業関係者からの御意見、これは重要だと思っておりますので、今のガイドライン検討の場への参画、それから、そのほかにでも中小企業の団体等に対して地域の説明会を行うなど、これはきめ細かく対応をしてまいりたいと思います。
 なお、ガイドラインの策定に当たっては、法施行前までに策定し、施行日までに十分な周知活動を行うことが可能となるような期間を確保するとともに、法施行後もガイドラインに関して引き続き消費者、事業者などからの御意見を伺ってまいりたいと思っております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 では、最後のお尋ねなんですけれども、一段階目で共通義務が認められた事案については、どういった意味でこれがいけないことなのかということを、特に中小事業者を対象に周知をすべきではないかと思うんです。もちろん、消費者に対してもそういったことを知っていただくということは大事だろうと思います。そういった方向での取組はお考えになっていないでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君) 本制度においては、二段階目の手続が開始された場合、団体が一段階目の判決の内容等の事項を公告するものとされております。また、内閣総理大臣も、インターネットの利用等の方法により、速やかに一段階目の確定判決の概要等の事項を公表するものとしています。さらに、消費者庁としては、報道機関への情報提供を積極的に行うなどして、情報が周知されるように努めてまいります。
 これに加えて、本法案が成立すれば速やかに消費者庁として各種の業界団体と連携をいたしまして、当該業界団体に加盟する主に中小企業に対するセミナー等の機会を利用するなどして、本制度の対象として想定される事案について、適用されることが考えられる消費者契約法、特定商取引に関する法律等の制度内容及び裁判例等の説明も併せて膝詰めで行ってまいりたいと考えております。さらに、本法案施行後に一段階目の判決が出された後は、その内容も盛り込んでこのような説明会も行ってまいりたいと思っております。

○金子洋一君 是非、経済産業省辺りと知恵を出し合って取り組んでいただければと思います。また、施行後三年で本法案見直される、三年以内でということでありますので、その際にもまた、今日取り上げましたようなパブリックコメントについての様々な問題を踏まえて、関係者の、消費者、事業者の意見をきちんと取り入れた形でまとめていただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

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