民進党 参議院議員 かねこ洋一オフィシャルウェブサイト
プロフィール 政策 事務所  


HOME > 国会質疑一覧 > 国会質疑詳細前のページへ戻る
国会質疑
国会質疑 詳細
2014年6月10日
国土交通委員会

○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
 今日は五十分いただきまして、この海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案ということで御質問を申し上げたいと思います。
 まず、このバラスト水規制管理条約につきましては、これもう既に二〇〇四年、平成十六年に採択されておるというふうに聞いております。海洋保護に関する条約でもありますし、我が国とも非常に密接に関連の強い、関連のある条約でありますが、その法律の整備に約十年掛かっているわけですが、これはもっと早く措置すべきではなかったかと思いますが、この点、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(太田昭宏君) バラスト水の規制管理条約実施のための法整備につきましては、御指摘のように十年掛かっているわけでありますが、大きく言いまして二つ問題がございました。この排出基準を満たすバラスト水処理設備の供給体制が整っていなかったということが一つ、既存船に対する処理設備設置の猶予期間、直ちにすぐやれと、こう言ってもなかなか金額も掛かりますからできないというようなことで、猶予期間が十分でなかったと、この二点が大きな要素だったと思います。
 しかし、現在、処理設備の開発が進みまして十分な供給体制が整うという、技術革新ができたという状況になりましたということ、そして、昨年十一月のIMO総会におきまして、既存船への処理設備設置の猶予期間ということに対しては、今まで二年半であったものが五年に延長するということが合意されまして、既存船の処理設備設置がまだある意味ではできるという余裕が定められたという、この二つの新しい事項がございました。
 これらによりまして締結可能な環境が整ったということから、政府は今国会で条約の締結に係る国会の承認を求め、これは五月十六日に御承認をいただいたわけですが、関連して私たちはこの法案を提出をさせていただいたということでございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 二点御説明をいただきました。まず、その最初の点の処理設備の供給体制についてもう少し具体的にお尋ねをいたしますが、大変目的についてはいいものですけれども、やはり国内で改造できなければ、改造能力を超えれば、中国、韓国に仕事を奪われてしまうかもしれない、海外の造船所に持っていかれてしまうかもしれないということでありまして、大変もったいないわけであります。そこで、具体的に我が国で適切に改造をするということになりますと、その処理設備の改造の供給体制が整っている必要があると思うんですけれども、具体的に言って我が国のメーカーの供給体制はどういうふうになっているのか、お知らせください。

○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 我が国におきましては、五社の国内製造メーカーが六種類のバラスト水処理設備を製造いたしておりまして、国土交通省でこれらの予備的な承認を行っております。これらのメーカーの供給能力につきましては年間で約二千台となっておりまして、十分な供給体制が確保されていると考えております。

○金子洋一君 年間で二千台ということでしたら十分だろうと思います。
 もう一点ですけれども、既存船について猶予期間が昨年二・五年から五年に延びたということであります。年間二千台の処理能力があるということですが、また一方で、船をお持ちの業者さん、船主さんたちが果たして金銭的に賄うことができるのかと。これ賄わなかったら動かせなくなっちゃうわけですけれども、そういったことも含めて現実的に設置が可能かどうか、その点について御所見を伺いたいと思います。

○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の現存船への処理設備の設置につきましては、昨年十一月のIMO総会において最大五年間の猶予が与えられることになったところでございます。
 これにつきまして、まずこの定期検査でございますけれども、全ての船舶は五年ごとに受検しているものでございます。また、これに要する設置工事、つまりバラスト水処理設備の設置工事でございますけれども、この工事はこの五年に一回の定期検査のドックに入っている実施期間内に行うことが可能でございます。したがいまして、対象船舶への設置につきましては問題がないというふうに考えております。
 また、設置対象となります現存船に対しまして、委員御指摘のように、処理設備の供給能力の点でございますけど、先ほど御答弁申し上げましたように、年間二千台という供給能力がございますので体制も整っておるというふうに考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 やはり、海運業者、船主さんの負担というところも大変気になるところなんですけれども。
 もうちょっと具体的なお話をお尋ねしますけれども、この法案が成立をすることによって日本国内で、国内でというとちょっと、日本船籍でというと簡単なんですが、日本国内でというちょっとやや曖昧なお尋ねの仕方になりますけれども、バラスト水処理設備をこれは設置しなければならない義務が生じてくる船舶の台数というのは一体何隻程度なのかということと、そして、平均的に見て、その処理設備の改造費用と申しましょうか設置費用というのは大体どのくらい掛かりそうなのかということについてお答えをお願いします。

○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 本法案によりましてバラスト水処理設備の設置義務が生ずる日本船舶は約三百四十隻となっております。また、処理設備設置のための費用につきましては、船舶の大きさにもよりますけれども、一隻当たり一億から三億程度と聞いております。

○金子洋一君 それは、やはり日本船籍しか今回は対象にならないということなわけですよね。

○政府参考人(森重俊也君) この法案は日本籍船を対象として規制するものでございますので、約三百四十隻というふうになります。この条約の発効に伴いまして、各国が自分の国の船舶、旗国としてそれぞれ検査を行っていくということになります。

○金子洋一君 そうなりますと、最初に少し申し上げたんですけれども、日本の海運会社が持っているけれども日本船籍ではないものというのはたくさんあると思うんです。こういったものに関しては、そのそれぞれの国々がその条約に入って、そしてそれに応じた法律を発効させることによって初めて対応が義務付けられるという、そういう解釈でよろしいんでしょうか。

○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 ちょっと私の説明が不十分なところがあったかもしれませんので、補足も含めてお話しさせていただきたいと思います。
 この条約発効に伴いまして設置義務を負うのは船舶所有者でございます。したがいまして、例えば、日本商船隊の中で日本が所有している船舶、これ約二千隻ございますけれども、これが日本の船舶所有者として対象になると。そのうちの、いわゆる日本の法制として、旗国として見るのが三百四十隻ということでございますので、商船隊の船舶所有者としては約二千隻というふうになります。

○金子洋一君 かなり数が多いわけですけれども、やはり今、海運業界というのは余り景気がよろしくないという状況があると思いますので、そういった処理設備の設置というのはそれぞれの会社に対して過度な負担を強いることになるんではないかというふうに思っております。もちろん、それをやらないわけにはいかないんでしょうけれども。そのためには、また様々な負担を軽減をするような措置というものが必要になってくると思うんですが、その点についてはどういうふうに配慮をなさるんでしょうか。

○副大臣(野上浩太郎君) 外航船舶から排出されます有害なバラスト水による生態系破壊を防止することは、これは極めて重要な問題でありますが、ただ、この問題につきましては、海運事業に伴って発生するものでありますので、基本的には船舶所有者がその防止を図るべきものであるというふうに考えております。
 ただ、今、先生から御指摘があったとおり、我が国の国際海上輸送を支える海運業界にとってこれは相当な投資になりますので、政府としても設置費用について一括損金経理が可能となるように措置をしておるところでございます。

○金子洋一君 その設置費用というのは、既存船の設置費用、まあ改造費用も含んでいるんでしょうか、それとも新たに造る船の設置費用の分だけなんでしょうか。

政府参考人(森重俊也君) 既存船を対象としてやっております。新船の場合は元々造るときに組み込んで造りますので、船の一部としてですね。現存船をドックに入れて改造すると、いわゆる設置工事、いわゆる改造工事的なものを対象にして先ほどの措置を講じておるものでございます。

○金子洋一君 となりますと、改造費用だけ取り出して金額が幾らになるのかというのはちょっと計算の仕方が難しいかもしれませんけれども、改造費用だけを取り出して考えたときに、既存船とそして新造船と見た場合に、改造費用について既存船についてはそういった配慮があると、新造船の部分についてはそういった配慮がないという解釈なんでしょうか、それともほかのもっと大きなスキームの中に入ってくるという理解でよろしいんでしょうか。

○政府参考人(森重俊也君) 新造船の船の価格と申しますのは、個々の機械設備等の価格、あるいは鉄材とかいろんな原料の組合せが一つと、あと国際価格が大変上下いたしております国際マーケットということで、なかなか一概に見通すことが難しゅうございますので、その中で、新船の場合は投資のタイミング、そして船価の契約の中で船舶所有者が判断していくと、その中で対応していくということで一応分けて考えております。

○金子洋一君 実質的にぶれが激しいのでなかなかその分が出せなくて、手当ても難しいのかというようなふうに受け止めさせていただきました。その分を取り出して見るのが難しいということであれば致し方がないのかなという気もいたしますけれども、何とかほかの手段で見ていただければいいなという気はいたします。その点、もう少しいろんな検討をしていただければというふうに思っております。
 あと、ほかの国の動向についてお尋ねをさせていただきたいんですけれども、まだ中国なりなんなり、他国は、条約を締結をしていない、そういう国がございます。そういった国の船舶が我が国やあるいはほかの国の間を行き来する間で、何か有利なことが起きてしまわないかどうかと。そして、我が国に入ってきたときにはきちんとチェックをするんだろうと思いますけれども、しっかりと入港してきたときに規制ができるのか、外国船舶への立入検査についてはどういう体制でどのように我が国として行っていくのかと。特に非常に重要な面として、人員的にそれで足りるのかと、つまり人員が足りませんとおざなりなチェックになってしまうと思いますので、その辺り、いかがでございましょうか。

○大臣政務官(中原八一君) 条約を締結していない国の船舶に対する取扱いにつきましては、条約締結国の船舶と同じように規制を適用することが条約で定められております。本法案におきましても、条約締結国の船舶であるか否かにかかわらず、バラスト水処理設備の設置等の規制を適用するとともに立入検査を実施することとしておりますので、条約を締結していない国の船舶が有利になるようなことはありません。
 また、PSCの体制につきましては、現在、十二の条約に関連した立入検査を四十一の地方運輸局等に配置されております百四十名の外国船舶監督官により実施をいたしております。
 今回のバラスト水規制の導入に伴い、PSCにおいて確認すべき事項が増加をすることになります。PSCの具体的内容につきましては、排出基準への適合性を証明する有効な証書を備え置いているかどうか、二番目に、有害水バラスト汚染防止措置の手引書及び水バラストの記録簿に条約で定められている記載事項が適切に記載されているかを確認することにいたしております。また、状況に応じまして、排出されるバラスト水のサンプル検査も行うことにいたしております。
 PSCの実施する要員につきましては、従来より、研修、訓練による技術の向上とともに要員の増加に取り組んできておりますが、今後とも十分な執行体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 要員の訓練をしてあるいは増員をしてということですけれども、例えば、私は神奈川県ですけれども、関東でそういったことを御担当になる方の人数というのは、たしか二十名とか三十名とかそのくらいの人数だったというふうに記憶をしておりますけれども、それが一気にこういうお仕事が増えると。それで、通常のお仕事もあるわけですよね。となると、果たしてきちんとチェックができるのかなという感じがいたしますが、その辺は自信を持って大丈夫だというふうにおっしゃれるんでしょうか。

○大臣政務官(中原八一君) 今回のバラスト水規制の導入に伴いましてPSCの確認すべき事項が増加するわけでございますけれども、国交省といたしましても、外国船舶監督官、この研修、訓練による技術の向上、そしてまた要員の増加の方でありますけれども、平成二十一年、二十二年に比べまして、若干ではありますけれども、要員の確保に努める努力をいたしているところでございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 私も霞が関出身ですが、なかなか要員を増やすというのは難しいのはよく分かっておりますけれども、なるべくそういった人数は増やしていただいて、現場の皆さんの苦労を減らしていただきたいと思います。
 続きまして、また他国の動きなんですけれども、この条約の締結国の中に米国がまだ入っていない、まだというか、入っていないわけですね。独自の規制をしているということで承っておりますけれども、そういった米国の独自の規制というものが我が国の海運業界にとって不利な影響を与えるのではないかということを私は大変危惧をするんですが、その辺りは大丈夫なんでしょうか。

○大臣政務官(中原八一君) 委員御指摘のように、米国では独自規制を実施しているわけでありますけれども、米国の実施している独自規制は排出基準が条約と同じであるため、海運事業者が講ずべき措置に大きな影響はまずございません。
 他方、米国では、米国沿岸警備隊による処理設備の承認を義務付けておりますけれども、他国が承認した処理設備を搭載することも認めておりまして、また、我が国の処理設備メーカーに確認をいたしましたところ、米国規制に対応が可能であることから、機器の仕様を変更する必要はないと聞いております。したがいまして、米国独自規制につきまして、我が国にとって対応可能なものであり、特段な問題はないものと考えております。
 今後とも米国の動向の把握に努め、我が国事業者が不利益を被ることのないよう適切に対応してまいりたいと考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 このバラスト水の法律につきましては、大体このくらいお尋ねをさせていただいておしまいにさせていただきたいんですが。
 もう一件、環境に関わる条約で未発効なものとして、シップリサイクル条約がございます。これは条約によりますと、船舶における有害物質の使用の禁止、制限、あるいはその制限された物質をどういうところにどういう種類のものが使われているのかというのを示すインベントリーを作っておくということ、あるいはシップリサイクル施設、つまり船を解体をする場所で有害物質の管理をきちんとやるとか、あるいはそこで働いておられる皆さんの安全を確保するということ、そういったものが条約の内容になっているんですが、ただ、このシップリサイクルというのは非常に人件費やあるいは土地代の安い国で行われておりまして、インドとかバングラデシュとかパキスタンとか、あるいは中国でもやっているんですけれども、そういった国が中心になっているというふうに聞いております。
 そして、こういった発展途上国での解体作業は労働環境としても非常に劣悪で、危険な物質が、何ていうんでしょうね、いろいろ拡散をしてしまう、環境汚染の状況も非常に多くなっているというふうに聞いております。我が国も海運国ですから、そういったところで解体をされる船というのは将来的にも多いことになると思いますので、我々としてもそういった状況を見過ごすことはできないと思うんですけれども。一つの例を挙げますと、国際的な労働団体でありますインダストリオールというところも、できるだけこういう状況からは抜け出してほしいということで各国政府に声掛けをしているということであります。
 この条約、発効条件が三つほどありますけれども、解体をしている国の締結が不可欠になっているということでありまして、国交省としてこれ具体的に、そういったインドとかバングラデシュとかパキスタンとか、劣悪な環境で解体作業をしている国々の締結を促進するような取組をこれは行っておられるんでしょうか。是非とも行っていただきたいんですが、その点、いかがでしょうか。

○政府参考人(森重俊也君) シップリサイクル条約の発効のためには、委員御指摘のように、まず締約国の数、二番目に締約国の商船船腹量に加えまして、三点目に締約国の船舶解体能力に関する要件を満たすことが必要となっております。インド、バングラデシュなどの主要な船舶解体国、その締結が不可欠となっていると、そういう点が特徴でございます。
 このため、これらの主要解体国が条約に適合した安全で海洋環境に問題のない実施体制を、解体体制でございますが、整えることが条約の発効のために必要となります。国土交通省におきましては、世界第一位の船舶解体国でございますインドにおきまして、その施設を条約に適合させるために改善策を検討いたしまして、インドに対しまして助言などをいたしております。また、民間におきましても、安全環境対策の実施のための専門家の育成、こういう育成を支援するなど、官民連携した支援を行ってきているところでございます。
 国土交通省といたしましては、早期にこうした主要な解体国におきまして条約の実施体制が整うよう、引き続き支援を行ってまいる所存でございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 実際、これ中国だとちょっと状況は違うようなんですけれども、パキスタンに実際に行ってこられた方のお話を聞いたことがあるんですが、パキスタンで解体をされるというときには、大きな船を砂浜の上に引いてきて、その上で解体をしていくということでありまして、例えば、保護具の着用もしていない人がおられたり、船の中でいろんな有害物質が使われておりますけれども、そうしたものが管理をされていない状態であったりということである国もかなり多いということであります。
 是非ともそういった面について我が国が音頭を取っていただいて、この条約の早期発効に向けて動きを強めていただきたいと思います。
 あと、この解体ということなんですけれども、我が国の中でも船舶の解体というのを採算ベースに合わせて何とかやることができないのかといういろんなパイロットモデル事業というものがあるようであります。
 具体例を一つ挙げますと、二〇一〇年に室蘭で大型船舶解体実証実験というのが、これは国交省もバックアップをされて行われたということでありますけれども、これ、アフロート方式と申しまして、岸壁に、普通、船が入港して岸壁につながれますけれども、そのままの状態で浮かしたままで上から簡単に言うと切っていってスクラップにしていくという方法なんですが、これを何とか国内でも採算ベースに合わせていくことができないかどうか。できたらこれは、非常にこの造船業界というのは厳しい状況にありますので、いいニュースになると思うんですが、この辺りはいかがでしょうか。

○政府参考人(森重俊也君) 委員御指摘のように、日本におきましても、室蘭におきましてシップリサイクルのパイロットモデル事業を実施いたしました。おっしゃったようにアフロート方式で実験をしたわけでございます。それで、技術的にどういう対応をしたらいいか、そういう浮かべてやることがどの程度可能かということ、それからコストでございますね、採算に乗るかどうかということも併せてモデル事業として調査を行ったわけでございます。
 こういった事業の内容も参考にしながら、先ほどの主要解体国であるインド、バングラデシュへの働きかけも含めまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 そのときの携わった方の報告などを見ていますと、かなりコスト的には厳しかったというようなことでありますけれども、国交省の方とちょっとその話をさせていただいたときに、廃船の国際価格と鉄スクラップの国内価格との比較という表をいただきました。現時点では、二〇一三年辺りでは国内の鉄スクラップの価格と廃船の国際価格が大体同じぐらいで人件費分が出ませんということでありましたけれども、それで、諦めると言うとちょっと失礼ですね、余りポジティブなことは国交省の方はおっしゃいませんでしたけれども。
 これ、そのグラフをいただいているんですが、二〇〇六年、七年辺りから二〇〇八年の中頃ぐらいまでは鉄スクラップの価格の方が随分高いこともございました。これは、今思い起こしてみますと円安の時期です。円安の時期になると、こうした採算に合わなかったことも採算に合うようになるのではないかというふうに思っております。
 そのいい具体例が、つい昨日公表されましたデータで見ますと、旅行収支がございます。これは四十四年ぶり、大阪万博以来四十四年ぶりに、日本の方が海外に行って旅行で使われるお金と海外の方が日本においでになって旅行で使われるお金、そのプラスマイナスで百七十七億円ほど海外の方が日本国内で旅行で使われるお金の方が多かったというのがございました。これも大きな要因は円安でありますし、また、旅行ということになればまさに国交省の中のお話です。
 そういった可能性もあるのではないかなと、つまり円安がプラスに働いてくるというようなこともあるのではないかなというふうに思いますので、そうしたことに備えて基礎的な研究というのも是非進めていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(森重俊也君) まず、委員御指摘のように、船舶を解体する事業の採算という観点で申し上げます。
 解体事業と申しますものは、まず解体をするための老朽化船舶を購入する、そして解体をする、そして出てきた鉄スクラップを売却して収益を得るという事業でございます。この事業を採算ベースに乗せるためには、船舶の購入価格と解体に要した経費、この合計を上回る価格で鉄スクラップを売ることが必要ですので、委員御指摘のように、鉄スクラップの価格というのが大変重要なポイントになってくるわけでございます。
 最近の船舶の購入価格を見ますと日本国内での鉄スクラップの価格とほぼ同様となっておりますので、人件費等の解体に必要な経費を賄うことは難しゅうございまして、現在の市場環境では日本国内において解体事業を設立させることは困難な状況ではございますが、国際的ないろんな諸要因の影響もあり、全体的にこれから将来の価格の変動でありますとかいろんな解体技術の進展等将来の変化の要素もございますので、条約全体として各国への働きかけとともに、私どもとしてもこういった検討を進めてまいりたいと思います。
 実は、このシップリサイクル条約は我が国が世界有数の海運・造船国といたしまして策定を主導したメンバーの国でございますので、そういう流れを大事にいたしまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○金子洋一君 是非ともよろしくお願いいたします。
 このシップリサイクル、そしてバラスト水の問題につきましても、これ以外にも船舶の燃費でありますとかCO2の排出の問題、あるいは地球温暖化の防止対策といった事柄、こうした物事につきまして、海洋環境に関わる基準作りですけれども、これについては是非とも我が国が先導役となって取り組んでいただきたいと思います。
 先ほどから名前が出ておりますIMO、国際海事機構ですか、日本語で申しますと。こちらの方も関水さんという国交省御出身の方が事務局長をなさっているということですし、そういった場でもリーダーシップをきちんと取っていただきたいと思いますし、また、それ以外、我が国の非常に進んだ造船などの技術をきちんと生かして国際競争力を更に強化をしていくという観点からも、これ、国交省に是非ともきちんと取り組んでいただきたいと思いますが、将来どういうふうに取り組んでいかれるおつもりか、お伺いをいたします。

○国務大臣(太田昭宏君) 輸出をめぐる国際競争という中で、国際ルールに積極的に関わって日本の作ったルールというものを世界のルールにするという、これは非常に大事なことだというふうに思っています。ISOが全ての社会インフラを対象とするアセットマネジメントに国際規格を定めるなど対象分野を拡大をしているところでありますし、あらゆる産業分野がそうしたことに出ていくということが大事だと思いますが、この海事ということにつきましては、今御指摘のように、IMOにおける国際的な基準作りをリードしていくという必要があると思います。それで、国際社会への貢献ということもありますし、国際競争力の強化ということが非常に大事な面になってきます。
 特に日本の場合は、二酸化炭素の排出削減基準というのは省エネ技術力で優位に立つわけでありまして、IMOの議論をリードして二〇一三年一月から導入されたということもございます。IMOにおいて世界最多の提案文書を提出をしているという状況もありますし、今御指摘のように、事務局長も国交省出身の人がなっているという状況にもございます。
 今後とも、世界トップレベルの技術力を生かして、海事分野において国際社会が抱える課題の解決をリードしていくということに努力をしたいというふうに思っているところでございます。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 あと、これちょっと話が変わってしまいますけれども、大体二〇一六年以降ですか、北米、アメリカでのシェールガスの産出量が非常に増えると。増えたものをどうやって運ぶのかと。それは船で運ぶということになってくるだろうと思います。そういった海上エネルギー運送など、こういう新しい動きにも、これ、我が国の造船業あるいは海運業というのはきちんと対応をしていかなきゃいけないと思いますけれども、これについて国交省としてはどういうふうに今後取り組んでいかれるおつもりでしょうか。

○副大臣(野上浩太郎君) 今お話がございましたとおり、例えばシェールガスにつきましてはアメリカで開発が進んでおりまして、それに伴って、拡張されたパナマ運河を経由する新しい輸送ルートなど、新しい展開が見込まれております。
 国際的なエネルギー輸送はこれから大きな変化が予想されますので、その世界の成長を取り込んで我が国の海事産業の発展を図ることは大変重要と考えております。このため、私が座長となりまして、船社、造船事業者はもとより、電力、ガス、金融、商社、有識者、経産省等の関係省庁等で構成するエネルギー輸送ルートの多様化への対応に関する検討会を四月に立ち上げたところでございます。
 この検討会におきまして、パナマ運河の通航料改定の手続の透明性確保ですとか、あるいは、船舶の建造に当たっての投資リスクというものもありますので、こういうことなどを課題として対応を検討することとしておりまして、官民一体となってこれはしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○金子洋一君 まだいろんな状況が新たに出てくるんだろうと思いますので、なかなか今すぐ特効薬のようなものを作るというのは難しいと思いますが、是非とも、その点、きちんと政府の方で御検討をいただきたいと思います。
 ちょっとこれは造船業からは外れるかと思いますけれども、今エネルギーのお話が出てまいりましたので。
 エネルギー価格が非常に上がっておりますので、従来こんなところで掘っても採算に合わないよというようなところでも、エネルギーの発掘と申しましょうか、採取が行われるようになってまいりまして、例えば海洋で、海の底で石油を発掘をするとか天然ガスを発掘するとか、そういったことも多く行われているというふうに聞いております。
 こういった分野で新たな成長産業をつくっていくというのも我が国の海事産業の振興の観点から非常に重要になってくると思うんですが、この点について国交省としてはどういうふうに取り組んでいかれるおつもりか、お聞かせください。

○国務大臣(太田昭宏君) 非常に大事だというふうに思って、私も呉を始めとしていろんなところに行きまして造船所で視察もし、お話も聞かせていただきますと、海で石油、天然ガスの開発というような、こうしたことに進出をしていると。
 日本の優れた技術というものを、例えばブラジルにおきまして、関連船舶の建造に参画をして大規模な石油、ガス開発を進めているという状況にもございます。そういう意味では、我が国の海運会社が石油の生産や貯蔵や輸送などのオペレーション事業に参画をしているというのは現実あるわけでございまして、私は、そこのかなり技術力が優れているなという印象を持ちました。
 これから海洋資源の開発ということが非常に大事な分野になってきますし、日本でも渥美半島沖でメタンハイドレートとか、秋田沖でもそうでありますが、そうした状況がありますから、造船業で蓄えられた技術というものがそうした海洋石油、天然ガス開発市場等に参入していくということが極めて重要だというふうに認識をしています。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 なかなか、こうした海洋でのエネルギー開発といったものは一社だけで技術的にも資金的にも対応するのが難しいということがございますので、是非とも国交省の積極的な関与をお願いをしたいと思います。
 それでは、最後の質問に移らせていただきます。やや、船つながりは船つながりでございますけれども、ちょっと色合いが変わってまいります。
 尖閣諸島に中国公船の侵入がもうずっと続いてきております。これへの対処策というのがこれは非常に大切であると私は常々思っております。これは与党も野党も関係ない非常に重要な案件だろうと思っております。
 そこで、例えば海上保安庁の巡視船、それもいわゆる大型巡視船、七百トン以上の大きなものを増強していく、あるいは、船を造っただけではどうにもなりませんので、人員を増強をしていただくということをやっていただいて、恐ろしいことが起きないようにきちんとした手を打っていただきたいというふうに思っているんですが、この点につきまして、今日は海上保安庁長官に来ていただいておりますので、御所見と申しますか、意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 海上保安庁では、尖閣諸島周辺海域の領海警備に万全を期すため、現在、大型巡視船十四隻相当による専従体制を構築すべく、大型巡視船の整備や要員の確保、養成などを平成二十七年度末までに完了するよう進めております。このうち四隻が平成二十六年度中に就役する予定となっております。
 海上保安庁では、引き続き領海警備に万全を期すべく取り組んでまいりたいと思っております。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 もちろん、現状ではその数で十分なのだろうと思います。しかし、中国というのが一体どういうことを考えてくるのかというのはこれは全く予想も付かないところもございますので、やはり更なる増強というのが必要になるのではないかなというふうに思っておりますし、また、こういったこれまでにない状況におきまして、長官、海上保安庁長官として戦後初めて生え抜きの方が今長官としてなっておられるということは非常に意義が大きいことだろうというふうに思っております。特に、現場の皆さんが非常に大きな目標を持てるようになったんではないかなと思います。是非とも、大変な予測不可能な厳しいお仕事だとは思いますけれども、きちんと取り組んでいかれたいと思いますし、また、こういった人事をなさいました太田国交大臣の御英断というのは、これは、私は野党ですけれども、すばらしいものだなというふうに思っております。
 ちょっと時間が早いですが、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

トップページへ戻る | 一覧へ戻る



 
▲法定ビラ
▲ポスター
選挙運動用の文書図画をプリントアウトして頒布できません。(公職選挙法第142条、第243条)
過去動画はこちらをクリック
twitter
facebook
メールマガジン会員募集中!
国会質疑
スナップで見るかねこ洋一
マスコミ報道
金子 洋一へのネット献金はこちら
金子洋一 エコノミストブログ
後援会員募集
献金
ボランティア募集
アンケート投票
HOME プロフィール 政策 事務所 個人情報保護方針 サイトマップ  Copyright© 2011 kaneko yoichi office,All Right Reserved.