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国会質疑
国会質疑 詳細
2014年3月5日
予算委員会

○金子洋一君 民主党の金子洋一でございます。
 今日は、消費税などと景気の問題について、総理を中心にお尋ねをさせていただきたいと存じます。また、こういった大変大きな問題につきまして、総理が御自身で官僚に丸投げせずに様々な御答弁をなさっていること、心から敬意を表したいと存じます。
 さて、昨日の予算委員会、総理御答弁で、二本目の矢は一本目の矢と相まって効果を発揮するというふうな御趣旨で御発言をなさいました。その真意についてお聞かせをいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これまで、バブル崩壊後、累次の経済対策は一定の景気の下支えの効果はあったというふうに考えておりますが、デフレ脱却を果たすことはできなかったということでありまして、デフレが継続する下では財政出動や成長戦略の効果は限定的であります。
 そのために、まず第一の矢である大胆な金融政策として日本銀行において量的・質的金融緩和をしっかりと推進をしているところでございまして、他方、金融政策のみでは企業が投資や給与を増加させるまでに相当の期間を要する可能性があるわけでありますし、また、景気回復の温かい風をできる限り速やかに全国津々浦々に広げていくという必要があるわけでありまして、このため、第二の矢である財政出動として、内閣発足後速やかに経済対策を策定し、早期の執行に努めたところであります。
 他方、いつまでも財政出動に頼っているわけにはいかないと、また金融緩和の効果を高めていくためにも、第三の矢である成長戦略により民間投資を喚起をし、そして民間主導の持続的な成長戦略につなげていくという考えでございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 そして、今言及なさいました第一の矢、大胆な金融政策ということで、これはもちろん為替介入とは全く異なりますから、意図をしてと申しますか、直接やったことではありませんけれども、その政策の必然的な帰結として円安を生じたと、そして円安により様々な効果が起きたということで理解をしてよろしいでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) これは結果論ということになろうかと存じますが、日本銀行によります金融の緩和というものは、これは金子先生御指摘のように、為替の変動を目的としたものではありません。長年にわたる日本の場合はデフレ不況というものでありますんで、これからの脱却という国内目的というのを達成するために行われた金融の緩和というものが、結果として円安を招いたということで、これは昨年の四月でしたか、G20のコミュニケでもこれはきちんと確認をさせておりますんで、円安じゃないか、独歩安だというような話がありましたんで、それは違うという話できちんと話をしておりますんで、為替相場というのは様々な要因でもなりますのはもう御存じのとおりでございますんで、一般論として申し上げれば、各通貨の供給とか経済動向とか金融政策とかいうのをやったものの副次的な結果として円安になったというように理解をいたしていただければと存じます。

○金子洋一君 ちょっとお尋ねの仕方を変えさせていただきます。
 つまり、大胆な金融政策、金融緩和を行えば、これは論理的に見ると、円安方向に動くだろうなということはこれは想像が容易にできたと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 大胆な金融緩和をやったことは、二〇〇一年、二年、三年、あの頃も大胆な金融緩和をやったんですけれども、結果として余り円安というような形にはなりませんでしたんで、そういった意味ではもっといろんなものが副次的に出てくるんで、日本はこの方向に行くなという感じと、それに合わせて第二の矢の財政出動と両方ないと、なかなか円安ってそう簡単にいくかなという感じはいたしますけれども。
 ちょっと正直申し上げて、これはもうよくお詳しいところなんで、聞いていただく上で、知っておられる方に説明するのは面倒くさいといえば面倒くさいんですけれども、よく御存じのところの上で聞いておられるのを更に説明するのはもう何となくあれなんですけれども。とにかく、円安というものを目的とせず、金融の緩和というものは、正直申し上げて、リーマン・ショックのときに我々は通貨戦争はしないという各国との約束をしたにもかかわらず、きちんと守ったのは日本だけ。それだけは、百八円でずっとスタートしてあったものが七十何円まで円高というのにじっと日本は耐えましたから、ちゃんと我々は、ちゃんときちんとその約束を守ったと。みんなあのとき約束したんだけど、金融の緩和ということを使って結果として通貨安にしたんだけれど、うちはそんなこそくなことはしなかったと。したがって、今になって、今言われる覚えはないということであの話は収めたというのが経緯です。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 それでは、ちょっと黒田総裁、大変恐縮ですが、御通告申し上げていないんですが、マネタリーベースを拡大をするというような大胆な金融緩和をした場合に、一般論としてですよ、その国の通貨が自国通貨安になるというふうに予想をするのはこれは極めて当然なことじゃないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 委員御指摘のとおり、言わば、他の事情にして一定であれば、金融緩和した国の為替が下落する傾向があることは事実でございますが、それも常にそうだというわけでもありませんし、他の事情は一定でなくて常に動いておりますので、そこは一概に割り切って言えるわけではないと思います。
 それから、麻生副総理から答弁がありましたとおり、私どもの金融政策というのは、あくまでも国内の経済目的、つまりデフレから脱却し、二%程度の物価安定目標というのをできるだけ早期に実現するということでやっておるわけでございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。大胆な金融緩和を行う、金融政策を取ることによって金融緩和が起こると、そして、その場合には円安が起こることを想定をしておいても何も罰は当たらないというぐらいに申し上げてもお叱りは受けないと思うんですが、その上でお尋ねをさせていただきます。
 実は、昨年の二月の六日に参議院の本会議で、円安の弊害を防ぐ方策ということでいろいろなことをお尋ねをさせていただきました。つまり、大胆な金融緩和をすれば円安が起こるであろうこと、そして、足下では既に起きていたということからすれば円安対策を行うべきだと申し上げまして、そして、私はそのときに、輸入小麦ですとか、あるいはガソリンとか軽油のいわゆる旧暫定税率、あるいは電力料金ですとか自動車関係の諸税の見直し、そういったものをやるべきだというふうに申し上げました。そのときにはやりませんというお答えだったんですが、今でもやらないおつもりでしょうか。それとも、このうちの幾つかはやってみようかなという気になっておられるものがあるでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 昨年のたしかこれは代表質問だったと記憶いたしますけれども、パンや麺類の原料となる輸入小麦の価格を引き下げるため公費を投入すべきではないかとの御提案をいただいたんだと思いますが、これ輸入小麦の価格というものは、これは為替のみならず国際市場における相場の関係もございますので、この為替による、まあ円安による引上げというもので、これだけが関係したかといえば、国際相場が下がったりしておりますので、必ずしも円安分だけが要因になったのではないというんで、そういった意味では公費投入というような特別な対策を講ずる必要があるとは考えてはおりません。
 ガソリンにつきましては、揮発油税、軽油引取税の旧暫定税率等々を廃止すべきとの御提案もあのときいただいたんだと思いますが、これにつきましても、これは民主党政権下において、これは、揮発油税等の税率についてはこれは検討がなされております。しかし、地球温暖化対策の観点とか厳しい財政事情を踏まえてこれは維持されたものだと承知をしておりますが、いずれにいたしましても、為替が円安方向に推移していることに伴って、軽油とかガソリンとか、A重油、C重油、皆そこそこ上がっておるんですけれども、現在もこの地球温暖化対策等々、財政状況厳しいのは変わりありませんし、これ額としては極めて大きな、二十五年度の税収だけで二兆八千億ぐらいの大きなものでもありますので、これなかなか簡単にということにはできにくいというのが正直なところであります。
 LNGにつきましても同じようなところではありますのですが、今後とも、これは北米からのシェールガス等々が入ってまいりますので、いろいろな意味でガスも一時期ばあんと上がっておりますけれども、これ一定国からではなく、アメリカの、ロシアからも、中近東からもということになりますと、これ買手市場になり得る可能性というのがありますので、そういった意味では低廉な、安いものの調達というのに今後とも取り組んでいかねばならぬと思っております。
 車体課税についても御質問があったんですけれども、これは、このときのあれは、自動車重量税、自動車取得税引き下げるべきだという御意見をあのときいただいておりますが、これはもう税制抜本改革法第七条に基づいて、これは安定的な財源を確保した上で行うということとして、自動車取得税の税率につきましてはこれは五から三に引き下げたんだと思いますが、自動車取得税及び自動車重量税のエコカー減税を拡充するとかいうのをさせていただいておりますけれども、ユーザーの軽減負担につながるという施策も一部盛り込ませていただいたことは事実であろうと存じますけれども、いずれにしても、いろいろ漁業関係の方々の、あれはA重油、C重油か、A重油の料金等々につきましては補助を出したりなんかした、細かいのは幾つかございますけど、そういうのをさせていただいたところではございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 金額的に大きいので景気対策としてやっていただけないかという趣旨で申し上げたんですが、残念でございます。
 総理に再びお尋ねを申し上げます。
 二〇〇〇年と二〇〇六年の日銀の早過ぎた金融引締めが誤りであったということで、これは昨年の三月二十七日の財政金融委員会での私の質問に対してお答えをいただきました。そして、そういったことがあるからこそ物価安定目標が必要だと御発言になったと思いますが、その御認識に今も変わりはありませんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、私どもが進めております政策につきましては、野党時代、エコノミストとしての金子委員にもいろいろと御指導をいただいたわけでございまして、大体委員のおっしゃった方向に向けて今政策を進めているところでございますが、大胆な金融政策が導入される前の日銀の金融政策は、結果として長引くデフレから脱却できなかったということは確かであります。
 二〇〇〇年、ゼロ金利の解除の判断についても、二〇〇六年、量的緩和の解除、ゼロ金利の解除の判断についてもやはり早かったというふうに考えているわけでございますし、当時、私はそれぞれ官房副長官あるいは官房長官の立場でございましたが、政府としては反対をしていたところであります。
 こうした点も踏まえ、昨年一月に政府、日本銀行の間の緊密な意思疎通を行った上で共同声明を取りまとめ、日本銀行が自ら二%の物価安定目標を定め、その早期実現を目指すこととしたものであります。その上で、日本銀行は昨年四月に量的・質的金融緩和を導入をいたしまして、二%の物価安定目標を二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現することを目指すとともに、これを安定的に継続するために必要な時点まで金融緩和を継続することとしております。
 まさに、そういう意味におきましては今までとは次元の違う政策であると、このように思います。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 今の総理の、二〇〇〇年、二〇〇六年の判断、日銀の判断に対する御批判というのを、黒田総裁、そちらでお聞きになっていてどういうふうにお感じになったでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 二〇〇〇年のゼロ金利政策の解除及び二〇〇六年の量的緩和政策解除のタイミングにつきましては、その時々の状況を踏まえて議論を尽くした結果だとは思いますし、その時点においては一定の合理性はあったかもしれませんが、結果的に見て適切な対応ではなかったというふうに考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 大体これまでお尋ねをしましたことは、金融緩和につきましては、総じて言えば、現在の与党の政策について私はこれはいい方向にあるのではないかなということでありまして、言わばこれからお尋ねをするところが大変、今後日本の経済を考える上で本当にいいのかという趣旨でお尋ねをさせていただきたいと存じます。
 昨年の十月の一日に消費税引上げの本格的な決定がなされました。それ以前、総理官邸に大勢の学者さん、エコノミストさんがお集まりになりまして、様々なヒアリングが開かれておりました。そこでどういう議論が行われたのか。特に、駆け込み需要、あるいは消費増税の逆進性の問題、さらに財政再建によるプライマリーバランスの問題といったようなことについてはどういう議論があったのか、御紹介をいただきたいと思います。

○国務大臣(甘利明君) 六十名の有識者、専門家からヒアリングを行いまして、有意義な御意見をいただいたわけでございます。
 具体的には、今年の四月の五パーから八パーへの消費税引上げについては七割超が適切又はやむを得ないという意見を述べられていました。ただ、その場合にも様々な対策を講じる必要があるとの意見が多く出されました。他方、景気やデフレ脱却に与える影響を懸念をして、消費税率の引上げ時期であるとか引上げ幅を変更すべきだという意見、あるいは消費税率引上げ自体に反対という意見もありました。
 そこで、具体的な御質問の三点、まず駆け込み需要に関して、駆け込み需要とその反動減の緩和については、景気の下振れリスクへの対応や経済の自律的成長力を高める政策を求める意見、それから逆進性につきましては、低所得者対策の必要性があるとの意見、それから財政健全化については、財政の信認維持のために中長期の財政再建へのコミットが重要との意見がありました。
 本年四月の消費税引上げにつきましては、こうした集中点検会合であるとか経済財政諮問会議等における議論も踏まえまして、税制抜本改革法附則十八条第三項に基づきまして経済状況等を総合的に勘案した上で、さらに総理が最終判断をされたというふうに認識しております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 例えば、内閣官房参与の浜田宏一先生ですとか本田教授とか、そういった皆さんは現在のような形での引上げには賛成はなさっていなかったと思うんですが、そうしたことも含めて、これ総理にお尋ねをしますが、どういう思いでここで引上げを決定をなさったんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま甘利大臣から御紹介をさせていただいたような議論が行われたわけでございます。
 私の基本的な考え方としては、まず伸びていく社会保障費に対応していく必要があると。そのためには消費税を引き上げなければならないということにおいて、我々野党時代に、与党の民主党、そして公明党と三党合意したわけでございます。そして同時に、国の信認はこれはしっかりと維持をしていく必要があるということでございます。
 とともに、やっとこのデフレから脱却できるという状況になりつつある中において、この勢いを失ってしまってはこれは元も子もなくなるわけでございまして、そこで消費税を引き上げることが時期尚早かどうか、あるいは、それに対応する経済対策によって反動減を言わば相当程度緩和し、そしてまた、まあ四月、五月、六月はどうしてもこれは反動減等がある程度はあるわけでありますが、七月からは、七月、八月、九月にまた元の成長軌道に戻ることができるかどうか、これがまさに判断のポイントであったわけでございますが、そうした御議論の上において、五・五兆円の経済対策と一兆円の税制対策をしっかりと打っていけば、今申し上げました懸念をある程度払拭していくこともできると、そのような判断の下に消費税を引き上げていくという判断をしたところでございます。ただ、同時にやはり四月以降、景気の状況を慎重に注視していきたいと、このように思っております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 具体的に、五から八%に引き上げた場合に、引き上げたことによる効果、例えば、今年度でしたら駆け込み需要があってプラスになると、来年度については、まさに今おっしゃったように反動減があるといったようなことを足し合わせた効果で、それぞれの年度、今年度、来年度、どのくらいになるかと。経済対策の分は除いて純粋なその悪影響の分だけですけれども、どのくらいになるのかということと、あと、前回の引上げのときに実際のデータとしてはそれぞれどうだったのかということについて、これは甘利大臣でしょうか、お願いします。

○国務大臣(甘利明君) 消費税を引き上げますと、まず駆け込み需要があります。これはプラスに働きます。しかし、その後、反動減があります。これはマイナスに働きます。
 そこで、駆け込み需要を算定しますと、二十五年度の実質GDP成長率は〇・四%ポイント程度押し上げられるというふうに見込まれます。そして、反動減でありますけれども、二十六年度の反動減は駆け込み需要と同じくらいの規模、つまりやはり〇・四%ポイント、これが見込まれるわけであります。これ一切対策をしないで、そのままでいったとしますとです。
 それから、前回というお話でありますが、一九九七年の消費税率の引上げ、三パーから五パーに上げたときでありますが、これが経済に及ぼした影響についてでありますが、この九七年当時の経済動向を振り返りますと、まず消費税率引上げによります駆け込み需要と反動減が大きく現れました。その後に、しかしプラス成長に復帰をしたのでありますけれども、同年夏以降のアジア通貨危機や金融システム不安の影響等から、一旦回復したのでありますけれども、再びマイナス成長へと転じたというふうに理解をいたしております。

○金子洋一君 今、駆け込み需要で今年度中に〇・四%ポイント上がると、その代わり来年についてはその駆け込み需要分だけ〇・四%ポイント下がるというふうにおっしゃったんですが、それ以外の効果というのは消費増税にはないんですか。

○国務大臣(甘利明君) これは、例えば家計に与える影響がどうこうとか、そういうことですか。

○金子洋一君 GDPから見てですね。

○国務大臣(甘利明君) 家計に与える影響ですと、これ昨年十月に消費税率引上げに係る意見について審議を行った諮問会議において、内閣から審議の参考のための提出した資料によりますと、既定の主な制度変更に加えて、現行法どおりに二〇一四年四月に五%から八%に消費税引上げを実施した場合に、家計の支払増・受取減でいいますと七兆円半ば程度と見込んでいると、それから、制度変更等に伴う家計の受取増・支払減については四兆円半ば程度と見込んでいると。つまり、出る方が七・五兆、入る方が四・五兆ということで、その差がマイナス三兆あるわけであります。
 ただし、景気回復が進展すれば雇用者報酬等が堅調に増加すると、そういうことも見込まれるということでありまして、その幅も景気回復によって吸収されていくというふうな見通しを出しております。

○金子洋一君 となりますと、最初に消費税の五から八への引上げの分の純粋な効果を教えてくださいと申し上げましたので、今の御説明ですと、いや、純粋な効果に、そこに、政府のおっしゃることでは、家計にベースアップなりの増収が、給与上昇があるから、それを踏まえますと結局駆け込み需要の増減の分しかありませんよとお答えになったんですけれども、その消費税単体の部分というのは計算をされていないんですか。

○国務大臣(甘利明君) 消費税の引上げによる物価の上昇であるとか実質賃金の上昇への影響は一時的なものであって、将来にわたってこれが継続されるものではないということから、消費等への影響は限定的になるというふうに見込まれております。
 消費税引上げというのはワンショットで行われるわけでありますから、それに経済成長効果、つまり、消費税引上げ、それから物価安定目標による消費者物価の上昇を超える賃金上昇を目指して好循環を今図っているところでありますが、物価安定目標は毎年継続的に二%ということでいくわけでありますが、消費税による引上げはワンショットでありますから、それが先々に引き続いてその分乗っかっていくということではないということであります。

○金子洋一君 一時的なものでワンショットだから影響が出ない、先々引っ張らないという御表現を取られました。
 賃金上昇を目指しているからそこが埋め合わされるんだよという御趣旨なのかなと思いますが、これもお尋ねをしたいんですが、では、その消費税増税分の物価上昇分の効果を計算したときに、八%に引き上げた場合に、そして、あと厚生年金の保険料の引上げも来年ありますから、それを足して勤労者世帯の支出にどのくらい影響をもたらすのか。
 例えば、民間のシンクタンクの計算ですと、三百万円から四百万円未満の世帯ですと、合計で消費増税分と厚生年金保険料の引上げ分で七・七万円負担が増える、これは所得の二・二%に当たるというようなシンクタンクの計算があります。そういった計算を政府ではなさっているんでしょうか、なさっていないんでしょうか。所得階層別で見るとどうなるんでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 全体での出入りは計算していますけれども、所得階層別という細かくブレークダウンした計算はやっておりません。

○金子洋一君 夏のエコノミストや学者さんを集めた会合の中で、当然、先ほどもおっしゃったように、消費税の逆進性の問題について取り上げられたはずですから、それからもう随分と月がたっているわけです。
 消費税を上げると、五%上げたら十二・五兆円です。税収が四十五兆円ぐらいしかないところで十二・五兆円引き上げるというのがどれだけ大きなことであるのか。そして、それだけ大きなことをやれば国民の経済にどういう影響があるのか。そして、一番弱いところに大きな影響が出るのではないかと考えるのは、これは理の当然だと思います。
 それなのに、これ、御同意いただけると思うんですが、それを御同意いただけるんでしたら、なぜ、そういったその逆進性の問題、低所得者あるいは高年齢の年金生活者の生活に対してどのくらいの影響があるのかということを御検討になっていないんでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 対策はかなりきめ細かくやっているつもりであります。臨時の給付金であるとか、あるいは社会保険料を低所得者対策のために引き下げる等々、具体的な手当てはいたしております。ただ、先ほども申し上げましたように、詳細に所得階層別に、このくらいの所得だとこういう具体的な出入りの影響があるという詳細な試算はいたしておりません。
 いずれにいたしましても、経済の好循環には賃金の引上げが大事でありまして、一年でという具合にはなかなかいきませんけれども、複数年のうちには、物価上昇分、消費税上昇を加えた物価上昇分をオーバーライドしていくと、給与が、そういうための政策を打っているというところであります。

○金子洋一君 賃金上昇を目指しておられるということですけれども、複数年でそれを、消費税分追い付くんだとおっしゃっているんですが、今申し上げたように、二・二%とか二%台、あるいは所得の多い方でも一%台あるわけです。それを、その分だけ給与を引き上げるということがそんな簡単にできるんですか。
 しかも、今の御説明ですと、できるということを前提にして、来年の成長、実質経済成長の計算をなさっているというふうにしか思えないんですけど。

○国務大臣(甘利明君) これは各種経済対策をまず打っております。先ほど、駆け込み需要と反動減がGDP〇・四、ですから、はじいていくと二兆円弱ぐらいでしょうか、これは民間の調査機関もそうはじいていたわけであります。
 ただ、そうであっても、駆け込み需要はともかくとして、反動減をできるだけ抑えていこうということで五・五兆円の経済対策を行ったわけであります。これは、反動減だけであるならば、五・五兆とか、あるいは一兆円の減税対策というのは必要ないという理屈になるんだと思います。ただ、我々は、反動減を埋めるだけではなくて、成長軌道にしっかりと乗せていくということも含めて相当規模の経済対策を打ったわけであります。
 その心は、経済成長をすること、企業が収益を改善することが賃金の改善に向かうと、そして、賃金の改善が更に消費行動につながって、それが生産行動につながっていくという好循環をつくっていくと、そのことが大事だということを各方面に説明してきたわけでありますし、そのために政労使の会議を持ったわけであります。
 あわせて、消費税の引上げというのはそっくり社会保障の安定と充実に向かわせると。ということは、これはこれからも政府がしっかり説明をしていく必要があると思いますけれども、将来にわたる安心感をそれを行わないよりもより確保をしていくと、そのことを通じて消費が落ちていかないようにしていくということも併せて取り組んでいるわけであります。
 それらを通じて、一刻も早く消費者物価の上昇を超えて賃金が上昇していくという環境を整備したいと思っております。

○金子洋一君 経済対策を打っている、あるいは将来への安心感が増すから消費が増えるとおっしゃっていますが、ではその件について関連してお尋ねをしますけれども、中長期の経済財政に関する試算の中で、一定の歳出削減努力、更なる収支改善努力という言葉が出ております。そうした歳出削減努力や収支改善努力は、これは景気にはどういう影響を及ぼすんでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 中長期試算でそう表現していますのは、我々が目指しています成長軌道、十年平均で名目三パー、実質二パーというのは経済再生ケースであります。そして、御指摘の表現がありますのは、より緩やかな成長路線となる参考ケースにおいては半減目標が達成できないと、だから、より更なる改善努力が必要だというふうに表現しているわけであります。
 もちろん、更なる改善努力というのは支出の抑制であり、そしてさらに成長への一層の政策努力であるということでありますけれども、私どもはあくまでも達成できないケースを想定しているのではなくて、この経済再生ケース、政策目標に掲げています、十年間三パー、二パーを実現していくと、そういうふうに取り組んでいきますから、その場合には今の一定の削減努力、更なる改善努力が必要という参考ケースとは違う道をたどるというふうに承知いたしております。

○金子洋一君 お尋ねをしていることをちょっと取り違えておられると思いますので、表現を変えます。
 つまり、この二つの努力、歳出削減努力とか収支改善努力というのは、要するにプライマリーバランスの赤字を減らすということですよね。じゃ、プライマリーバランスの赤字を減らすということは景気に対してプラスの影響をもたらすんですか、マイナスの影響をもたらすんですか。

○国務大臣(甘利明君) 直接的に支出を減らすということは、当然マイナスになるはずです。しかし、これはなぜやるかといえば、財政規律の確立です。ということは何かというと、国債の信頼を高めるということです。ということは、むやみに国債の金利が上がらないということになります。上がらないということは、経済財政上もプラスに働くということです。
 ですから、それ自身がどうかということと、それが与える中長期の影響ということは同一ではないと思います。

○金子洋一君 では、一般に、今お尋ねをした、むしろ大臣が御説明をなさった中で、経済対策を打っていると、だから来年度の経済成長は大丈夫だとおっしゃったんですけれども、二十五年度と来年度、二十六年度を比較して、これプライマリーバランスの赤字の削減度合いというのはどちらがより大きいんですか。

○国務大臣(甘利明君) この二十六年度予算においては、二十五年度からの改善を五・二兆円と踏んでいます。当初の中期財政計画上の目標というのは四兆円ずつ改善をしていこうということです。この四兆、四兆の改善の最初の年について五・二兆と目標よりも高く、目標よりも大きな改善ができたというところであります。

○金子洋一君 ということは、本来四兆円やるべきところを五・二兆円やったと。五・二兆円歳出を削減をした、有効需要が五・二兆円減った、これは経済対策を打った後の数字ですよね。確認です。

○国務大臣(甘利明君) もろもろの対策を経てこういう見通しができたということだと思います。

○金子洋一君 正直申し上げて、私はその計算が全く分かりません。
 つまり、政府の公需が五・二兆円減りましたと、まあ公需じゃないかもしれません、支出が五・二兆円減りましたと。でも、経済は、そして五・二兆円減ったと。そして消費増税も行いました。十兆円程度増税、あっ、済みません、五兆円程度の税収増がありますと言っているときに実質経済成長率が一・四%になりますというのは、いかに見ても甘いんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

○国務大臣(甘利明君) これは、済みません、これは当初予算ベースです。ちょっとこんがらがっちゃうんですけれども、財政健全化というのはSNAでやっていますけれども、SNAというのは、国、地方を連結の決算ベースです。しかしそれは、それの具体的な目標は当初予算ベースで改善をしていくのが一番見えやすい、国の経済規模の一番枢要になっているのが当初予算ですから、当初予算ベースでその改善をしていくということです。ですから、補正での経済対策、SNAでいう部分について、補正の部分についてはそれに入っていないということになります。

○金子洋一君 となりますと、五・二兆円改善をしたというのは実際には違うと、補正予算を考慮に入れると五・二兆円も改善してませんということですね。

○国務大臣(甘利明君) SNAで改善をさせていく、その改善率というのは二〇一〇年を基軸にしています。二〇一〇年はマイナスの六・六だったと記憶しています。それを二〇一五年には、半分ですから本当は三・三ですが、三・二になっているはずです。
 当初予算ベースで改善目標を測っていきますから、当初予算ベースでは初年度、次年度とも四兆円の改善を目指すということになっています。その当初予算ベースの四兆円が五・二兆円改善したということです。

○金子洋一君 ということは、補正予算を考慮に入れると、プライマリーバランスの赤字の改善というのは結局幾らになるんですか。

○国務大臣(甘利明君) 二〇一三年から二〇一四年に向けてマイナス六・七からマイナス五・二になっております。これは、国、地方でいうと、マイナスの三十二・六がマイナスの二十六兆円に改善したということになります。

○金子洋一君 ということは、その五・二兆円とおっしゃっていたものに該当する数字は幾つですか。

○委員長(山崎力君) 甘利担当大臣。(発言する者あり)

○国務大臣(甘利明君) いや、こういう詳細な質問が来るというふうに質問通告は受けていません。
 マイナス三十二・六からマイナス二十六ですから、引き算すれば出てくる数字です。ですから六・六です、国、地方合わせて。

○金子洋一君 ということは、今後、その五・二兆円という数字は姿を消して、政府の御発表になるときにはそういう新しい数字でおっしゃっていただけるということですね。

○国務大臣(甘利明君) SNAベースとそれから一般会計ベースと、これでお示しをしていきます。

○金子洋一君 全く横道に入ってしまってお尋ねをしたいところに全く届きませんでしたので、この続きにつきましてはまたあしたやらせていただきまして、関連の質疑を同僚の石橋通宏議員からさせていただきたいと存じます。
 今日はこれで終わらせていただきます。

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