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国会質疑
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2014年5月15日
財政金融委員会

○金子洋一君 お疲れさまでございます。民主党の金子洋一でございます。
 まず、マクロ経済情勢についてお尋ねをさせていただきます。
 日銀の黒田総裁に引き続きお尋ねをさせていただきたいと思いますが、まず、先ほどの片山先生の質疑の中で、失業率を目標にした金融政策の運営をやったらどうかという御提案がございました。私も大変感銘を受けまして、大賛成でございますが、テーラー・ルール、マッカラム・ルールなどございますけれども、失業率を目安にするということになれば名目GDPルールというような形になろうと思いますが、この点について是非御検討いただけないでしょうか。通告しておりませんけれども、お願いいたします。

○参考人(黒田東彦君) 世界各国の中央銀行の政策目標を見ますと、ほとんどの先進国が二%程度の物価安定目標というのを定めております。その中にあって、FRBは、御承知のように、雇用の極大化ということも物価の安定とともに目標とされておりまして、そういった観点から、常にこの失業率について現状あるいは先行きの見通し等も示して金融政策の議論を行っております。他方、米国以外の中央銀行は、やはり物価の安定ということが最大の目標であって、雇用を目標にするということは取っておりません。
 ただ、物価安定が目標であるといいましても、そこに影響する雇用であるとか、あるいは実質GDPあるいは名目GDPの状況とか、そういうことは全て勘案しつつ金融政策を行っていくという、それは、そういったものが物価に影響しますので、当然そういったものも勘案しながら金融政策を行って、各国の中央銀行はそうですし、私ども日本銀行もそういうふうにしております。ただ、雇用あるいは失業率を数値目標のような形で提示するということは、世界のほとんどの中央銀行はやっておりません。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 もちろん、どういう数字の失業率を目標にしろとか、そういうことを申し上げるつもりはございません。FRBにしても、物価の安定と雇用の最大化という二つの目標、これが時には違う方向に行ってしまうということで大変難しいと。二つのマンデート、デュアルマンデートを満たすということが大変難しいということはございますけれども、日本銀行としても、そういった世界の最先端を是非とも行っていただきたいというふうに思います。二十五分しかありませんので、この問題はもうここで終わらせていただきますが。
 続きまして、展望レポートの内容と、そしてまた、潜在成長率の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 今回、四月の展望レポートでは、一月の見通しと比較をいたしまして、二〇一三年度で実質GDP、経済成長率が二・七%だったものが二・二%とマイナス〇・五%落ちている、そして二〇一四年度については、一・四%であったものが一・一%ということでマイナス〇・三%ポイント落ちているということで、二つ合わせますとマイナスの〇・八%ポイントということで、金額で申しますと約四兆円分日本の経済が小さくなるということであろうと思います。
 そしてまた、実際のデータで消費者物価見てまいりますと、除く食料、エネルギーの消費者物価指数で三月の全国がプラスの〇・七%という数字であります。普通に見ればそんなに強い数字ではないと思いますが、これだけ、そんなに大きなプラスにはなっていないというところでありますけれども、依然として日本銀行としては見通し期間の中盤頃に二%程度に到達すると言っておられると。
 ただ、その一方で、総裁は四月三十日の記者会見などで、日銀計算の潜在成長率に随分近づいているというふうにおっしゃっておられます。ですから、追加緩和は必要ないんだというふうに報道では受け止められているということになりますけれども、見通しが一月と四月で、二〇一四年度の一番最後の方で見ますとマイナスの〇・八%落ちていると。そして、三月の消費者物価、除く食料、エネルギーで〇・七%、これは駆け込み需要も当然入っている数字ですから、そのくらいの数字でまだ追加緩和というのは全く必要ありませんとおっしゃるのは、私としては大変違和感があります。
 これは、総裁として真意はどの辺りにあるんでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 御指摘の二〇一三、一四年度のGDP成長率、これは輸出の回復の後ずれなどから前回の展望レポートに比べて下方修正になったわけでございます。ただ、雇用誘発効果の大きい国内需要が堅調に推移しているということを反映いたしまして、労働需給は着実に引き締まり傾向が強まっております。失業率は御案内のとおり今三・六ということで、三%台半ばと見られる構造的失業率に近づきつつありますし、有効求人倍率も先ほど申し上げたように一・〇七倍ということまで増加しております。
 設備につきましても、非製造業を中心に設備の不足感というものが強まっておりまして、こういった全体の状況を見て需給ギャップがゼロに近づいているという下で、賃金あるいは物価がかつてはマイナスだったわけですが、一年前を取りますとマイナスのデフレの状況だったわけですが、今はプラスのところに来ていると。いわゆる生鮮食品を除くコアで一・三%ぐらい、それから、御指摘のように食料、エネルギーを全て除いたところのコアコアで〇・七というところでございます。
 もとより、私どもの量的・質的金融緩和を昨年の四月に決定いたしました際にも申し上げたわけですが、二年程度を念頭に置いてできるだけ早期に二%の物価安定目標を達成するということで導入し、それを毎月金融政策決定会合で状況を確認しつつ進めてきておりまして、物価の動向を見ますと、おおむね、先ほど申し上げたように成長率、あるいは内需、外需の状況を見ますと、内需はやや強め、外需は弱めということでありますので、成長率は御指摘のように若干下方修正されましたが、物価につきましては労働需給のタイト化等を中心にして賃金、物価の上昇ということが起こってきておりますので、物価についての見通しは変えなかったわけでございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 多分、そういった総裁のお考え方というのは、まさに日銀作成の需給ギャップの発想と同一のものであろうと思っております。
 もし、おっしゃるように、構造的失業率に近づいている、設備の不足感もあるということになれば、これはもう少し物価が上がってもいいはずじゃないでしょうか。逆に言えば、現時点が需給ギャップがほぼゼロに近づいている、けれども物価は余り上がりませんというのは、それは需給ギャップの定義の仕方がおかしいんじゃないかと私は思うんです。
 展望レポートの図表を拝見しますと、例えば図表四十なんというのを見ますと、潜在成長率の計算で、最近のところはプラスに寄与しているものがTFP、つまり技術革新の分しかないということになっております。この潜在成長率の動きを見ても、これは計算の仕方でどうしてもこうなっちゃうんですけれども、景気がいいときには上がり景気の悪いときには下がるということになって、じゃ、この潜在成長率を基準にして景気の良しあしを測ろうにも、こう上がったり下がったりしているんだとちょっと見にくいというところもあるんだろうと思いますし、また、同じく図表四十七で見ますと、回復期に日本銀行の計算をしている需給ギャップというのは急激に回復をすると。だから、バブルのときにはぐんと上がっている。ほかの内閣府とかあるいはホドリック・プレスコット推計なんかに比べるとずっと高くなると。
 もちろん、二〇〇三年から二〇〇七年の景気回復期にもやはり日銀のものは結構高い方に、少なくとも内閣府より高く出ているということで、こういうことを見てまいりますと、景気を予測する上で、日銀の計算をしている需給ギャップというのは余り役に立たないというふうにしか私には見えないんですが、総裁はどうお考えでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 需給ギャップの計算の仕方としてはいろいろあるわけでございます。
 御指摘のこの内閣府の計算の方式といいますのは、中長期的な潜在成長率というものを先に計算いたしまして、それと現在の経済動向を比較してそのギャップを需給ギャップとして示すということで、現時点でまだ一%台半ばぐらいのギャップが残っているという計算だと思います。
 他方、私どもの計算は、直接的に労働市場と設備の稼働率から過去の総平均との比較でギャップが残っているかどうかという計算をしておりまして、御指摘のように、内閣府の計算と若干ずれがあるということはそのとおりでございます。ただ、傾向的には非常に合致した動きをしております。
 そうした下で、需給ギャップがゼロ近傍に来ているというふうに私どもは見ておりますけれども、そういうふうになったからといって物価が急速に、不連続的にというか非線形的に上昇するということはないと思いますけれども、フィリップス・カーブ等で見られますように、やはり需給ギャップが縮んでいきますと物価上昇率は上がっていくという傾向がありまして、これまでの需給ギャップと物価上昇率の関係を見てまいりますと、最近の物価の動きが特にこの需給ギャップに比べて弱いということはなくて、むしろフィリップス・カーブ等から見ますとかなり順調にと申しますか、予想されたような方向で物価が徐々に上がってきているというふうに思います。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、例えば失業率を計算するときでも、回復期には企業からの、何でしょうね、ポストの提供というのはどんどん増えると。その一方で、景気が回復するにつれて今まで職業を探すことを諦めていた人がどんどんどんどん市場に入ってきて、そして求職者数自体が随分大きくなってくるという現象が見られます。これまでの数字で計算をしていると、そういうのが、求職者数がどんどん増えるということになれば需給がタイトになる一方だということになるんでしょうが、そういう個人の方、家計の動きというのも見ていくと必ずしもそうではないところがあると。
 私も、もちろんこの日本銀行の算出方法についてもっと教えていただかなければいけないと思っておりますけれども、少なくとも景気回復期については随分と高くなり過ぎるんじゃないかという、グラフを目で見て、という気がいたしますので、是非その点、問題意識を持っていただければと思います。
 そしてもう一点、追加緩和については余り前向きのことをおっしゃらないということが、恐らく去年の暮れぐらいからずっと続いている状態じゃないかと思います。私は、もう厳しい状況になればできるだけ早く追加緩和をにおわせていただくと、そのことは、におわすことによってほかにいろんないい影響があるからだと思っております。
 特に株式市場の状況を見てまいりますと、恐らく去年の十二月ぐらいから傾向としてはややもう下がってくる一方だというふうに思いますけれども、これは、そういった追加緩和をなかなか日銀がしそうにもないぞということに対する市場からの落胆の声が強いのではないかと私は思っておりますが、そうはお考えにならないでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 追加緩和云々の問題につきましては、昨年の四月に量的・質的金融緩和を導入した際の文書にも明確に書いてございますけれども、毎回の金融政策決定会合で物価安定目標に向けた道筋をどのようにたどっているかというのを点検して、当然、その道筋から外れる懸念があるということであれば、ちゅうちょすることなく金融政策の調整を行うということを申し上げておりまして、その点は一貫して変わっておりません。
 なお、株式相場の水準とか動きについては具体的なコメントは差し控えたいと思いますが、やはり株価は短期的には様々な要因で変動し得るわけですが、基本的には中長期的に見ますと将来の企業収益の見通しを反映するものであるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、株式市場の動向については今後とも十分注意して見ていきたいというふうに思っております。

○金子洋一君 ありがとうございます。その点、言いにくいというところがあろうことはよく理解をしております。
 ちょっと話題を変えさせていただきますけれども、四月一日以降の物価の動向について、これはPOSデータを集計をする東京大学消費者物価指数というのがございまして、カバレッジは余り広くないんですけれども、すぐにデータが分かるという非常に便利なものになっております。
 この動きをどういうふうに評価をされているのか、これは内閣府と黒田総裁、それぞれにお尋ねをしたいと思います。

○政府参考人(杉原茂君) 東大日次物価指数でございますけれども、四月に入って数日間、前年比一%前後の上昇率となりまして、それまで前年比マイナス圏内であったのが、伸びが一時的に高まったというところでございます。ただ、その後は前年比ゼロ%前後で推移をしておりまして、底堅い動きというような状況かと思います。
 東大日次指数につきましては、速報性が高いということはございますけれども、対象品目が今御指摘のように食料品、日用品に限られるという、カバレッジが低いというそういう問題、あるいは全ての特売を含む実売価格を調査をしていること、それから消費者物価指数と比べて伸びが低めに出る傾向があると、そういう消費者物価指数とは異なる特徴、あるいは動きも異なる動きがあるということで、その結果については幅を持って見る必要があるというふうに考えてございます。

○参考人(黒田東彦君) 今、内閣府の方から御説明ありましたように、東大日次物価指数については御指摘のような動きをしていることは承知しておりますけれども、その評価に当たりましては、カバレッジが消費者物価指数の対象品目の二割弱であるということなどを踏まえて見ていく必要があろうと思います。消費税率引上げ後の物価動向につきましては、今後公表される消費者物価指数などを詳細に点検していく必要があるというふうに考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 その東大物価指数は税引きの価格で比較をしておりますので、プラスマイナスゼロだというような数字になるわけでありますけれども、となりますと余りプラスにはなっていないと、前年度同月比というか同日比でプラスになっていないという状況なんじゃないかと思います。依然として増税後の景気について私は非常に心配をしております。
 これは財務大臣にお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、今、今年度の予算についてはできるだけ早期に実施をしてくれということで指示を出しておられると思います。これは、駆け込み需要の反動減に対応するためだというふうに思っております。また、昨年度の未消化だった分を繰り越すということも、これも認めておられるということで、これまでとは随分違ったやり方なんじゃないかなと思っておりますけれども、特に早期実施、今年度の予算の早期実施ということになりますと、年度前半の景気は良くなりますが、後半は普通の年度と比べると当然、政府支出は減ってしまうということになろうと思います。
 そうすると、例えば、大臣は十二月までに消費税の再引上げの決断をなさるとおっしゃっていますから、十二月ぐらいに入手できる経済データについては、前に早期実施をしているのでいいデータが出ると。その代わり、それ以降になると徐々に徐々に息切れをしてきて、実際には消費増税を迎えるといったときに、むしろもう、何というんでしょうね、何も残っていないと言うと表現はおかしいですね、息切れ状態で向かうということになりはしないかというふうに思っております。
 その場合には、例えば追加的にまた経済対策を打たれるんでしょうか。いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 今言われましたように、二十五年度の補正で、六月末までに七割程度、それから九月までに九割程度の実施をするという目標を立て、二十六年度の当初予算では、十二・〇兆円のいわゆる実施対象経費のうち、六月末までに四割、九月末までに六割以上ということを申し上げて、今実施に移しつつあるところなんですが、今言われましたように、これは消費税の反動減というのに対応しつつあるところなんですが、今日出たいわゆる四半期ごとの実質成長率を見ますと、少なくとも一―三月の民間需要というものは九・七%になっております。九・七%は当然駆け込み需要がここにあったと考えるべきなんだと思っておりますが、その中で公的需要というのは実はマイナスの一・五になっております。
 そういった意味では、これは四―六をよく見ていかないと何ともこの三月まででは言えませんけれども、まず傾向値としては、二〇一三年度がこれで出たことになるんですが、二〇一三年度のいわゆるGDPはトータルでいきますと伸びたという形になりますので、そういった意味では、六四半期連続でGDPが伸びたという形には結果としてはなっているんだと思っております。
 こういう傾向値が続いていきますと、私どもとしては現実問題として下期になってどういう形になってくるかというのを、今の段階でちょっとあらかじめ、いいかげんな予想をしていくわけにはいきませんけれども、こういった状態は、公的需要がこれだけ減りながら内需はこれだけ伸びていく、四月以降も同じような状況になるんであれば、それは間違いなく好循環になりつつあるという数字上の証明にはなりますので、それを見定めた上で判断をさせていただきたいと存じております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 いい方向に景気が行ってくれると大変いいと思っておりますが、また引き続きこの問題については質疑をさせていただきたいと思います。
 私は以上でございます。

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