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国会質疑
国会質疑 詳細
2014年10月16日
国土交通委員会

○金子洋一君
お疲れさまでございます。民主党の金子洋一でございます。
まずもって、昨今打ち続く自然災害によりましてお亡くなりになられた方々、被災をされた方々、本当に大勢おいでになっております。心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
さて、今回は、航空券に関することと、あとタクシーに関することの二つを取り上げさせていただきたいと思います。
最近、円安が続いております。最近ちょっと戻しましたけれども、基本的に円安が続いております。円安になりますと、輸出をできる企業は大変有り難いことになりますけれども、一方で、原燃料を輸入をするということになりますので、輸入していく、そして国内でサービスのような形で提供をするという企業になりますと、あるいは産業になりますと、大変厳しくなっております。そういった産業の代表格がまず航空業界ではないかと思っております。
ただでさえ厳しい状況にある航空業界に、最近、航空券の上に税金を掛けるというような構想が一部で考えられているということであります。これが航空券連帯税と言われる税金の在り方でありまして、実はさきの国会で航空局の次長さんとも財金委員会のところで議論をさせていただきましたけれども、再度、国交大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。
航空券に課税を何でするのかと。国際貢献をするという趣旨は分かります。しかし、じゃ、なぜ国際貢献をするということのために航空券に課税をするのかと。特に最近考えられている航空券連帯税の使途というのは、アフリカで結核とかマラリアとかHIVとか、そういったものに対して対策として使うというものになっております。
そうなりますと、航空券に課税をする、で、アフリカに行くということになりますと、いささか受益と負担の関係が食い違ってくるんではないかと思いますが、この点について、大臣、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(太田昭宏君)
我が国への航空券連帯税の導入につきましては、受益と負担の関係が不明確であるということのほかに、我が国航空会社の国際競争力の強化、あるいは地方路線維持のための着陸料等の公租公課の引下げの取組に逆行する、訪日観光客数の拡大、そして観光立国実現に向けた取組にも逆行する、フランス以外の欧米主要国、アメリカとかイギリスとかドイツなどは導入していない、したがって、この連帯税導入自体が世界的な潮流とはなっていないのではないか、こうした問題があるというふうに考えておりまして、慎重に判断されるべきものであると考えております。

○金子洋一君
ありがとうございます。
もう大臣の御答弁で尽きているような気もいたしますけれども、もうちょっと細かくお尋ねをさせていただきたいと思います。
現時点では十一か国で導入をされているということでありますが、先進国ではフランスだということであります。なぜほかの先進国に対してそういった形で広がっていかないんだろうということで、お考えになっておられるでしょうか。

○政府参考人(田村明比古君)
元々、航空券連帯税、フランスが、自分が宗主国であったアフリカ諸国等に対する援助の財源を確保するという目的で導入をするということで、同じ趣旨で先進国のアメリカ、イギリス、ドイツ等にも呼びかけをしたということではございますけれども、これらアメリカ、イギリス、ドイツなどでは受益と負担の関係が不明確であるといった問題があって、各国の国内関係者から強い反対があるというふうに聞いております。

○金子洋一君
ありがとうございます。
まさにおっしゃるとおりだと思います。フランスの旧植民地に対して主に使われているということでありますので。もちろん、フランス以外の国々が入ってくれば違ってくるのかもしれませんけれども、基本的には御自分の、旧宗主国がそういったところの面倒を見るべきではないかなと思います。
あともう一点、公租公課のお話が大臣の御発言の中にありました。
森屋先生の質疑の中でも観光立国が重要だという御指摘がありまして、全く私も同感でありますけれども、そういった観点からは、今後ほかのアジアの諸国と我が国は競争をして観光客を呼び込んでこなければいけないということになると思います。例えばヨーロッパの時差が九時間もあるようなところと比較をしても、これはどうしようもないと思うんです。ほかのアジアの国と比較をした場合、各空港でお客さん一人当たりの公租公課を比較した場合、本当に推進派の皆さんがおっしゃっているように、果たして日本の公租公課というのは安いのかと。私はとてもそうは思えないんですけれども、その辺りの事実関係を教えてください。

○政府参考人(田村明比古君)
御質問の点でございますけれども、もちろん国によって航空会社や航空利用者に対して課せられる税や料金の体系というのは異なっておりますので、これを単純に比較するというのはなかなか難しいことではございます。
しかし、旅客一人が空港を利用する際に掛かるコストということで、例えば着陸料ですとか旅客から直接取る税、こういうものを合計して比較をしてみますと、我が国の空港、欧米先進諸国と比べて必ずしも高い水準ではございませんけれども、今先生おっしゃいましたように、今、日本が競争をしておりますのは近隣のアジア諸国の空港ということでございますので、こういったところと比較しますとやはり高い水準にあるというふうに認識しております。そして、我々、これを引き下げていく努力を今やっているところでございます。

○金子洋一君
ありがとうございます。
我が国も本当に景気が今悪い状況になっておりますので、少しでも景気を良くするために海外からお客さんに来ていただきたいという思いが強くございますので、そういった意味でも、引き続き大臣におかれましてはこの航空券に対する課税には明確に反対をしていただきたいと思います。続きまして、タクシーについてお尋ねをいたします。
タクシーにつきましても、普通はLPガスで走っているということでありますので、円安の悪影響というのは大変大きくなっております。今年の一月の二十七日に改正タクシー適正化・活性化特別措置法、いわゆるタクシー新法が施行されました。これについていろいろお尋ねをしたいと思うんです。
まず、大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、平成十三年から平成二十一年までの期間ですけれども、特にタクシーの規制緩和が強く行われておりました。その間、やっぱり数字を見てみますと、車の台数が過剰に増える、あるいは行き過ぎた値下げ競争が起きる、過当競争が起きてしまったというようなことがあって、結果的に利用者の安全ですとかあるいは安心といったものが損なわれたのではないかと私は思っております。
タクシー業界全体として見て、そういった規制緩和で果たして生産性が向上したのか、この規制緩和への評価はどのようなものであるのかということを大臣に伺いたいと思います。

○国務大臣(太田昭宏君)
一般に、規制緩和につきましては、サービスの多様化による利用者利便の向上とか価格の低廉化をもたらして、その結果として利用者の増加や収入増といった好循環につながるということが期待をされるものだというふうに考えます。
タクシー事業というのはちょっと異なりをしているというふうに思っておりまして、競争を通じた事業の活性化を目的として規制緩和の取組が行われてきたところでありますが、例えばGPSによる配車システムの整備とか、高齢者や身体障害者の方の利用に対応した車両の配備、あるいは都市部と空港などとの間での定額運賃の実施など、新たなサービスの提供を通じて需要の喚起が図られるなど、規制緩和による一定の成果があった、効果があったものとは認識をしています。
しかし一方で、ちょっと異なりを見せております業界で、新規参入や増加によって車両数が増加したにもかかわらず、多くの地域では期待どおりには需要が増加しないで、規制緩和で意図された好循環には必ずしも至りませんでした。
その背景として、タクシー事業というものでは費用に占める人件費の割合が高くて、また、運転者の賃金が歩合制になっているということなどが挙げられるというふうに思います。事業者は需要の減少に際しまして車両数を増やして売上げを確保しようとするためにどうしても供給過剰が進んで、かつ、その状態が長期化しやすいとの事業の特性をタクシー事業は有しているというふうに思います。供給過剰が発生した場合には運転者の賃金の減少が労働条件の悪化に直結をしまして、これが安全性やサービスの質の低下などにつながって、利用者の利便、利益が損なわれることになります。
こうした供給過剰問題を解決するために、平成二十一年にタクシー適正化・活性化特別措置法、いわゆるタクシー特措法が制定されて、供給過剰を解消するための取組が進められました。個々のタクシードライバーや事業者の方々など関係者の御努力によりまして一定の進展が見られたところではありますけれども、リーマン・ショック後の需要が低迷ということがありまして、多くの地域でいまだに供給過剰が解消していないという現状にございます。
今回、昨年の臨時国会でありましたが、改正タクシー特措法を成立させていただいたわけですが、こうした経過を踏まえまして、議員立法の形で、供給過剰の状態を一層効果的に解消するとともに、運転者の要件を厳しくするなど、タクシーサービスの水準を向上させるための具体的な仕組みを整えたものと認識をしております。
国交省といたしましては、改正タクシー特措法の適切な運用を通じまして、我が国のタクシーが利用者にとって更に安全で安心して利用しやすい交通機関となるよう取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

○金子洋一君
ありがとうございます。
私も規制緩和一般に対して全く反対をするつもりはございません。例えば通信業界でしたら、規制緩和が行われたことによって、新たな携帯電話の市場なんというのは三社で激しく競り合う、それ以外の業者も入ってくる、で、価格も落ちてくる。あるいは、宅配便業界などというのは元々規制緩和の前には存在すらしなかったということから、規制緩和というのは非常に大きな効果を上げる場合もあると思いますが、今大臣がいみじくもおっしゃいましたように、このタクシーの業界というのは営業収入の約七割から八割が結果的には人件費になる、そして歩合制だということで、これはほかの業界と比較をしますと全く違う性質を持っております。そうした中で、いわゆる単純な自由競争、それが一番いいというような発想ではきちんとしたことができなくなるだろうというふうに私も思っております。
そして、タクシー新法で特定地域の指定がこれから行われるという御答弁、先ほどの田城委員からの御質問の中でありました。準特定地域については四月から指定をされているということでありますけれども、旧特措法で言いますところの特定地域と今回の準特定地域というのは大体同じようなものです。となりますと、せっかく今回特定地域を設定できるようにしたのにまだこれが指定をされていないというのは、これはやっぱり議員立法として作った我々からすると大変残念としか言いようがありません。これは一刻も早く、検討中ということでありますけれども、進めていただきたいと思いますし、また、六月に規制改革会議からヒアリングを受けたということが御答弁の中にありましたけれども、仮にもほかの役所の組織、規制改革会議から何らかの話が、ヒアリングがあったからといって、それを理由にしてゆっくりになってしまう、指定が遅れてしまうということでは、これは困ってしまうわけです。
現に、これは報道ベースのことで恐縮ですけれども、準特定地域については三地域について近日中に解除をされるんではないかと。ただ、一地域については追加指定をされるんではないかというような報道がございます。これが正しいかどうか分かりませんけれども、こうしたことがあると仮定をしますと非常に残念です。やはり特定地域の指定をきちんとやっていただいて、準特定地域を解除するなら解除をされるということでやっていただきませんと、非常に我々として、何のために作ったのか、さっきも申しましたけれども、何のために作ったのかなという思いになってしまいます。
そこで、解除をするような準特定地域について、これ、平成十三年の時点と比較をして良くなった、悪くなったということで判断をされるんだと思いますけれども、営業収入ですとかあるいは運転者の賃金の動向ですとか、そういったものを具体的にどういうふうに改善をしているんでしょうか、あるいは、そんなにうまくいっていないんでしょうか。

○政府参考人(田端浩君)
お答え申し上げます。
準特定地域、先生御指摘のとおり、現在百五十五地域を指定しております。この指定に当たりましては、タクシーの一台当たりの収入、いわゆる日車営収が規制緩和の前の平成十三年度と比較して減少していることなどを要件として判断をすることとしております。
この百五十五地域全体の日車営収について見ますと、平成二十五年度はこの十三年度に比べまして八・六%の減となっております。ただ、平成二十一年度のタクシー特措法施行後におきましては毎年度増加をしているという傾向にございます。ただ、当然のことながら、それぞれの地域ごとに状況が差異がございます。でございますので、準特定地域全体を通じて一概に労働環境の改善状況を述べることはなかなか困難でございます。
いずれにいたしましても、この準特定地域の指定及び解除につきましては、改正特措法の趣旨及び関係条文の規定に基づきまして、地域の実情をきちんと踏まえて適切に判断をしてまいりたいと考えております。

○金子洋一君
ありがとうございます。
平成二十一年の時点より良くなっているというのは、これはやはり法律の、旧特措法の成果ということで我々はもうきちんと評価をしなきゃいけないと。同時に、規制緩和一辺倒ではどうにもならないんだということが示されていると思います。
しかし、平成十三年と比較をして解除するか解除しないかということをお決めになるということですが、平成十三年、二〇〇一年ですけれども、その時点で既にタクシー業界というのはかなり厳しい状況にあったということは確かだと思います。
現在、平成二十一年から底を打ったような状況にはなってはおりますけれども、それでもやはり年金を受けながら運転をしておられる、なぜならタクシーの運転者としての収入だけでは生活できないからだというような方ばかりになっていると聞いております。やはりタクシーで、要するにもう一日中運転をして、非常にシフトはあるといってもずっと運転の期間がある大変ハードな仕事だと思います。私などはとても、もう三時間、四時間運転したら疲れ切ってしまいますけれども、それ以上のハードな仕事でありますので、もう少しやっぱり具体的に賃金とか労働環境の形で良くなるというところを是非とも目指していただきたいと思います。
ちょっとテーマを変えてお尋ねをいたします。
今年の四月三日のこの委員会で、今こちらにもおいでですけれども、田中直紀委員から新潟のタクシー運賃カルテル被疑事件について御質問がありまして、内容としては、国交省の指導に従って値上げをしたら公正取引委員会に摘発をされたと、この問題は国交省が解決すべき問題じゃないかということで指摘がありました。これに対しまして、大臣からは、現在、公正取引委員会において審判中の事案であって、個別の事案についての言及は差し控えるべきものだと考えているけれども、委員の御趣旨はよく分かるので検討させていただきたいという御答弁がありました。その後、いかがなっているんでしょうか。

○政府参考人(田端浩君)
お答え申し上げます。
新潟のこの問題につきまして、引き続き現在公正取引委員会におきまして審判中でございまして、この個別事案についての言及は差し控えるべきものと考えております。
しかしながら、一般論として申し上げれば、公正取引委員会との連携は不当な取引制限の防止等を図る上で極めて重要であると認識しております。
今般のこの改正特措法の施行に際しましても、国交省においては、公正取引委員会の独禁法についての見解に基づきまして、独占禁止法上何が問題になるのか、また、何が問題とならないのかという点についてより具体的にそれぞれ明確になるよう、本年の一月二十四日に通達を出して文書で通知、あと周知を図ることといたしました。
国交省としまして、今後とも公正取引委員会との密接な連絡、協力を図って、問題事案が派生をしていかないように図ってまいりたいと考えております。

○金子洋一君
ありがとうございます。
何分にもその新潟の事案、課徴金がもし課されるということになりますと大変大きな金額で、中小企業の皆さんばかりですから、それを払ったらもう廃業しなきゃいけない、そのくらい大きなものになっておりますので、どうか手厚いサポートをよろしくお願いをいたします。
あともう一点でございますが、先ほども出てまいりましたけれども、規制改革会議のことにつきましてお尋ねをいたします。
規制改革会議から、改正タクシー特措法の特定地域に係る指定基準に関する意見というものが出されております。その関係で今日はお尋ねをいたしますけれども、先ほど大臣にもお尋ねをしましたが、平成十三年から二十一年までの言わば規制緩和が強く行われていた時期の評価について、どういうふうに規制改革会議の事務局としてお考えになっているのか、規制緩和への評価をどのようにお考えになっているのか、これは内閣府にお尋ねをします。

○政府参考人(刀禰俊哉君)
タクシー業界の規制緩和への評価につきまして、規制改革会議の事務局としてお答えさせていただきます。
タクシー業界につきましては、平成十四年の需給調整規制等の緩和以降、一定の競争が促進されたということは先ほどもお話があったとおりでございます。そういった効果が認められます一方で、運転者の所得減少などの問題が指摘されてきたということ、そうしたことを本年六月の規制改革会議におきます国土交通省からのヒアリングなどにおきましてよく伺っているところでございます。
このような状況を踏まえまして、規制改革会議におきましては、再びそうした状況に陥らないよう、本年六月十三日に、今委員からもお話がございました意見というのを出させていただきましたが、その中で、安全面、サービス面等にも配慮した運用を行うことと併せて、運転者の雇用環境の改善が何よりも重要であるということを指摘させていただき、衆議院及び参議院の附帯決議を受けて、国土交通省は早急に雇用環境の調査と改善に取り組んでいただきたいという提言を行っているところでございます。

○金子洋一君
それは、つまり過当競争の是正がやっぱり必要なんだというふうに受け止めてよろしいんでしょうか。

○政府参考人(刀禰俊哉君)
今申し上げましたようなそういう状況につきましては、規制改革会議の委員の先生方も認識を同じくしておられまして、そういった観点から雇用環境の調査と改善に取り組んでいただきたいという要望をお伝えしているところでございます。

○金子洋一君
これはあくまでも新聞報道ベースなんですけれども、今年の七月十五日の日経新聞の記事にこんな記述があるんです。その七月の記事の中に、二月二日付けの日経新聞の記事の中で、ある国会議員による、規制改革会議がタクシー業界の過当競争の是正も必要だと認めてくれたと受け止めているとのコメントが紹介されたと、これに対して会議の委員らは事実誤認と憤っていたというふうに書いてあるんですよ。
これは、じゃ、こういう新聞の受け止め方、事実誤認だと会議の委員が憤っていたということはないということで考えてよろしいんでしょうか。

○政府参考人(刀禰俊哉君)
今のお話、新聞記事に関することかと承知しておりますけれども、個々の新聞記事についての論評は差し控えさせていただきたいと思いますが、タクシー業界の状況につきましては国土交通省からの説明をよく委員の皆さん聞いていただいておりまして、そういった状況についての認識については国土交通省と差異があるとは思っておりません。

○金子洋一君
それだったらいいと思うんです。
いいと思うんですが、もしそういうふうに認識が差異がないということでありますと、この意見を拝見をしますとかなり違和感があります。
この意見がどんな感じに書かれているかと申しますと、今次長が御説明をいただきましたけれども、簡単に、普通の要約をしますと、新しい法律で特定地域に指定されることによって新規参入が禁止され、供給削減措置が可能となることで、憲法で保障している営業の自由が不当に抑制される、また、利用者の利便性も損なうというふうにしか素直に読むと読めないわけです。もちろん、いや、本来の趣旨は、書き方がまずくて、そういうふうに読むのは間違いで、本来の趣旨はそんなことじゃありませんよというんでしたらそれはいいわけですけれども。
じゃ、もう一歩お尋ねをしたいと思いますけれども、この意見の中には、タクシー業界の営業の収益あるいは運転手さんの賃金といった数値的な分析、あるいはその分析に関する言及というのが全然ありませんけれども、それはなぜなんでしょうか。

○政府参考人(刀禰俊哉君)
お答えいたします。
タクシー業界の営業面ですとか運転手の方々の賃金に関する分析についてということでございますけれども、こういった点につきましては、規制改革会議におきましては、先ほど申し上げました六月六日に行われたヒアリングにおきして、日車営収と年間所得の推移などなどのデータについてはよく伺っているところでございます。 規制改革会議の意見の紙そのものにつきましては、全体として国民の皆様に、分かりやすさにも留意しながら会議における議論を踏まえて取りまとめされていることでございまして、今お話しのようないろいろな事実関係は多々ございます。そういったものを全て意見に記載するということは限界があるというふうに思っておりまして、国土交通省からのヒアリング内容も含めまして、一連の会議資料また議事録ということを内閣府のホームページにおいて公表しておりまして、国民の皆様に提供しているというところでございます。

○金子洋一君
ちょっとそこはよく分かりません。
ここに書いてあることをもう一遍、別のところを引用しますと、現在国交省が検討している指標は、運転者の賃金水準、二、車両の稼働効率、三、事業者の収支状況、四、地域の意向の四つのみであると。ちょっと中略いたしますけれども、上記四つの指標だけでは指定基準として不十分である、しかも、この指標の評価方法が極めて恣意的かつ不明確であると書いてあるんです。一方で、これ、一切この件については言及なさっていませんけれども、特定地域内の営業車両総数が全国の営業車両総数の半数を有意に下回る割合とすべきであると書いてあるんですね。
今の四つの指標だけでは恣意的かつ不明確であるとしてあるのに、四つだけじゃ駄目だと、もっと増やせと言っていると。もっときちんと分析をしろと言っている一方で、でも半数以下じゃなきゃ駄目よと書いてあるんです。これは文章として矛盾がありませんか。

○政府参考人(刀禰俊哉君)
お答えいたします。
規制改革会議の意見についてということでございますけれども、この改正タクシー特措法の立法趣旨につきまして、特定地域のタクシーの供給を削減することにより、タクシー事業の健全な経営を維持し、安全性や利用者の利便を図ることにあるということに触れておりまして、その上で、特定地域の指定の基準そのものにつきまして、行政の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用にならないよう慎重に設定すべきであるという提言を行っているところでございます。
この会議の意見につきまして、特定地域の指定そのものの必要性について何か異論を唱えているというものではございませんが、あくまでその運用につきまして、特定地域における規制が極めて強いものであること、また、特定地域の指定が特に必要な場合ということで法律上限定されていることということを踏まえて、特定地域の指定の基準というものは慎重に検討されるべきだというふうにしているものでございます。
その際、指定基準の検討におきまして、事故発生状況、そして利用者の利便の確保の指標等を新たに加えていただきたいということ、また、協議会の意見に利用者の意向が十分反映されることなどを求めるとともに、運転者の賃金水準を向上させるには雇用環境の改善が何よりも重要であるということも併せて提言をしているというところでございます。

○金子洋一君
ということは、その四つの指標プラス新たな指標を加えて慎重に検討した結果、結局、特定地域が半数を有意に下回る割合とならなくてもこれは仕方ないというふうに受け止めていいんでしょうか。

○政府参考人(刀禰俊哉君)
六月十三日付けの規制改革会議の意見におきましては、先ほども申し上げましたような、この特定地域の指定というものの規制が極めて強く、また、特に必要な場合に限定されているということを踏まえまして、特定地域内の営業車両総数が全国の営業車両総数の半数を有意に下回るべきであるという意見が出されているということでございまして、そういったことを踏まえまして、国土交通省においてどういう検討がされるかということを今見守ている状況でございます。

○金子洋一君
ちょっとお答えいただいていないと思うんです。
その四つ、現在の国交省が示している四つの指標だけでは不明確だと、だから二つ出しなさいと、で、計算をしなさいとおっしゃっていると。一方で、半数を有意に下回らなきゃ駄目だとおっしゃっている。これ自体、私は矛盾しているんじゃないかと申し上げた。
じゃ、さっきも、この前お尋ねしたことは、だから、その四プラス新たな指標で計算をして、やっぱり特定地域というのはもっと多くなきゃ駄目ですねと、大変な状況になっていますと、営業の収益も運転手さんの賃金も非常に厳しいということになったら、それはもう半数を有意に下回るということじゃなくてもオーケーなんですねという極めて単純なことをお尋ねしていますので、シンプルにお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(刀禰俊哉君)
先ほどの規制改革会議の意見でございますけれども、これにつきましては、現在のその時点におきますタクシー業界の状況を踏まえまして、国土交通省においてその状況をどのように分析しているかということをお伺いした上で、そのような場合に、仮に指定される車両の総数が全国の営業車両総数の半数を上回ってしまうようなことがあるという状況になると、この法律の趣旨からしていかがなものかという観点から唱えたものでございます。
そういった意味におきまして、その時点における状況を前提としたものであるということを申し上げさせていただきたいと思います。

○金子洋一君
法律の趣旨とおっしゃいますけれども、これは議員立法で作られたものであります。
せんだっても、その議員立法を中心として提出をなさいました自民党さん、公明党さん、あるいは私ども民主党の代表者でいろいろな会合を持ちました。そこで、我々が、やはりこの規制改革会議の言っていることというのは立法者の意思を無視しているんじゃないかということになりました。我々は、そういった日車営収、営業収入ですね、そしてそれを改善させること、そして運転手さんの賃金を改善をさせることということを目的にやっているんだと。別に、特定地域だから、特定という言葉は非常に限られたものだから五〇%以下にしようというような趣旨をもって特定という言葉を使ったわけではありません。世の中には、霞が関の法律の中には、当分の間といいながら、数十年、三十年も四十年も続いている税率があるわけです。
要するに、それと同じ並びですよ。特定と書いてあるからといって、だから五〇%を下回らなきゃいけないんだということにはならないというのが議員立法で作った、提出をした我々の意思なんです。そこをきちんと受け止めていただきたいんですが、いかがでしょう。

○政府参考人(刀禰俊哉君)
お答えさせていただきます。
議員立法の趣旨というお話でございましたけれども、規制改革会議、六月に開催されましたときに、国土交通省から議員立法の経緯等についても丁寧な説明を承っているところでございまして、会議においてもその趣旨は十分承知をしているところでございます。
六月十三日の意見書におきましても、その立法趣旨は、特定地域のタクシーの供給を削減することにより、タクシー事業の健全な経営を維持し、安全性や利用者の利便を図ることであるというふうにされているところでございます。他方、この特定地域の指定基準につきまして、まさに行政権、立法ではなく行政権の裁量の範囲の逸脱又はその濫用にならないよう慎重に設定すべきということで、国土交通省にこういった点についてお考えいただきたいという意見を投げたものでございます。

○金子洋一君
この規制改革会議でこの問題に中心的に取り組んでおられるのが中央大学の法科大学院の安念教授でありますけれども、教授は、規制改革というのは結局生産性を高めるということに尽きるというふうにおっしゃっています。
生産性を高めるためには、まず市場の条件をきちんと変えていかなきゃいけない。ところが、特定地域の指定がどうしても必要なところだけれども余り指定できないということになりますと、会社の方も、そして働く側の方も十分な余裕がない、十分な余裕がなければ、例えばそこで新たな設備投資をして新たな仕組みをつくるとか、そういうようなことをしようとしてもできないわけですよ。生産性を上げるために一時的に指定をするんだと。ですから、一時的に指定をするものがその半数だ何だというところにとらわれては絶対にいけないわけです、生産性を上げるためにやるわけですから。未来永劫にわたって指定するわけじゃありません。これ、毎年今の時期に見直すわけですよね。だから、そういったところをきちんと踏まえていただいて、半数以下じゃなきゃいけないというようなことは今後絶対言わないでいただきたいというのが私の意見でございます。
ということを申し上げまして、ちょっとこれ以上、水掛け論になっても仕方ありませんので、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


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