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国会質疑
国会質疑 詳細
2014年3月6日
予算委員会

○金子洋一君 民主党の金子洋一でございます。昨日に引き続きまして、消費増税などと景気の問題についてお尋ねをさせていただきます。
 昨日は消費増税の悪影響についてお尋ねをさせていただきまして、駆け込み需要のところにプラス四%、しかし四月一日以降、反動減がマイナス〇・四%分あると承りまして、それ以上はないのかというところでちょっと議論がごちゃごちゃっとしてしまいましたので、そこについて再びお尋ねをさせていただきたいと思います。
 家計への影響ということで、所得階層別の分析はなさっていない、あるいはジニ係数のようなものは計算なさっていないということでありました。それはなぜなさっていないのか、どうしてしなくてよいとお考えなのかについて、甘利大臣にお尋ねをいたします。

○国務大臣(甘利明君) 影響が強く出るであろう低所得者対策全般は行っております。そして、細かい分析をして、それに向けて細かく対応するというよりも、恐らく今までの消費税引上げのときに、所得階層別に細かく幾らから幾らまでの人にはこういう対策をする、幾らから幾らまではするというようなことは事実上やっていないし、物理的にできないと思うんですね。
 ですから、消費税引上げによって影響を受ける、いわゆる所得に対して消費税引上げの影響が濃く出るであろうという所得層の方々には対応をすると。これは給付金で対応する、あるいは住宅対策で対応する等々をやっておりますから、あえてそうしていないわけであります。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 昨日の御答弁で、消費税増税による支払増が家計において七兆円、受取増が四兆円、差引きマイナス三兆円だというふうに大臣がおっしゃいました。マイナス三兆円です。
 では、大臣、関連してお尋ねをいたしますけれども、低所得者対策は行っているとおっしゃいました。その低所得者対策の総額の金額は幾らで、三兆円と比較してそれは大きいとお考えなんでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 詳細な数字について御入り用でしたら、事前にそういう詳細な資料を提出するようにという御指示をいただければいかようにも対応いたします。
 基本的に……(発言する者あり)今答弁していますから。いいですか。基本的に、好循環を実現をして所得を引き上げていくというのが基本的な政策であります。それで、複数年掛かるかもしれないけれども、物価の上昇をオーバーライドするような所得の向上を実現しようというのが政府の考え方であります。

○金子洋一君 となりますと、今年の分は足りないかもしれませんけれども、今年の分は目をつぶってくれという御趣旨でしょうか。

○国務大臣(甘利明君) そういう意味で申し上げているのではありませんが、詳細な数字については、例えば、簡素な給付措置を三千億とか、住宅取得に係る給付措置を一千億、ローン減税等の拡充対策を一千億行っております。
 基本的には、消費税を引き上げて、それをきれいに階層ごとに分析をして対応するというのは過去にもやっていないはずなんですよ、所得層別にですね、どのくらい細かく分けるかは別ですよ。基本的には、安倍政権の考え方は、低所得者層には対応すると。そして、保険料の軽減措置も考えるということをやっているわけですね。その上で、全体的には、とにかく消費税を引き上げたときには、それをオーバーライドするような所得環境を整えていくというのが政策の本道だと思います。そういう本道に従って対応させていただいているということです。

○金子洋一君 まず、物理的にできないとおっしゃいましたけど、総務省の家計調査で所得階層別の世帯のデータなんというのは見りゃ載っているわけですよね。(発言する者あり)物理的にできないとおっしゃいましたので、私はそうお尋ねをしています。
 もう一点、対応ですけれども、ローンが一千億円あるとおっしゃいました。しかし、その前におっしゃったのは三千億と一千億ですね。合計しても四千億にすぎない。大臣がまさに昨日おっしゃったように、マイナス三兆円です。残り二兆六千億。二兆六千億といえば五百兆のGDPから見て〇・五%ですね。〇・五%個人消費が落ちるということです。それを見逃すとおっしゃるわけですね。

○国務大臣(甘利明君) 経企庁にいらっしゃったんですから予算書を見ればお分かりいただけると思いますが、五・五兆円の補正予算を組んでおります。それは、需要の落ち込み分、二兆円弱ぐらいと言われています、それを埋め戻すいろいろ対策を行っています。需要を埋め戻すというのは、公共事業を始めとして埋め戻すわけです。それに加えて、成長軌道にきちっと乗せていくための予算を組んでいるわけです。そのために補正を組んだんですね。経済全体の落ち込みを補正予算で需要不足をカバーをして成長を本来軌道に乗せていくと、そういう政策を打っておりますし、税制も組んでおります。

○金子洋一君 おっしゃることがよく分かりません。
 二・六兆円の需要不足があるわけです。二・六兆円の需要不足をそのままにしておいて、じゃ、どうするのかと。個人消費どうやって伸ばすのかと申し上げると、補正予算を打ちましたとおっしゃるんですが、それではお尋ねをいたしますけど、その今回の補正予算を考慮に入れた場合、二十五年度と比較してこの四月一日以降の二十六年度、これ、プライマリーバランスの赤字が幾ら増えたり減ったりしているんでしょうか。そして、その増えたり減ったりは我が国の来年度の経済成長にどういう影響を与えるんでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 二十五から二十六年度にかけてのPBの改善幅をおっしゃっているんですか。

○金子洋一君 がどういう影響があるのかです。

○国務大臣(甘利明君) PBの改善幅は、一般会計ベースでいいますと、かねてから財務大臣が御説明させていただいていますように五・二兆円です。SNAベースでいうと六・六兆改善をするということであります。(発言する者あり)

○委員長(山崎力君) 甘利大臣。

○国務大臣(甘利明君) PBが改善をするということは、恐らく民主党さんからも強く言われていることですよ。PB……(発言する者あり)いやいや、PBを改善するという、それは当然のことですけれども、PB改善を放っておいたら日本の財政の……(発言する者あり)いやいや、今答えていますよ。質問がなっていないんじゃないの。
 PB改善をするということは、国の財政の継続性の信頼性ですよ、国債の信頼性ですよ、社会保障の継続性ですよ。そのために財政の健全化をやっているのであります。財政の健全化というのは、PBの赤を改善していくことじゃないですか。それは、だって国民生活にいろんな影響があるでしょう。国債の金利が、信用が失われたら、高くなってくれば財政の利払い費も増えていきますよ。財政の継続性もなくなりますよ。国民経済に影響が出ます。社会保障の継続性がなくなれば、これは雇用者にとってだって不安しかないじゃないですか。いろんな影響が出ます。(発言する者あり)

○国務大臣(甘利明君) 定量的には計算しておりません。できないと思いますよ、定量的に。定性的にしか言いようがないでしょう。
 定性的に言えば、要するにPBの改善、これが例えば歳出の削減だけでやったとします。そうしたら、公需の出動が減ります。それは当然景気にはマイナスになります。ただし、ただしですよ、財政再建にそれが向かうということを市場が確認したら、それは日本国債の信頼性が上がります。ということは、金利に跳ね返る率が少なくなります。ということは、設備投資は伸びると思います。
 そして、今回の場合は、委員は、五・二兆の改善、そんなに減らすんですか、そんなに減らすんですかと、その意味が私はよく分かりませんでした、昨日も。予算書を見ていただければ分かりますけれども、これは歳出削減じゃなくて税収増で改善しているんですよ。七・四兆円のうちの四・五兆円は消費税です。それ以外は税収増が主です。これは成長の果実です。それによって改善しているわけですから、景気にはマイナスに働いていないんですよ。

○金子洋一君 つまり、プライマリーバランスの赤字の増減、これは、赤字は減るけれどもそれは景気にマイナスの影響は与えないという御趣旨でしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 歳出が削減されていないのでなされたならば、それはないと思います。
 歳出を削減してやった場合には両面あります。公需が減るという意味では市場にマイナスに働きます。しかし、それが、目指すところが財政再建につながっていくと、政府の意思と具体的方策であれば財政の信認につながると思います。それは金利の引上げ要因を抑える役目があります。それは低金利であれば設備投資も促されると思いますし、そして社会保障をしっかり継続性を確保していく、赤字国債でいつまでも社会保障を担うわけにはいきませんから。そういうことであれば消費者に対しても将来の信頼が保たれて、消費にいい影響があると思います。

○金子洋一君 今大臣がおっしゃったのは、財政再建をすれば将来の社会保障の安定性などが増すので、それで安心して消費が伸びるという非ケインズ効果ですね。あともう一つは、国債の利回り上昇を抑えることができると、だからプラスになるんだというふうにおっしゃいましたけれども。
 昨日の答弁でも非ケインズ効果については大臣言及をなさっていましたが、じゃ、その非ケインズ効果はかつてどの国で現出をしましたか。そして、我が国ではそれと同じことが起きるとお考えなんでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) この非ケインズ効果は、御党の議員から、衆議院で非ケインズ効果があるじゃないかという御指摘をいただきました、私に御党から。
 非ケインズ効果というのは、なくはなかったです、かつて小国であります。例えば、デンマークとかアイルランドでは一九八〇年代にあります。しかし、これが定説ではないというのが定説だと思います。起こる場合もあるけれども、必ずしもそうではないということであります。

○金子洋一君 まさに私は大臣の今の御答弁、おっしゃるとおりだと思います。
 ですから、非ケインズ効果というのは、うちの党の衆議院議員が何を申し上げたかについて、私のコントロール下にないのでこれは申し訳ございませんとしか言いようがないんですが、それは恐らくないんだろうと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。閣僚にもやじっていただけるということでありまして、ありがとうございます。私と岡田さんでは考え方が全く違いますので、お互いにコントロール下にはございませんので、そこの点は御容赦をいただきたいと思います。
 戻ります。済みません、失礼しました。
 非ケインズ効果については、ないというおっしゃり方は私は正しいと思います。なら、なぜゆえに昨日今日と非ケインズ効果について言及をなさったのか、ちょっとそれを教えていただければと思います。

○委員長(山崎力君) この答弁で、お昼でございますから休憩に入るということで、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(甘利明君) 私は、非ケインズ効果をあえて強調したつもりはありません。
 委員が五・二兆円も歳出を削減するんですかと質問があったから私が混乱したのであります。一般会計当初予算は歳出削減で達成しているのではないと、委員のおっしゃっている意味がどういう意味だったのかと。SNAベースで歳出削減しているのかという意味なのか、地方がどのくらい歳出削減しているのか、私の知識の中にありませんでしたから、だから混乱したわけであります。
 非ケインズ効果については、あるという学説と、いや、そうじゃないという学説があるということでありまして、私が確定的にこれはこうですと言うだけの専門家としての知識、経験はございません。学説として二つあるということであります。ですから、必ず非ケインズ効果で歳出削減をすればむしろ経済が成長するんだということは、私は確定的には申し上げられません。
 現に、ギリシャでは、歳出削減をしたら税収が減って泥沼に入ったわけです。あの国に成長戦略という発想がなかった、なかったと言うと失礼でありますけれども、弱かったということがマイナススパイラルに陥ったんだというふうに思います。

○委員長(山崎力君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十六年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。金子洋一君。

○金子洋一君 午前中は大変ありがとうございました。
 休みの時間に、尊敬する大先輩から、もう少し冷静になってやれというお叱りをいただきましたので、大変恐縮でございます。
 午前中私が申し上げましたのは、まさに甘利大臣が最後におっしゃいました、七兆円も税収増があるという状況、これでどこが悪いんですかとおっしゃった、まさに私の申し上げたいことはそこでありまして、そういう税収増がきちんと出るような状態に、経済に持っていくのが大変重要であって、そのためには余りにも急激な財政緊縮をやってはまずいのではないかということでお尋ねをさせていただいておるわけであります。そして、午前中には、いわゆる非ケインズ効果については基本的に見解は一致したのではないかなと思っております。
 続きましては、国債の金利についてのお尋ねをさせていただきたいと思います。
 午前中にも、そして昨日にも、国債の利回りが、金利が上がってしまうと大変経済に悪い影響があるということを御発言なさっておられました。
 今日は日銀の岩田副総裁にもおいでをいただいておりますけれども、まず、せっかくでございますので岩田副総裁にお尋ねをさせていただきますが、今の日銀の取っている異次元の金融緩和の中で、一体どれほど、毎年どれほど長期国債その他の資産をそれぞれ買い増しをしていくことになるのかについて簡単にお教えいただければと思います。

○参考人(岩田規久男君) 現在、ネットベースで長期国債を五十兆円を中心に買っていくということで、差し当たりそれを一四年度まで見通しを出しているという段階です。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 そうした日銀による異次元緩和という状況の下で、一体どういう条件があると国債の利回りが高くなってしまうというふうに甘利大臣はお考えでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 今のところは非常にうまくいっていると思います。日銀の金融政策で金利が例を見ないほど低く抑えられていると、そういう中で経済成長も財政再建もうまくかみ合うと思います。
 問題は、この日銀の金融緩和、未来永劫無限にやるわけにはいきません。アメリカでもテーパリングが非常に微妙な対応になっています。これは、やがて日本でも同じ課題を抱えると思います。そうしますと、未来永劫金利が低く抑えられるということはなかなか難しい。経済成長があれば当然資金需要が起きますから、金利は少しずつ上がっていきます。でありますから、日銀の金融政策が、この金融緩和の度合いを、やがてアメリカのテーパリングと同じような状況になっていくことを見越して、財政の健全化策、これは成長戦略と組み合わせて、税収を増やして、なおかつ不要不急の部分を節約をしていくと。質の向上と言っていますけれども、歳出は若干減らしぎみでも政策効果は変わらないというように持っていくのが政権がなすべき、出すべき知恵だと思っています。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 つまり、異次元の金融緩和が続いている限りにおいては大丈夫だけれども、そこからの脱出の過程で何か起こっては困るという御趣旨だと受け取らせていただきましたが。
 異次元の金融緩和をやめるということは、それすなわち景気が良くなってきたからやめるということになろうと思います。景気が良くなれば、それは金利の上昇も起きると思いますけれども、同時に、まさに今起きているような所得税とか法人税収の伸びというのがぐうんと出てくると。そうすると、国全体としての財政収支というのは決して悪くならないと思うわけです。
 ということを前提に、私から申し上げますと、やはり今の時点で余りに急に財政緊縮をする必要はないんじゃないかと。もちろん計画としてお持ちになる必要はあると思いますけれども、そんなに年間数兆円ずつ緊縮を続ける、しかも消費増税という大変大きな増税をやるときに同時にやるというのはいかがなものかと私は思うんですが、いかがでしょう、どうお考えになりますでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 違う見解を期待なさらない方がいいと思いますが、基本的にはこれは、経済を成長させる、それによって税収を増やし、よってGDPを増やして、今一千兆と五百兆の約二倍の差があります差を少しでも埋めるということを考えると、こちらの方を主体にして伸ばすか、こちらの方を主体にして減らすかという話なんだと思いますが、私は基本的に、デフレ下におきましてはこれは経済成長を伸ばすようにしていかないと、これは縮小均衡と言えば聞こえはいいけれども、縮小して均衡もしない形になりかねませんので、経済をきちんと伸ばす方向に考えていく。
 同時に、国債を買っていただいておる立場からいいますと、その国債は信用できる国債かといえば、間違いなく、日本人が一〇〇%というか、正確に言いますと外国人の持ち株が約一割で九割が日本人が持っていて、しかも外国人の持っております国債も全て円建てという状況にあっては、極めて信用の高いものであるがゆえに〇・五八%、〇・六%というような金利、十年国債の金利ですけれども、で持っているということだと思いますので、この信用も維持し続けるということが大事なので、ここのバランスは私ども政府として最も、どれくらいの比率にするかというのは日銀等といつも常にバランスを取りながら詰めていかねばならぬ大事なところだと思っております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 お言葉、お話を聞いておりますとまさにそのとおりなんですが、実際の予算編成になりますとかなり、数字として見るとかなりこれは感じが違うなという感じがいたしてなりません。
 そこで、この問題はもうそろそろ終わらせていただきたいんですが、最後に一問だけまだお尋ねをしたい、この経済成長の問題でお尋ねをしたいこと、一問というか一分野だけございまして、それは要するに今後の経済政策の在り方でございます。
 まず、今日、先ほども岩田日銀副総裁においでになっていただいておりましてお話をいただきましたけれども、岩田副総裁にお尋ねをいたします。
 まず、消費増税後、雇用や物価や生産などがどのような状況になれば追加的な金融緩和を行うんでしょうか。

○参考人(岩田規久男君) 日本経済、今緩やかな回復を続けております。先行きも、消費税率引上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響はありますが、基調的には緩やかな回復を続けていくというふうに見ております。物価面でも、二%の物価目標の達成、実現に向けて順調な道をたどっていると思っております。そうした下で、金融政策運営については、現在の量的・質的金融緩和を着実に推進していくことが重要であると考えております。
 もとより日本銀行では、経済・物価情勢について上下双方のリスク要因を点検して必要な調整をするということにしておりますので、今後、何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じたという場合には、二%の物価安定目標の実現のために必要であれば適切な調整を行う方針であります。

○金子洋一君 例えばテーラー・ルールのように、特定の数字を意識しながら金融政策を行っていくというお考えはないんでしょうか。

○参考人(岩田規久男君) 現在、テーラー・ルールというのは、参考にはしておりますが、そのルールに沿ってはおりません。

○金子洋一君 そうなりますと、また特定の指標を見るというよりは総合的にということになってしまうわけですか。

○参考人(岩田規久男君) 何よりも、ゼロ金利下で短期金利がもうそれほど下がる余地がないという中で、一つの物価安定を達成するための手段として量的・質的緩和があるわけですね。量的というのは、基本的に負債サイドのマネタリーベースを増やすということです。質的というのは、そのマネタリーベースを増やすのにどういう資産を買っていくかということでありまして、その資産の買い方の内容ですね。
 それで、どんな資産を買ってもマネタリーベースは増えるわけですけれども、どういう質の資産を買うかによっても効果が実は金融政策は違うということで、今その資産サイドの質的な方にも注目して金融政策をしているという点が単なる量的緩和とは違うという意味で質的という言葉を用いているので、それによって物価の安定二%をできるだけ早期に、二年程度を念頭に置きながらできるだけ早く達成していこうと。それは現在はそのオントラックにあると考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 それでは、財務大臣にお尋ねをいたしますが、一〇%への引上げの決断というのは政府としていつ、何月にという意味ですけれども、判断を下されるんでしょうか。そして、その時点で入手し得る最新のGDP統計は一体何月から何月期までをカバーをするんでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) この一〇%の引上げにつきましては、これはかねてから総理からも申し上げておられますし、また三党合意においても、これは財政の抜本改革法の附則第十八条の三項に書いてありますとおりなんですが、基本的に私どもは再来年の十月というのを目標にこの残り二%というのが一応合意の条項になっております。それに当たりましては、この十八条の三項によりまして、いろいろな経済指標をということの中にGDPというお話がありました。
 御存じのように、これは四―六の分、七―九の分ということになろうかと存じますが、これは、来年度のいわゆる予算案というものを、来年度って、平成二十七年度の予算案の編成というのを考えますと、平成二十六年度中にこの予算案を編成するということがこれは技術的には要求されることになろうと存じます。
 しかし、それに対応するためのGDPの指標は、指標数字というものは、七―九の分が、一次QEが十一月、二次QEが大体十二月中頃に出ることになりますので、その意味では、我々としてはなるべく十―十二まで見たいところではありますけれども、その十―十二の分はちょっと速報値でもなかなか入ってきていないという状況にもあろうと存じますので、確定値でいきますと七―九の分が主たる経済指標ということになろうと存じますが、そのほかにも、失業率やら何やらかにやらいろいろなものを総合的に勘案させていただいて決めさせていただくことになろうと存じます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 となりますと、七―九までしか手に入っていない段階で判断を下されるということなんだろうと思いますが、ただ、四―六のGDPは、これはどう考えても反動減が大幅にあると。で、七―九について、そこからすぐ立ち上がるとおっしゃっている方は多分政府を含めてないと。つまり、その半年というのは誰が見てもそういう動きをするとしか言いようがない。
 大きな意見の異なり方というのは、まさに十―十二が上がってくるのか、いや、やっぱり横ばいのままなんだよということになるのか、そこが大切になるわけで、そういう言わば一番大切なところの数字を完全に把握をせずに決めてしまうことが果たして日本経済にとっていいことなのかどうか、私はこれは極めて問題があると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) それはもう間違いなく御指摘のとおりでありまして、十―十二の分の一次QEが出ますのが二月、二次QEが多分三月上旬ということになります。しかし、二次QEが出た段階、もう既に予算の審議に入っている真っ最中になりますので、そういうことになりますと、間違いないということで、じゃ、その段階で予算案を全部やり替えるかということになりますと、それはちょっと技術的には少々無理なことになろうかと存じますので、その場合はどうするかという問題は、これは全然別の観点で考えねばならぬところだと思いますので、その点につきまして、どういう手法があるか、どういう方法があるかは、今の段階でまだ決め切ったわけではございません。

○金子洋一君 その場合は二つ作っておいてぱっと出すというようなことをやればいいんじゃないかと思いますけれども、財務省の皆さんの作業量、予算関係の皆さんの作業量というのは大きくなりますけれども、むしろそうした方がいいんじゃないかと私は思います。
 質問をちょっと変えますけれども、では、来年度の実質経済成長率が一・四%に満たないと判断をされたときには、一〇%への引上げの決断というのは延期をなさるんでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) これは考え方もあろうかと存じますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、これはこの附則十八条の三項に従って経済状況を総合的に勘案しながらということを総理も言われておられますので、私どもといたしましてはその一・四%も一つの指標と思っておりますので、その他の指標が良ければ、私どもとしては、二%というのは、これは社会保障と税の一体改革の中で一応総意として五%ということが決められておる関係もございますので、私どもとしては、あの社会保障と税の一体改革という、これは日本にとって非常に大きな枠組みを決めた話でもありますので、その意味では、私どもとしては、基本的にはその線に沿っていけるように最大限の努力をしなければならぬものだと理解をしております。

○金子洋一君 例えば、完全失業率でしたら景気より遅れて動きますけれども、有効求人倍率でしたらほぼ同じに動いていきますから、それらが景気の全体の動きと全然違って乖離をして動くとはとても思えませんので、やはり一・四という数字をこれは重視をしていかなきゃいけないんだろうと思いますが、この問題についてはまた別の機会に譲らせていただきたいと思いますが。
 それで、岩田日銀副総裁にお尋ねをしたいんですが、似たようなことを違った側面で聞かせていただきます。
 消費増税をすることによって、特に四―六に財・サービスが供給過剰に陥ると。供給過剰に陥れば物価が下がってくるという状況になって、消費者物価上昇率が二%にはこれは程遠い状態になった場合に、物価安定目標の趣旨からしますと、これは追加的な金融緩和をしなきゃならないと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

○参考人(岩田規久男君) 繰り返しになって恐縮ですけれども、今後、どのような要因であっても、何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じて、二%の物価目標を実現するために現在のままでは駄目だというような場合には必ず調整をするということでございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 現実にどういう数字になるか分かりませんけれども、必要なときには必ずやっていただかないと、今のところは一本足打法状態になっておりますので、是非ともそれはお願いをしたいと存じます。
 ちょっとこの問題につきましては終わらせていただきまして、続いて、円安関連の問題についてお話をさせていただきたいと思います。
 円安が進むことによって非常に大きな利益を得た有力な企業もございます。一方で、輸入エネルギーなどに頼っている業界では大変大きな赤字を出すところも多く出ております。また、消費者にとってもこれは円高の方がいいのかなとおっしゃるような方も少なからずおいでになります。
 そこで、まずお尋ねをしたいんですが、この円安になったことによって、我が国とそして日銀、それぞれにお尋ねをさせていただきたいんですが、それぞれ保有する外貨建ての資産の円評価額はどういうふうになったんでしょうか。過去と、過去の動きと申しましょうか、昨年、一昨年とそして直近の数字というような形で、どのくらい増えたのかということでお聞かせをいただきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 直近のというお話でしたので、外国為替資金特別会計の保有外貨資産ということなんだと存じますが、外貨証券、平成二十四年度決算で九十四兆七千億であります。平成二十五年度決算見込みで百十四兆二千億でありまして、差はプラス十九兆五千億の増加ということになろうと存じます。
 関連して、外貨の貸付金につきましては、これ平成二十四年度決算で三兆五千億円、平成二十五年度決算見込みで四兆六千億でありますので、プラス一・一兆円の増加ということになっておりまして、このときの二十四年度決算のドルの資産は一ドル八十九円で、決算書のレートはそのようになっております。二十五年度の決算見込みは一ドル百円で見込んでおりますので、したがいまして、将来の外貨資産の円の評価額につきましては、これはもう様々な要因が入ってまいりますので現時点で確たることを申し上げられるわけではございませんけれども、ちなみに今日は百二円ということになっております。

○金子洋一君 日銀ではどうでしょうか。

○参考人(岩田規久男君) 日本銀行が保有する外貨資産の円評価額ですが、平成二十四年度末時点で約五兆五千億円です。昨年九月末時点では約五兆八千億円となっています。

○金子洋一君 さらに、これはお答えできるかどうか分かりませんけれども、岩田副総裁に、異次元緩和を続けている状態で、今後の国庫納付金、日銀から国への納付金の伸びの予想はどうなりそうでしょうか。あるいは、予想ができないんでしたら直近のものとその一つ前のものというような表現でも結構です。

○参考人(岩田規久男君) 一般的に申し上げますが、中央銀行の収益に関しては、現在非伝統的な緩和をしておりますので、バランスシートが拡大しております。その期間においては、買入れ資産からの収益が増加するために国庫納付金が押し上げられる傾向にあると。一方で、こうした期間の終了後は収益に対しては逆の方向に寄与をするということでございます。
 ただ、実際の収益や国庫納付金がどうなるかというのは、先行きに金利がどうなるかとか、為替や株価が市況によってどう変化するかということ、様々な要因によって変化しますので、一概には申し上げることはできません。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 特に、国の方で申し上げますと、円安による評価益というのが大体単純に足しますと二十一兆円ぐらいあるのかなというふうに受け取らせていただきました。こういうふうに大きなプラスが出る一方で、先ほども申しましたようにマイナスが、円安でマイナスが出てしまうところもあるということでありまして、その問題、特に今日は経産大臣に、午前中からお越しをいただきまして大変恐縮でございましたけれども、お尋ねをさせていただきたいと思います。電力の問題であります。
 今年の夏の電力の需給見通しはいかがでしょうか。そして、電力不足が生産のボトルネック、景気のボトルネックにならないかどうかということについて、いかがでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) 夏の見通し、結論から申し上げますと、四月の中をめどにお示しをしたいと思っておりますが、政府としては、電力需要高まりますのは夏と冬でありますから、この夏季と冬季につきまして電力需給見通しについて、総合資源エネルギー調査会の電力需給検証小委員会において専門家による検証を行った上で見通しをお示ししております。
 直近の二〇一三年の冬、冬季の電力需給については、昨年の十月に検証を行いまして、いずれの電力管内においても電力の安定供給に最低限必要な予備率三%以上を確保できる、こういう見通しをお示ししたところであります。
 ボトルネックと、こういうお話をいただきましたが、こういった状況、これは御案内のとおり、現在、発電所の定期点検、これの繰延べを行ったり、老朽火力をフル稼働と、かなり無理をしております。こういったことを行うことによって行っているものでありまして、電力需給は引き続き予断を許さない状態が続いている。今年の夏につきましては四月に見通しをお示ししたいと思っております。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 日銀の岩田副総裁については、委員長のお許しがあれば御退席いただきたいと思います。

○委員長(山崎力君) 岩田日本銀行副総裁は御退席いただいて結構でございます。

○国務大臣(茂木敏充君) 原子力につきましては、いかなる事情よりも安全性を重視して、そして、その安全性につきましては、規制委員会、これが世界で最も厳しい新規制基準の下で判断を行うということでありますが、現在十原発十七基の適合申請行われております。仮にでありますが、あくまで機械的な計算を行いますと、これら十原発十七基の発電能力の合計、これは千六百七十万キロワットでありまして、最大需要時の電力の約一割に当たると、そのように試算されます。

○金子洋一君 ありがとうございます。是非その点はきちんとやっていただきたいと思います。
 そして、あともう一点、電力については電力料金の上昇がございます。この背景には、やはり私は円安があるんではないかと思います。つまり、円建ての原油価格の上昇の要因の大半は円安にあるのではないかなと思います。
 同僚議員の大野さんが、実は二十四年の十二月の二十六日から二十六年、今年の二月二十八日までのデータを計算しましたところ、円建てで原油価格の上昇が三四・四%アップ、そしてドル建ての上昇は一三%、円安によるものは一九%というふうに計算をしております。やはり円安があるんではないかと思いますが、いかがでしょう。

○国務大臣(茂木敏充君) 電力のコストの上昇のどの部分を取るかによります。それからまた、何年から何年比で見た場合ということによります。恐らくこの後大野先生の方から御質問あるかと思うんですけれど、一二年から一三年ということでいいますと、当然円安でありますからその影響出ております。
 ただ、原発事故前、一〇年、それと一三年を比べてみまして、このトータルの中で申し上げますと、上昇しているベース部分の原発が動かない部分を化石燃料で代替をしていることによりますコスト増、これにつきましては、化石燃料に代替されたことによります要因が七割、そして化石燃料の国際価格の上昇による部分が約二割、そして為替の要因、これが一割強、こういう要因分析になってまいります。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 そこで、電力多消費産業の景況感についてお尋ねをしたいと思います。特に電炉を使う業界ですけれども、大企業を中心に史上最高益が続いておりますけれども、そういった電力多消費産業というのは厳しいんじゃないかと思いますが、現状認識をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(茂木敏充君) 日本の企業の業況感、これは中小企業含めて改善傾向にはありますが、電炉事業者、これは御案内のとおり、金属を溶解して加工する過程におきまして大量に電力を消費をするということでありまして、電気料金値上げの結果として負担が増加している事業者が多い、このように承知をいたしております。
 また、経済対策の効果もありまして、ユーザーであります建設業界などの需要が増加しましたが、電気料金の値上げに加えて、業界におきましては、原料であります鉄のスクラップの価格上昇などによりまして厳しい環境での操業が続いていると、このように認識をいたしております。

○金子洋一君 同じく電炉業界なんですけれども、普通鋼電炉工業会によりますと、電力料金の引上げに伴うコスト負担増が年間百八十一億円だったと、そして、この額は昨年度の経常利益合計額の八十二億円をはるかに上回っているというふうに言うんですが、こういう数字をお聞きになっていかがお考えでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) 今も申し上げたとおり、電炉業、これは相当電力を使うわけでありまして、コストに占めます電力費、これの割合は一〇%前後ということになりまして、製造業の平均が二%でありますから、相当やはり電力料金の値上げの影響は大きいと、このように考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 先ほども、円安の影響で我が国の外為資産が円評価で二十一兆円ぐらい増えたということもありますし、またこれは、日本鉄鋼連盟では、原子力発電所停止に伴う、要するに化石燃料のたき増し分で石油石炭税の自然増収分が八百十七億円あると。ですから、そういったところで出てきたような大きな税収増を電力多消費産業に一定程度補填をするというようなことはお考えになれないでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) 業界の試算については私も承知をいたしております。その上で、石油石炭税、委員も御案内のとおり、受益者負担の原則の下で広く石油等の化石燃料の利用者に負担を求めまして、その税収を何に使うかといいますと、省エネ・再エネ対策、そしてまた石油、天然ガスの開発、権益確保などに充てると、こういうことにされているわけでありまして、御指摘のように、これは電気料金には必ずしも限りませんけれど、激変緩和措置、このもの自体は必要だと、このように考えておりますが、激変緩和措置はあくまで激変の緩和措置でありまして、これが恒常化することによって、事業の再編であったりとか、また産業の新陳代謝などに、前向きな取組の足かせとならないようにバランスを取りながら対策に取り組むことが極めて重要だと考えております。
 そういった中で、電力多消費産業においても、エネルギーの価格の変動を受けにくい、こういった体質をつくり、競争力を強化していくということは極めて重要だと考えておりまして、政府としても、事業者の省エネ設備への投資を支援する省エネ補助金につきましては、平成二十五年度の補正予算で百五十億、また二十六年度の予算案におきましても四百十億円と、大幅に拡充、計上しているところであります。

○金子洋一君 電力料金が高くなるということで考えますと、再生エネルギーの固定価格買取り制度で、電力多消費産業についてはその賦課金について減免措置が八割ですか、あるということでありますけれども、それを更に増強するというようなことはいかがでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) 御指摘のように、電力多消費産業につきましては、この固定価格買取り制度の賦課金の減免制度、国会における法案の修正で盛り込まれたものでありまして、賦課金支払額の八割と、これが減免をされております。
 また、この減免分は、消費者にしわ寄せが行かないように、法律の規定によりまして予算措置を講じ、国費で補填をされることとされております。どれくらいの額かと申し上げますと、平成二十五年度予算では百九十一億円、そして二十六年度の予算案では二百九十億円を計上いたしております。
 経済産業省としては、今後とも本措置の適切な執行に努めていきますが、いずれにしても、この固定価格買取り制度の在り方につきましては、法の規定に基づきまして、これからエネルギーの、新たなエネルギーの基本計画も取りまとめ、政府原案を行いました。今後、丁寧なプロセスは踏んだ上で閣議決定したいと思っておりまして、それを踏まえて、再生可能エネルギーの導入促進策の検討の中でしっかりこの固定価格買取り制度の在り方、議論をしてまいりたいと思っております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 円安のメリットのある企業、一方で円安のデメリットの大きな企業、業界とございますので、是非とも円安デメリットの大きなところにも目配りをお願いをしたいと存じます。
 私はこれで、以上でございます。

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